さて、船に乗れずに騒ぐ奴は出禁にしてやろうか。
お読み頂きありがとう御座います!!
何とかマイケル兄さんの奇跡の一手でもう少し待てば『ミレーナ』までの直航便が来るとの話で混乱は収まりつつあった。
ヴィーグル船長ヘギラス船長との交信で後7日ほどで到着出来そうとの事で、何ヶ月か待たされるとイラついていた連中が引き下がったからである。
まあ、最悪騒ぎを引き起こした輩を出禁にしてやろうと思って居たのだけど。今後は満員御礼の際に騒ぎを起こした当人と所属商会を出禁にすると立て札立てて脅しておいたのでもう騒がないだろうけどね。
とりあえずオレとサガン師はガン首揃えて領主様の所にお詫びに向かった。
領主様の屋敷の前で騎士団長に会ったのでお詫びに来ましたと言うと、笑いながら「あの程度は大した事じゃないさ」と言い取り次いでくれた。領主様はまさかサガン師まで来るとは想定外だった様だった。
「まさかサガン殿まで…大した事にはならなかったのだから…」
「いやいや、領主様に『コックスナル』の商人達が御迷惑をお掛けしたのじゃ、申し訳無かった」
「いえいえ、コチラの配慮が足りませんで…誠に申し訳なく思っております…」
「もう二人とも宜しいかと…毎回騒ぎでは困るがのう」
「騒ぎを起こした商人は出禁にすると立て札を立てましたので今後は出ないかと。所属の商会まで類が及ぶので…」
「さようか。ならば問題無かろう…ささ、茶でも飲むと良かろう。おい!紅茶を持て!」
領主様はさほど気にした様子は無く、返ってこちらに気を使ってくれるほどだったのでホッとした。
領主様の屋敷を出てからサガン師と話をした。
「今回のリュピタルまででとりあえず交易航路は決まりなのですが、他にココはという場所は有りますか?」
「うむ、帝国まで伸びているからのう…有るとすればその先を考えるが、大きな商いになるかは微妙じゃな」
「なるほど…では有るとしてもさほど大きな船でなくても良いと」
「うむ。リュピタル方面も大きさよりも数が必要になる。『セリュース』を中心に小回りの利く船を就航させるのが良かろう」
「『セリュース』の領主様と相談の上ですかね。既存の船もあるでしょうから」
「うむ、根回しは大事じゃからのう。そこに気付くとは筋が良いのう」
「ありがとう御座います。色々と見えてきた様な気がします」
サガン師を無事に『アルゴー』に送りとどけてから、オレは冒険者ギルドに向かった。とある提案をする為である。
「ギルマスいらっしゃいますか?アレスが来たと言って下さい」
職員はまるで不審者でも見る様に約束は有りますか?とか聞いてきたので、仕方無くギルド証を見せた。これ見せると騒ぎになるからと見せなかったのに…。すると案の定騒ぎになってしまった…使えねぇ職員だな…。
こちらへと案内されてギルマスの部屋まで来た。
「おう!アレス!戻って来たのか!」
「はい、実はギルマスにちょっと意見をお伺いしたいと思いましてね」
「ん?オレに相談か?金以外の事なら聞いてやろう」
「ありがとう御座います。お金の方は間に合ってますので…」
「チッ!嫌味なガキだな!何だ?相談って」
「実は冒険者ギルドと提携をして、国難や災害などで船を使う為の優先契約を結べないかと」
「ほう…確かに船が使えれば、より早く任務につけるか…提携って事は前もっていくらってヤツだな?」
「そういう事になります。ギルマス的にはどうですかね?」
「そうだな…船が空いてれば問題無く乗れるがな…」
「ええ、今日みたいな満員でなければですがね」
「うむ、昨日や今日の騒ぎは知ってる。う〜ん…俺的にはアリだが値段次第だなぁ」
「アリはアリですかね?」
「もちろんさ。急を要する依頼の場合は特に必要だ。船で早く行ければそれだけ早く事を収束させれる」
「分かりました!ありがとう御座います。就航の具合が定まってから本部に掛け合ってみます」
今日の事でふと思い付いたのだが、これはコレで商売になるかもしれないな。帰ったらマイケル兄さんとも色々話し合ってみよう。
冒険者ギルドを出てから『アルゴー』に戻って食堂に顔を出すと、タマをモフモフしている弟子がオレを見つける。
「アレス!どこに行ってたのじゃ?」
「領主様の所と冒険者ギルドに寄ってきたよ。ちょっと聞きたい事があってさ」
「何処かに冒険に行くのか?」
「まさか。ギルマスに相談事があってさ、良い話が聞けたからマイケル兄さんに相談出来るよ」
「アレスは忙しそうじゃな。我と一緒の頃からもそうであったが…」
「デュミナス領に帰れば少しはヒマに…ならないかも…サテラにはリッカさんの仕事も手伝って貰うかもしれないぞ?」
「おお、我にも手伝う事が有るのか?」
「もちろんだ、遊んでるヒマ無いかもしれんぞ?大丈夫か?」
「大丈夫じゃ!!任せておけ!!」
「よし、分かった!頼むぞ!」
「おう!!」
リハビリがてらリッカさんの薬草集めやらを手伝わせよう。エルフの村に行くのについて行かせても良いしな。
食堂で飯を食った後でサテラとタマ、フクゾウを連れて街に出た。良く考えたら街に出た事無かったと思ってね。港から直ぐの通りには屋台も結構出てて、イカの焼き物やらべっ甲飴みたいのを買った。そのまま街に入ると活気のある店が多かった。変わった南国風の果物を買って食べたり、サテラの大好きなお菓子屋に行ったり。
ひと通り店を見て回ってから公園で少し休憩を取ってると、『シュワ』ちゃんがやって来た。
「見つけたぜ!ベイベー!!」
「おお、『シュワ』ちゃん!どうしたの?」
「船長がアレスを呼んでる」
「そうか、分かった。皆んな、戻るよ〜」
オレ達は『シュワ』ちゃんに連れられて『アルゴー』に戻った。
ヴィーグル船長の所に行くと船長は渋い顔をしてオレに話す。
「さっき、マイケルから連絡が有ってな、どうやらランカスター領で街道の封鎖をやり始めたらしいぞ…」
「遂に始まったか…嫌がらせ作戦…ってかもう遅いのだけどね。むしろ、オレらの方が既にランカスター領の首を締め始めているからね…」
「だよなあ…意味無いって分かってないのかな?」
「恐らくはデュミナス領の評判を聞いて、ちょっと嫌がらせをしてやろうと…全く脳筋甚だしいね。自分の領地が閑古鳥鳴いてるのに気づいても居ないね」
「とりあえず放置か?」
「それをやると自分の首をもっと締めると気付くまでやらせれば良いよ。気づいてももう遅いけどねランカスター領の交易ルートは断たれてるのだからね」
商人達からするとデュミナス領では欲しい商品が沢山有るので行きたい。ランカスター領を通れないとなれば『ナガースフ』の船便で『ミレーナ』に入れるのでそちらを使う。するとランカスター領に入る商人達が居なくなるのだ。今は陸路がそこしかないので”おこぼれ”を貰ってるに過ぎない。それを通行料や封鎖をかければ商人達は陸路を使わずに海路を使うだけである。商人達の来ない領地はどうなるのか…少し考えたら簡単な事なのだが。
もう既に『ミレーナ』=『ナガースフ』間の往復便は魔導船『シルフィード』が就航しており、2日間隔で往復している。後一隻就航させる予定なので陸路を使う必要性が更に無くなるのである。
念の為にマイケル兄さんに連絡を入れるとオレが帰る頃にはもう一隻完成してしまうので、直ぐにでも就航させるらしい。
コレで詰んだ”馬鹿につける薬無し”とはこの事だろう。
しかし、オレ達はもう一つ…オレ達のせいで首を絞められている存在を忘れていた。そしてその脅威も手を打とうと企んでいたのである。
ブクマやご評価頂きまして感謝しかありません。
また、ご感想や誤字脱字、修正依頼など皆様の応援が高いモチベーションを保っている要因です。本当にありがとう御座います。
これからも楽しい物語を書いていければと思っております。
素人の小説モドキですが、皆様に楽しんで頂けたら嬉しいです。




