忍び寄る危機
ブレアは部下にVIPルームを調べさせている間、自分はソファに座って剣地の試合を見ていた。
「面白い坊主だ。木馬同士を激突させて試合を中断させるとは」
「ブレア様。調べ物が終わりました」
部下の言葉を聞き、ブレアは振り返った。
「で、何がないか分かったか?」
「先月のマスカレードファイトの勝敗表です」
報告を聞き、ブレアは葉巻を口に入れ、火を付けて煙を吸い込んだ。しばらくし、ゆっくりと煙を吐き出した。
「何でそんなのを盗んだのかは知らないが……警察に伝えておこう」
「警察に? でも、そんなことがばれたらセブンワーオンは……」
慌てる部下に対し、ブレアは低い声で笑ってこう言った。
「そんなに慌てるな。警察は俺の味方だ。金さえあれば、どうとでもなる」
この言葉を聞き、部下は安心した表情を見せた。
「そうだ。安心しろ。でも、次にこんな失態を犯したら給料を下げるだけじゃあ済まないからな」
「はっ、分かりました!」
「よし、下がれ」
ブレアがこう言った後、部下たちはVIPルームから出て行った。だが、何かを思い出したかのように、ブレアは部下にこう言った。
「一つ伝えることがあった。さっきの試合で派手に暴れた坊主……名を何という?」
「木馬同士の激突事故を起こした奴隷ですか……確かコゴローと言います」
「コゴローか。あいつをVIPファイトへ案内させろ」
「了解しました!」
その後、部下は挨拶をしてVIPルームから出て行った。
成瀬:セブンワーオン本社、屋根裏
ふぅ。やーっと社長室の上にたどり着いたみたい。すぐに忍び込みたいけど、中には監視カメラが設置されている。扉と窓の上に設置されていて、更に机の近くに二台ある。合計四台か……どうしようか考える前に、ヴァリエーレさんに連絡しよう。
屋根裏に待機し、私はヴァリエーレさんに連絡を取った。数分後、ヴァリエーレさんから返事がきた。
「待たせてごめん。近くに秘書のルリさんがいたから」
「で、彼女は?」
「別室にいるわ。ナルセは今どこ?」
「社長室の上。監視カメラだらけで入りにくいの」
「予想通りね。じゃあ、私の電撃でこの会社全体を停電させるから、その隙に証拠を手に入れて」
「分かりました」
連絡を終え、私は屋根裏で待機をしていた。数分後、監視カメラの動きが止まった。そして、外からこんな声が聞こえた。
「うわ! 停電だ!」
「雷でも落ちたか?」
「雨は降ってないけど」
「ブレーカーが落ちただけだろ。近くにいる奴に上げろって言ってきて!」
ヴァリエーレさんがやってくれた! 私は急いで社長室に侵入し、素早く部屋全体を調べた。そして、机の中からカプセルのような物を見つけた。近くに置いてあった紙には、リバースカプセル試作品と書かれていた。どうやら、これがリバースカプセルのようだ。その時、ヴァリエーレさんから連絡が入った。
「今社長室の前にいるわ。証拠は手に入れた?」
「はい。今行きます」
会話後、私は扉の前に移動し、少し扉を開けてそこにいたヴァリエーレさんにリバースカプセルを渡した。
「私はすぐに戻るわ。ナルセもすぐに戻ってね」
「はい」
会話後、私は扉を閉めて屋根裏に戻ろうとした。ふぅ、何もなくてよかった。
「いやー、まさかネズミちゃんがいるとは思いもしなかったな」
え、誰? 私は振り向いて声の主を確認しようとしたが、その前に意識を失った。
ヴィルソル:パトカーの中
戦いから数分後、ナディの知り合いと言う警官が我と勇者を迎えにきた。警官は我らをパトカーに乗せ、急いでナディがいる警察署にパトカーを走らせた。
「う……うう……」
「勇者、やっと気付いたか」
怪我をして、気を失っていた勇者が目を覚ました。
「ここは?」
「パトカーの中だ。ナディの連れの者が迎えにきた」
「そっか……」
我はナディの仲間と合流したことを報告しようと思い、通信機のスイッチを入れた。
「ナディか? 今、お主の仲間が迎えにきてくれたぞ」
「仲間ですって? この事件を担当しているのは私とほんの一部の人だけです。その人たちは今、私と本部にいますが……まさか!」
油断した。相手は超が付くほど有名な大企業。警察を動かすのも簡単にできるというのか!
「おやおや、ばれてしまったねぇ」
「貴様、死にたくなければパトカーを止めろ」
我は槍を装備し、運転手に突き出した。だが、運転手は動揺することなく運転をしていた。
「我の言葉が聞こえてなかったのか?」
「状況を考えな。今、立場は俺の方が上だぜ?」
運転手はそう言うと、何かのスイッチを押した。そして、周りから紫色の煙が発生した……あれ……意識……が……
ヴァリエーレ:セブンワーオン本社、入口
ナルセからリバースカプセルのサンプルを貰ったのはいいが、あれからナルセの連絡がない。私が連絡を送っても、何も反応はなかった。
「では、私はこれで帰ります」
「すみません。停電などの騒ぎがあって……」
「いえいえ。仕方ありませんよ」
私はルリさんにこう言うと、挨拶をして本社から出ようとした。しかし、目の前に黒服の男性が現れた。
「このまま帰れると思いですか? ヴァリエーレ様?」
「これは何の冗談ですか?」
「しらばっくれんじゃないわよ。あんたたちがこの会社を調べているの、すでにお見通しですよ」
どうやら、私たちの行動はすでに敵側に知られているようだ。私は通信機を使い、ナディさんにこう言った。
「ナディさん。作戦変更です。私たちの行動が相手にばれていました」
「すみません……一部の警察の人間がセブンワーオンに操られていました。ティーアさんとヴィルソルさんが捕まった可能性があります!」
「そうですか……ナディさん、ここから先は私の独断で動きますので」
「え?」
「次に連絡をするまで待っていてください」
私は通話を切ると、剣と銃を装備した。
「仕方ありません。本来なら暴れたくはありませんが」
「あなたたち! 早くヴァリエーレを止めなさい!」
ルリが黒服の男性にこう言った。目の前にいた黒服の男性と、ロビー内に隠れていた黒服の男性たちが私に向かって襲い掛かった。だが、あんな連中は私の敵ではなかった。一瞬で片が付いてしまった。倒れた男性を見て、ルリは唾を吐いてこう言った。
「使えねー野郎だ。私が相手するしかないわね」
ルリはそう言うと、両手に爪を装備して私を睨んだ。
「その体を斬り刻んでやるよ」
「やれるものならやってみなさい」
私はルリに向けて、剣を構えた。
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