~悪役令嬢進撃編②~
「うっわ…めっちゃ可愛いな俺…ハー…お人形さんみたい…」
手鏡を舐めまわすように呆けたツラで己を眺める男…いや元男"ダムド・ザ・スレッジハンマー"、元の傷まみれの髭面とは似ても似つかない陶磁器のような肌に磨き抜かれた水晶のような瞳、紅玉のような唇に魅了されたこのおとk…乙女こそ令嬢ユニバースに送り込まれた観測者である。
「んでこの屋敷…多分流れ的に俺の家なんだろうが…」
胃痛女神"(名前あとで入れときます)"によって用意された家、おおよそ我々の想像する令嬢ハウスよりも若干現代的な内装である。
「お嬢様、お目覚めですね?」
「あっはい」
「既に説明と音声は入っているでしょうので手短に説明致します。」
部屋に入ってきた初老のジェルトルメン、彼は流れを見るに(名前あとで入れときます)の用意した人員であろう。
「お願いします」
「現在この世界は一般市民を除き大きく分けて二つの勢力があります。ひとつは正義令嬢、主に令嬢としての気品と強さを重んじる層です。もうひとつは悪役令嬢、彼女達は己の手に入れるモノのためなら令嬢仕草の範囲内でダーティーなマネも厭わない層です。」
「ホントに令嬢なんですそれ?」
「この世界はそういうことになってますね。ともかく貴方にはこの世界をニュートラル令嬢という立ち位置で観察しとりあえずどちらかに所属して、必要とあらば令嬢概念そのものを正していただきたく…」
「…やっぱなんかマズいんです?」
「管理が大変煩雑で…情報管理も把握も輪郭しか及ばす、致命的な齟齬が世界に発生している可能性も無きにしも非ずなので…」
「あー…なるほど…それを内側から調べて欲しいと」
「そういうことです」
「…わかりました、まぁこっちとしては報酬さえありゃあ美味い仕事なのでね、やってやります」
「では、よろしくお願い致します。」