どうやら伝統工芸品を買った様です。
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『カーライト』の街に到着した頃には雪がソコソコ積もって居たのだが、作ったばかりの馬車用高速融雪魔導具を試運転で鉄馬に装着させていたので、雪を水に変えながら走って行くと、衛兵さんに「こりゃあ凄いな!」と感激されたよ。
まあその内ヒマが出来たら雪国に大々的に売り込もうかな。カルタス商会を使えば結構な商売になりそうだ。
『カーライト』で食料品や水を仕入れる。物価はちょいと高めかな?まあ、雪国の街じゃ仕方無いかな。
サテランティスとミネルバさんが買い物に行ってる間に、先行していた『蜂影』先生から動画が届いた。
どうやらこの画像が【次元の竜穴】らしい。次元竜の住処なのだろう、結構な数が居るね…。その奥の方に居たのが次元竜の王だ。普通の次元竜より三倍位はデカい。鱗の色が虹色っぽく光っている。『蜂影』先生が結構近くまで寄ると何か気配を察したのかキョロキョロしだしている。う〜ん…この勘の良さはオレ達にとっては不利だな…。取り敢えずは他の次元竜から鱗を獲るか。
更に『蜂影』先生は周りも丹念に調べていく…勇者の痕跡を探す為である。だが流石に見つかる訳も無いか…と、何かネックレスの様な物が浮いていた…コレはもしかすると…早速『蜂影』先生は回収するとマジックポケットに入れてくれる。
『蜂影』先生のマジックポケットとオレのマジックポケットは繋がって居るので早速俺の方で取り出してみる。変わった形のネックレスであるな…後でミネルバさんに確認してもらおう。
「アレス!!戻ったのじゃ!大漁じゃ!!」
戻って来たサテランティスはご機嫌でお菓子の袋をオレに得意気に見せる。まあ、アホ程買ってないから良しとするか…。つか、服も買うとか言ってなかった?
「服は買わなかったの?」
「防寒着は今着てるモノより良いのはありませんでした。流石は店員さんイチオシでしたね」
「他も大して良いのが無かったのじゃ!」
「そうなの?まあ、それなら構わないけどね」
「店員さんの話だと『ターテル』には『雪毛糸』を使った『ターテル織』という『レアム織』とは違う独自の織物があるらしいのです」
「ほう、『レアム織』も良かったけどね。じゃあそっちで買うか」
「それが良いのじゃ」
「分かった。ところでミネルバさんに見てもらいたい物が有るのだけど…」
「はい?私にですか?」
オレは『蜂影』先生が見付けたネックレスを見せた。するとミネルバさんの顔色が変わった。
「こ、コレを何処で見付けられたのですか??」
「コレは『蜂影』先生が【次元の竜穴】で見付けて来たモノなんですが…」
「間違い有りません…コレはジョルフィーナ様が勇者様に贈られたネックレスですわ…」
「うむ、やはり勇者の持ち物か…コレで勇者はここに来たのが確定となったね。つまり…”此処で『冥界の亀裂』に落ちた”と言う事だ」
「では、此処に『冥界の亀裂』が有るのじゃな?」
「正確に言うと次元竜の王が『冥界の亀裂』を作ったのだろうね」
「それでは…勇者様が倒されたのはこの次元竜の王と言う事ですか?」
「恐らくはそうなると思う。但し、『冥界の亀裂』に落とされると死ぬのかどうかはまだ分からないけどね」
「危険過ぎます…【次元の竜穴】に入るのはお止めになった方が…」
「うん、それに関してはオレに考えがある。丁度良いブルードラゴンの魔石も有るし…【禁書】のあの呪文を使えば恐らく大丈夫だよ」
「は?!!【禁書】ですって??アレス様は【禁書】をお持ちなのですか??」
「あっ、ミネルバさんには言ってなかったっけ…オレの頭の中に【禁書】の全てが入ってる。其れを魔法陣で術式を封じ込めれば発動出来る。但しとんでも無い魔力が必要だったりするし、”条件付き”のも有るから簡単じゃないけど…今回のは魔力だけだからイケると思う」
「なるほど…姫様と同等…いや、それ以上の実力はそういった物の裏付けが有ったのですね…」
「まあ、借り物ばかりだけどね。有効利用はさせて貰ってる」
「使いこなせばそれも実力ですわ。それで今回使うのはどんな魔法でしょうか?」
「それは行ってからのお楽しみかな。恐らくコレなら次元竜の王の『冥界の亀裂』を封じる事が出来る筈だよ。タダの竜ならオレとタマとサテランティスで如何にでもなるからね」
「ニャア〜」
「任せておくのじゃ!!」
「た、確かに皆様なら大丈夫でしょうねぇ…」
ミネルバさんの半ば呆れた様な感じは納得いかないが、まあこのパーティーならどんな魔物でも何とかしてみせるさ。
オレ達はこのまま『カーライト』を後にして『ターテル』に向かう。オレは早速、対次元竜の王用秘密兵器の製作を開始した。
今回の魔導具はシンプルである。ブルードラゴンの魔石を核に魔導炉を組んで魔力を増幅させて魔法陣を発動させるだけだ。膨大な魔力が必要なのでブルードラゴンの魔石は打ってつけだ。これさえ有れば次元竜の王の『冥界の亀裂』は防げる筈である。
『カーライト』を出発してから3日も経たずに『ターテル』に入ってしまった。融雪魔導具恐るべし…。
オレは早速火口の番人をしている人を探す事にした。サテランティスとミネルバさんは『ターテル織』のものを買いたいと出掛けてしまった…チミ等は何しにここに来たのかしら?まあ、オレにはタマが居るから良いけどさ。
「ニャア〜」
タマは馬車の中に入ってしまった…コタツでぬくぬくするつもりだな…裏切り者め!
天涯孤独なオレは村の人から火口の番人の居場所を聞き出してそこに向かった。
行くと掘っ立て小屋みたいなのが1軒ある。もうぶっ壊れてもおかしくない感じだ…。
「すみませーん、此処に火口の番人されてる方が居ると聞いたのですが?」
すると奥の方からのっそりとやって来たのは如何にも山男みたいな髭茫々のオッサンだ。
「誰だ?今は火口には行けねえぞ」
「それを何とかお願いしたいのですが…」
と、オレはギルド証を見せてお願いする。すると急に態度が変わった。やっぱ凄えなS級扱いのギルド証の威力は。
「こ、こりゃあ特待員のギルド証じゃねえか!じゃあアンタが噂の二人の片割れか?」
「はい、片割れです。アレスと言います、初めまして」
「オレはランガーって言う。番人って呼ばれてるが、実は山小屋の宿屋の主人なんだ。宜しくな」
「早速なんですけど、火口の【次元の竜穴】まで案内お願いしたいのですが」
「まさか…次元竜が狙いか?それは止めた方が良いぞ…」
「一応、対策は立てて来てるので問題は無いかと」
「後は雪山登山はかなり厳しいぞ。昨日更に雪が降ったからな。相当積もってる」
「それの対策も問題ありません。案内だけお願いします」
「ホントか?じゃあ見せてもらうかな。もし納得出来なきゃ案内はしねえぞ」
ランガーさんに外で融雪魔導具を実践してみると口を開けたまま固まってた。
「こんな凄えのを何処で手に入れたんだ?」
「オレの自作ですよ」
「自作ぅ??オイオイマジかよ…」
「大丈夫そうですか?」
「おう!コレなら問題は無えな。いつ行く?」
「明日の朝イチからで良いですか?」
「分かった!準備しておくわ!」
「宜しくお願いしますね!」
こうして火口の番人ことランガーさんに道案内をお願いした。
サテランティスとミネルバさんを追っかけて服装屋さんに行くと、二人共にあーでもないこーでもないと服を選んでいた。
「おう!アレスが来たのじゃ!」
「アレス様!コレは良い物ですよ見て下さい!」
『ターテル織』の服はその独特な幾何学模様が確かに素晴らしい。『レアム織』は染める事で色合いを出していたが、『ターテル織』は色の着いた『雪毛糸』を丁寧に編み込む事で柄を付けてゆく…非常に手間暇掛かる伝統工芸品でもあるのだ。
「確かにこりゃあ良いな。買おう買おう!」
結構な額を使ったのでこの店でも有名人になってしまった。
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