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謎の白い仮面の戦い


剣地:VIPファイト控室


 俺は戦いを終えて、控室に戻ってきた。体に受けた傷を治すため、しばらく薬を体中に塗りたくっていた。


「いつつ……」


 塗り薬を塗ると、体の傷がしみて痛い。しみた所に息を吹きかけていると、テレビから音が聞こえた。


「ただいまより、VIPファイト二戦目を始めます! 次に出場する選手は、ファードと謎の仮面戦士です!」


 司会者の紹介の後、選手入場口からモヒカンのおっさんと、白い仮面を付けた俺と同い年位の奴が現れた。仮面を付けているせいか、性別がよく分からない。


 二人は闘技場中央に集まり、試合の始まりを待った。




ルハラ:観客席近くのバー


 もう次の試合が始まるようだ。数分前まではケンジが戦っていたのに。せっかちな連中だなぁ。


「ではVIPファイト……レディ、ゴォォォォォォォォォォ!」


 司会者のうるさい声がバーの中まで響いた。どれだけうるさい声をしているのやら。そう思っていると、闘技場から魔力を感じた。バーの中にあるモニターを見ると、あの白い仮面の奴が宙に炎の玉を浮かしていたのだ。


「はっ! そんなもんを出しただけで勝負は決まらないぜ」


 ファードというおっさんは、先端に刃が付いているトンファーを振り回しながら走って行った。


 白い仮面はファードに向けて炎の玉を放った。だが、奴はトンファーを振り回し、その際発生する風の勢いで炎の玉を消していった。


「こんなもんか? この試合、すぐに終わらせてやる!」


 ファードは高く飛び上がり、両手にしているトンファーを白い仮面に向けた。


「俺だって魔力は使える。見せてやるよ、上手な魔力の使い方を!」


 奴がこう言った直後、足から炎が発した。まるでジェット機かなんかのようだ。物凄い速さで奴は白い仮面に向かって突進していった。飛んでくる炎の玉も、奴の勢いで消されていく。


「ここで貴様を血祭りにあげてくれるわ!」


 自分が勝つと判断したファードは、自信たっぷりにこう言った。しかし、次の瞬間とんでもないことが起きた。白い仮面は左手を前に出し、風らしきものを発したのだ。


「何!」


 奴は、風を避けきれずに直撃してしまった。風の中に刃が混じっているらしく、風を抜けるまでに奴の体はかなり血塗れになっていた。


「ぐうっ……」


「おーっと! まさかの風の魔力! あの白い仮面は火以外にも、風を使えるのかー?」


 司会者がこう言うと、周りから声が上がった。


「何も知らないのかよ、お前は!」


「少しは奴の経歴を調べなさい!」


「知っていることをすべて話せー!」


「えーっと……申し訳ありません。白い仮面の戦士の参戦は急遽決まったことなので、私の方にも情報が入ってないのですよ」


 その言葉を聞き、納得した観客は大人しくなった。そんな中、戦いは続いていた。


「オラァァァァァ!」


 どうやらファードは、ダメージを受ける覚悟で白い仮面に接近したようだ。奴の捨て身の攻撃は回避されている。しかし、反撃できるチャンスはたくさんあるのに、白い仮面は反撃をしない。遊んでいるつもりなのか?


「チッ……舐めるな、クソガキ!」


 フォードは怒鳴り声を上げながら、右腕を大きく振りかぶって攻撃した。白い仮面は奴の攻撃をかわした。


「クソッ!」


 攻撃をかわされ、次の行動に動こうとしたフォードだったが、さっき攻撃で使った右腕が地面にめり込み、抜けなくなってしまったのだ。


「ヤベェ! 早くしないと! 抜けない……」


「これは大ピンチ! フォード選手、渾身の攻撃がかわされた挙句、攻撃の反動で右腕が地面にめり込んでしまったー!」


 何とか右腕を抜こうとしているフォードだったが、その後ろに白い仮面が近付いてきていることには気付いていなかった。


「あん? ケッ、まだ終わっちゃいねーよ!」


 フォードは左手を振り回して攻撃をしたのだが、左腕は掴まれた。


「なっ! がっ……がァァァァァ!」


 フォードの口から、野太い悲鳴が響いた。本当に苦しそうだ。というか、白い仮面の奴は一体何をしている?


「やっ……やめろ……やめてくれ!」


 攻撃を止めろと懇願したフォードだったが、その声は相手には届かなかったようだ。しばらくし、骨の折れる音が会場に響いた。白い仮面がフォードの左腕を離すと、その左腕は力を失ったかのように垂れ下がっていた。


「あ……あああ……」


 攻撃の手段が途絶え、逃げることも不可能。この状況下で逆転はできるかどうか? ハッキリ言って無理だろう。私はそう思っていた。フォードもそう思っているらしく、最初の勢いとは真逆の態度をとっていた。


「頼む……殺さないでくれ……まだ死にたくない……」


「あーらら、これまで四十人以上は殺した男が、こんな泣き言を言っているよ!」


 と、司会者が茶化すようにこう言った。こいつ、一言多いなー。遭遇した時に蹴り浴びせたろか?


 白い仮面は左手を上に上げ、魔力を練り始めたようだ。奴の手のひらには無数の魔力が集まり、円状になった。


「おい待ってくれ……止めろ。止めてくれ、死にたくない! 死にたくない!」


 殺される。そう思ったのだろうか、フォードは目に涙を浮かべながら叫んだ。しかし、この叫びは白い仮面には通らなかったようだ。白い仮面は円状の魔力をフォードに向けて投げた。


「あ……ああ……あひぃ……」


 円状の魔力は、フォードの足元に突き刺さった。だが、フォードは殺されたと思い、白目を向けて泡を吹いていた。この様子じゃあもう戦うことはできないだろう。


「えーっと、フォード選手戦闘不能! 勝ったのは白い仮面の人です!」




 ブレアが白い仮面の戦いを見て興奮している横で、再び部屋にきたゴベは許可を得てパソコンを開いていた。モニターに映る絵や文字を見て、ゴベはにやりと微笑んでいた。


 しばらくし、ゴベは腕時計を見てブレアにこう言った。


「すみません。ちょっと外へ行ってきます。パソコンの電源は切っておきますので」


「分かった。次は話題になっているコゴローという奴と、あの白い仮面の戦いだから、見たければ早く戻れよ」


「お言葉ありがとうございます。では」


 ゴベはそう言って、部屋から出て行った。彼が向かったのは、白い仮面の控室だった。ゴベは不機嫌そうに白い仮面に近付ついてこう言った。


「何で始末しなかったんだ? こいつにかけてある魔力が上なのか?」


 ゴベは考えごとをしながら、白い仮面の周りを歩いていた。


「しゃーない。今回は許してやるけど、次に戦うコゴローという奴は必ず始末しろよ」


 ゴベはこう言いながら、両手に魔力を発し、白い仮面の頭に当てた。白い仮面は体を震えさせた後、動きを止めてこう言った。


「分かりました……」


「それでいい。必ず殺せ」


「分かりました……」


 ゴベは白い仮面の返事を聞き、控室から出て行った。


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