どうやら勇者を助けた様です。
お読み頂き有難う御座います!!
翌日、ランガーさんの案内で火口まで雪山登山をする事になった。登山用の融雪魔導具は『シュワ』ちゃんに取り付けて先頭を歩かせる。魔導具で雪が水に変わるので足元は泥まみれだが、積雪を踏みしめるより遥かに楽だ。
「こりゃあ凄えな!雪山登山がこんなに楽なのは生まれて初めてだぜ!」
ランガーさんはスキップでもやりそうな感じだ。オレ達も大して寒くも無く、快適にハイキングを楽しんでる感じである。
途中でイエティと鉢合わせしたけど、何故か襲って来なかったからそのままシカトした。基本、襲って来なければコチラから手出しはしない。まあ、普通は襲って来るけどね!
「きっと皆さんがイエティタイラントの毛皮を着てたからですよ!」
「えーこの毛皮そんな効果が有るの?聞いてないんだけど…」
「きっと我の威光に恐れ慄いたのじゃ!」
サテランティスは大物だからね…ハイハイ。
こんな感じで4時間ほどで火口付近の山小屋までやって来た。オレは『シュワ』ちゃんに山小屋の雪を綺麗に水にさせた。ランガーさんは閉めた山小屋を開けてくれた。取り敢えず山小屋でひと息ついてから【次元の竜穴】に挑む。
「オレは此処に残るが大丈夫か?」
「大丈夫ですよ、【次元の竜穴】に入るのはオレとタマとサテランティスの三人で、ミネルバさんと『シュワ』ちゃんには入口付近で待機して貰うから」
「アレス様、姫様、ご無理をなさらない様に…」
「我もアレスもタマも大丈夫なのじゃ!!」
「ニャア〜」
「ミネルバさん、任せてよ。準備万端整ってるから」
「アイルビーバック!!」
「カッコイイけど『シュワ』ちゃんは入んないからね」
さて、そろそろ【次元の竜穴】に行きますか!!
火口の一部に赤い亀裂が入っていて其処から鳴き声が聞こえている。コレが【次元の竜穴】か…。
オレ達三人で中に入り、二人は少し離れた場所で待機。『シュワ』ちゃんには転送の魔導具を持たせており、ピンチの時は転送して脱出出来る様にして置く。
「よし、入るぞ」
【次元の竜穴】では亜空間の中であり、足場が無い為、魔導具絨毯で足場を作り、それで移動する。タマは空中を走れるので要らない。
オレは最初からタマに魔力を持ってけとマジックポーションを大量に揃えた。タマはごっそりと遠慮無く魔力を持っていき、虎の様な見た目になる。
オレはマジックポーションガブ飲みしながら魔銃コルトを抜く。
サテランティスもマジックポーションを大量に挿し込んでる、弾帯ならぬポーション帯を肩から斜め掛けしている。
入ると直ぐに入口付近の次元竜が襲って来る!
オレは最初から強に制御した魔銃コルトをぶっ放すと次元竜は穴が空いて直ぐに動かなくなる。
タマは物凄いスピードで次元竜を圧倒し、どんどん切り裂いている。
サテランティスは広範囲魔法を使って次元竜の動きを止めている。動きを止めた次元竜をオレとタマで狙い撃ちして行く。
結構余裕だなあ〜なんて思っていたら次元竜達がいきなり逃げ出していく。
そろそろだなとオレは秘密兵器を用意して相手を待ち構える…来た!次元竜の王!
次元竜の王は仲間が離れたのを確認して、何やら力場を形成して何かの用意をしている。【冥界の亀裂】を出すつもりだな…その手口分かってさえいれば簡単に防げる。要は落ちなきゃ良いんでしょ?
やがて力場を形成していた魔力が暴走し亜空間に歪みが現れる…そして口が開く様に真っ黒な亀裂が発生した!するとその亀裂にオレ達は吸い込まれそうになる!
コレが【冥界の亀裂】か?オレは秘密兵器の魔導具を使う。
【禁書】の冥界魔法【アンチエレシュキガル】冥界に落ちない魔法…つまり不死の魔法である。不死の者は冥界に落ちない…落ちない様に現世に繋がれた鎖が現れる。これに繋がれている間は冥界の女王に呼ばれないのだ。
オレ達三人は鎖により亀裂に引きずり込まれない!次元竜の王は更に亀裂を大きくした!引きずり込もうとする力が強まっている!オレは秘密兵器を最大展開させる!すると冥界の亀裂に一本鎖が引き込まれて行った!何が起こったんだ??
「うわあああああ!!!」
【冥界の亀裂】から叫び声が聞こえたと思ったら、鎖に繋がれた男がコチラに飛んて来た!!誰だ!コイツは???
「おお!!少年少女!!助かったぞ!コイツはオレに任せてくれ!」
するとその男からとんでも無い魔力が噴き出し、その男の持つこれまた半端無い魔力を放つ剣に纏わり付く!
「伍の秘剣…竜斬り一文字!!」
すると次元竜の王の空間ごと斬れた!と思ったら直ぐに空間は元に戻る。その瞬間に【冥界の亀裂】は直ぐに掻き消えた。次元竜の王は真っ二つに分かれていた。凄えな…こんなの初めて見たぞ…。
「いやぁ〜閉じ込められた時は如何なるかと思ったが、助かったぞ!!有難う!!」
「ニャア!!ニャア!!」
あ〜タマが獲物を横取りされて怒ってるよ…。
「ん??何かエラい怒られてる気がする…」
しかし、鎧は中々の業物だし剣はヤバい奴だし何者なんだ??
「それより、ここら辺でネックレスを見なかったかい?大切な人からの贈り物だったのだが…」
「は?ソレってコレの事?」
オレは『蜂影』先生が拾ったネックレスを見せた。
「おお!!それだよ!!良かった…有難う!!」
男は大事そうにネックレスを懐に入れた。
コレはミネルバさんがジョルフィーナさんが勇者に渡したと…まさか??
「ああ、自己紹介がまだだったね。僕はトール=アルバトリオン。皆からは『勇者』と呼ばれているよ」
「まさか…じゃあ貴方がジョルフィーナさんが言ってた勇者??」
「なんと!ジョルフィーナ殿を知っているのか?君達は何者だい?」
「オレはアレス、コイツはサテランティス、あの猫はタマ。オレ達はサテランティスの姉さんジョルフィーナさんの怪我を治す為に【エリクサー】の素材集めに行って死んだと言われていた勇者のやり残しをする為にここ迄来たんですよ」
「なっ!ジョルフィーナ殿の妹??俺が死んだ??如何なってるんだ??」
オレは勇者が【冥界の亀裂】に落ちてから五百年経っている事、サテランティスの事や魔女族の事、ジョルフィーナさんの生命維持装置の改良や【エリクサー】の素材集めに旅をして来た事などを話した。
「まさか…五百年も経って居たなんて…」
「いやいや、貴方が生きていたなんて…ですよ」
「でも勇者が生きていたなら姉様は喜ぶ筈なのじゃ!」
「そうかジョルフィーナ殿…良く生きていてくれた…あの生命維持装置は我ながら酷い出来だったからね…良く直してくれたよ」
「アレは効率とか色々確かに酷かったので改良しがいがありましたよ…」
「君は魔導具が作れたのか??凄いなそれは!」
「取り敢えずここを出て話しましょう」
こうして計らずも勇者を助けてしまったというオレ達は次元竜の鱗を手に入れた。
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