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プロローグ

初投稿です。高校野球ものです。

私・西野(にしの)なぎさが所属する鳴尾(なるお)シニアは、兵庫県を拠点に活動し、全国優勝の経験もある中学野球ではかなり名の知れた名門の硬式野球チームだ。これまで活躍された先輩方は多くが県内外の野球強豪校に進学し、プロ野球選手になられた方も複数人いる。


中2の秋、私は鳴尾シニアのエースを務めることになった。女子選手がエースナンバーを着けることはもちろん、レギュラーナンバーを着けることも、鳴尾シニア史上初めてのことだった。


私がエースとなった鳴尾シニアは秋の近畿大会を制し、春のシニア選抜大会では準優勝。そして、夏のシニア選手権大会ではついに優勝を果たした。そしてその勢いのまま、中学野球最後の大会である、ガリバーズカップを迎えた。


ガリバーズカップは、全国にあるシニア・ボーイズといった様々な連盟に所属する硬式野球チームが統一ルールのもと、地区予選を戦い、予選を勝ち抜いたチームだけが出場できる中学硬式野球の日本一を決める全国大会である。いわば中学野球の甲子園だ。そしてこの大会に出場した選手は、多くが高校野球の名門校に進学する。また、甲子園出場を経験し、やがてはプロ野球選手になる者も少なくない。




◇ ◇ ◇




ガリバーズカップ準決勝、相手は大阪府の大阪東シニアだった。大阪東シニアは1番の永尾くんと2番の松村さんが手強い。特に松村さんは私と同じ女子選手で男子を差し置いて名門チームのレギュラーになった実力者。バットコントロールと選球眼、バントの技術と守備は男子と引けを取らない。



7回裏、私は先発で無失点だった飯島(いいじま)くんに代わってマウンドに上がった。スコアは1-0。鳴尾シニアが初回に先制し、その1点を守り切り、最終回に突入していた。これはつまり、私が3人しっかり抑えれば決勝進出という場面だ。そして、大阪東シニアの攻撃は1番の永尾くんからだ。


しかし、私はいきなり永尾くんにショートへの内野安打を許してしまう。やはり永尾くんの足は怖い。そして盗塁を決められ、続く松村さんには10球粘られた結果、右方向へ持ってかれ、同点のタイムリーを許してしまう。そして3番の岡崎(おかざき)くんにはバントを決められ、続く4番の高野(たかの)くんは敬遠。これで1死1,2塁。2塁走者が還ればサヨナラだ。打席に立つのは5番の大石(おおいし)くん。右のクラッチヒッターだ。


ここでタイムがかかり、ベンチから薮田(やぶた)くんが日高(ひだか)監督からの伝令を伝える。そして、捕手で主将を務める古賀克樹(こがかつき)(私は普段、彼のことを『克樹』と呼んでいる)が私に激励を飛ばした。


私は克樹のサインに従い、球を投げる。で、結果は空振り三振。これで2アウト。続く打者は6番の森本(もりもと)くんに代わって代打の中西(なかにし)くん。私の対戦相手は左打者から右打者に変わる。ここで出た克樹のサインは大石くんの時と同様、内と外、交互に投げろというサインだった。そして、フルカウントになった6球目・・・




打球は無情にも、レフトを守る新井(あらい)くんの頭を越えていった。

読者の皆様、なぎさの夢にどうかお付き合いください。

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