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ハイウェイでの逃走劇


ヴァリエーレ:ハイウェイ


 ナディさんと連絡を終えて、数分が経過した。私が奪ったバイクにはマスカレードファイト会場までのナビがあるし、このまま会場へ乗り込んでルハラたちと合流して皆を助けるという選択肢もあったが、三人が捕まった可能性があると考え、酷いことをされている三人の姿が脳裏に浮かんだ。そんなこと……絶対にさせない! そう思っていると、ナディさんから連絡が入った。


「ヴァリエーレさん、聞こえますか!」


「ええ。バッチリ」


「ティーアさんとヴィルソルさんの居場所が分かりました!」


「私が奪ったバイクに居場所のデータを転送できる?」


「えーっと……そのバイクのナンバーを教えてください」


「114の514よ。ナビはちゃんとあるから安心して」


「了解しました。では、データを送りますので少々お待ちください」


 この時、後ろから無数のバイクの音が聞こえた。どうやら、あいつらが仲間を呼んできたみたい。


「ナディさん。通話は切るわ。しばらくしたら連絡をします!」


「はい! 気を付けて!」


 連絡を終え、私はアクセルを強くひねった。


「あの女、俺たちから逃げようって考えていますよ!」


「そんなことさせるかよ! 俺たちも追うぞ!」


 後ろのバイク軍団は、更にスピードを上げて私を追ってきた。すると、両端に奴らのバイクが追い付いてきた。


「諦めて止まりな」


「その体を俺たちに捧げれば、命だけは助けてやるよ」


「断るわ」


 私は左手にハンドガンを装備し、奴らのバイクのタイヤに向けて発砲した。タイヤを撃たれたバイクはバランスを崩し、倒れてしまった。その際転倒したライダーは後ろにいた仲間のバイクにはねられた。この衝撃で、奴らの一部が転倒した。


「くっそ! よくも俺の仲間を!」


 軍団の中央にいる大型バイクに乗ったボスらしき男性が、歯ぎしりしながらこう言った。


「ボス。ここは我ら……」


「マスクライダーズが行きます」


「うむ! 頼んだぞ!」


 その後、五人の仮面を被ったライダーが、私の周りを取り囲んだ。ハンドガンで撃たれないためか、私の周りをぐるぐると回っている。


「さぁ、バイクを止めろ」


「でないと、痛い目に合うよ」


「俺たちの言うことを聞け」


「敵の言うことを聞くと思う?」


 私は奴らにこう言うと、ハンドガンをしまって、空いた左手に電撃を発した。


「魔力だ! 皆下がれ、魔力を使うつもりだ!」


「もう遅いわよ」


 私は電撃を空に向け放ち、私の周りに電撃の雨が降るように攻撃をした。


「電気の雨だ! 避けろ!」


「ダメだ、避けきれない!」


 マスクライダーズは、私の電撃を浴びて次々と転倒していった。


「うぬぬぬぬぬ……ええい! 役立たずが! あの女は俺がやる!」


 どうやらボスのお出ましのようね。その時、ナビから音が鳴った。どうやら、ナディさんのデータが転送されたようだ。ティーアとヴィルソルはこのハイウェイを抜けた先の近くの橋の下。二人ともいるみたい。だけど、ナルセだけはまだ居場所が分からないようだ。


「さて、急がないと」


 私はスピードを上げようと思ったのだが、目の前にライダーのボスが現れた。


「ここから先へは行かせねーぜぇ」


「無理にでも行かしてもらうわ」


 私はスピードを落とし、ボスから距離を取った。


「俺から逃げる気か? 後ろには部下がいるぞ!」


「知っているわよ」


 部下の近くまで下がると、後ろにいた部下たちは私に追いつこうとしていたが、上げすぎたスピードは簡単に落とせず、ハンドル操作を失敗して転倒するライダーがいた。


「丁度いいわね……」


 私は奴らの後ろまで下がり、バイクから降りて魔力を溜め始めた。私の両手には、火花のように音を鳴らす強い雷が発生していた。


「な……何をするつもりだ、あの女!」


「ボス……わし、いやーな予感がします」


「逃げた方がよくないですか?」


「だとしても……こんなに混雑している中でバイクを動かせるか?」


 あいつらはごちゃごちゃしていて、身動きが取れない状況だ。さぁ、この溜まった雷をあいつらにぶつける時がきた!


「私の雷を喰らいなさい!」


 私の両手から放たれた強烈な電撃の弾は、奴らに向かって飛んで行った。途中、電撃の弾は無数に分裂し、奴らの周りを取り囲んだ。


「ぼ……ボスゥゥゥゥゥ!」


「もう嫌だ! こんな仕事!」


「あーん! 死にたくない!」


 敵の泣き言がここまで聞こえた。だが、殺しはしないけど容赦はしない。私は無数の電撃の弾を奴らにぶつけた。聞こえるのは電撃が炸裂する音と、奴らの情けない悲鳴。私の目前だけは、昼間のように明るくなっていた。だけど、しばらくして電撃によって発生した光は消えた。そこには、黒焦げになった連中の姿があっただけ。さて、二人を助けに行かないと。私はバイクに乗り、二人が捕らえられている場所へ向かって行った。


「あ……逃げちゃいますよ、ボス……」


「こんな状況で追えるわけねーだろ……」


「ですよね」


 後ろから、敵たちの情けない会話の声が聞こえた。




ヴィルソル:マスカレードファイト会場から離れた橋の下


 チッ……この変態野郎、どれだけ我の体を舐めれば気が済むのだ。特に胸のあたりを集中して舐めたり揉んだりしてくる……正直気持ち悪い。


「フヒッ、フヒッ、フヒヒヒヒヒ。こんな幼いのに人妻だなんて、興奮するじゃないか」


「気持ち悪いな、貴様。その性格のせいで女に相手にされなかったのか?」


 我の言葉を聞き、変態の動きが止まった。


「俺を怒らすなよ、ガキ。そうだ……ちょっと早いけど、お楽しみの時間と行こうか」


 奴はそう言うと、ズボンを脱ぎ始めた。まずい! 我はケンジ以外の男に抱かれたくない! それに、下品な男が相手とは、正直言ってとっても嫌だ! 魔力を使いたいのだが、我を縛っている縄には魔力を封じる効果があるらしく、そのせいで魔力を発動することができない!


「さぁ……始めようか!」


 もう……手はないのか。我と勇者はこんな奴に抱かれてしまうのか……そんなの嫌だ……ケンジ、助けて……と思っていると、空からバイクの音が聞こえた。


「ふひ?」


「助けにきたわよ!」


 予想外、空からバイクに乗ったヴァリエーレが降ってきた。ヴァリエーレは変態野郎の上に着地し、我と勇者の体を縛ってある縄を切った。


「ヴィルソル、相当酷いことをされたみたいね」


「すまんヴァリエーレ。本当に助かった」


「ティーアは気を失っているの?」


「ああ。前の戦いでのダメージが残っている」


 我は水を使い、体を洗っていた。その時、あの変態野郎が気を取り戻した。


「仲間の登場か……お楽しみの邪魔をしやがって……」


 ヴァリエーレはレイピアを装備し、刃先を奴に向けてこう言った。


「少し痛い目に合わないと駄目らしいわね」


 レイピアの刃先は、凄い量の電撃が流れていた。我は察した。あの状態で攻撃するのだなと。


「ごめんなさい。つい……」


「そんなので許すわけがないでしょ!」


 その後、ヴァリエーレの猛攻撃が変態野郎を苦しめた。哀れだと思ったけど、我の体を弄んだ罰を受けないと気が済まない。我は悲鳴を上げる変態野郎の顔を見て、にやりと笑っていた。


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