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囲まれた勇者と魔王


ヴィルソル:マスカレードファイト会場、天井裏


 ルハラと別れた後、我と勇者は地上へ戻るために潜入してきた道を戻っている。移動中、我はこの状況を不審に思っていた。我と勇者がVIPルームに入ったことを連中は察しているだろう。もし、潜入者が抜けるとしたらここしかない。多分。もしかしたら道はあるかもしれないが。


「やっぱりおかしいね。追手の連中がこないよ」


「お前もそう思うか」


 勇者も我と同じことを察していた。となると、可能性の一つして連中は我らが出てくるのを待っているだろう。


「勇者、外に出た時に戦えるように準備をしておけ」


「ばっちりだよ。どうせなら、外に出る前にでかい魔力でも使う?」


「騒ぎがこれ以上大きくなったらどうする」


 会話を終えたその後、我と勇者は外に出ることに成功した。周囲を見回し、敵の有無を確認した。


「敵はいないが……」


「魔力の気配は感じるね」


「これで隠れたつもりなのだろうか」


 我は光と闇を発し、隠れている奴に攻撃をした。後ろの柱の裏から男の悲鳴が聞こえた。その声に合わせて、他の連中が姿を現した。


「貴様ら、よくも仲間を」


「これ以上暴れてみろ、どうなるか分かっているだろうな? 侵入者さんよ」


 奴らの言葉を聞き、我はため息を吐いてこう言った。


「どうなるか分かっているかって? 知らぬ」


「とりあえず今分かるのは、君たちがぶっ飛ばされるってことだけだよ!」


 勇者は闇を発し、黒服に攻撃を仕掛けた。攻撃を受けた奴もいるが、一部の奴は勇者の攻撃を防御した。


「こいつも闇を使うのか……」


「皆、銃を使え!」


 連中は銃を構え、我と勇者に向けて発砲し始めた。我はバリアを張ったのだが、バリアに割れ目が発生した。


「威力が高い弾丸を使っているな」


「このままじゃあバリアを張っていても意味ないよ。どうするの?」


「傷を受けることを覚悟して仕掛けよう。相手は多勢。魔力で攻撃するぞ」


 会話後、我はバリアを解除して高く飛び上がった。


「やるではないか! だが、これを受け止めることができるか?」


 我は両手に闇を発し、一つに合わせた。そして、闇から無数の光線を発射した。


「皆、避けろ!」


 連中は叫んだが、我が放った光線を避けられる奴はいなかった。皆攻撃を喰らって倒れて行った。中には攻撃をかわし、我に銃口を向ける奴がいた。


「こいつを喰らいな!」


「おっと、そうはさせないよ」


 勇者が我を狙っている奴に近付き、剣で攻撃をした。


「銃を持っている奴は宙に浮いている奴を狙え! 剣を持っている奴はあいつを斬れ!」


「私を斬るって? やれるものならやってみなよ!」


 勇者は剣を持っている男に近付き、強烈な飛び蹴りを浴びせた。その時、男が持っていた剣を奪い取り、それを左手に持ち替えた。そして、自分の剣を右手に装備した。ほう。二刀流で戦うのか。


「さーて、本気で行くよ!」


 勇者はそう言った後、姿を消した。いや、姿が消えたと思ったのは奴らだけだろう。今、勇者は光を使って猛スピードで動いている。強くなければあの動きは見切れないだろう。どうやら、我の出番はないようだな。だが、少し離れた所に奴らの仲間らしき男が現れた。


 やれやれ。我の相手はあいつらのようだな。下の連中は勇者に任せよう。我は遠くにいる奴の一人に接近し、にやりと笑った。


「なっ! 俺に気付いたのか!」


「どうも、ごきげんよう」


 我は槍を装備し、男に攻撃をした。


「おい、いつの間にかあいつがここにいるぞ!」


「何だって! さっきまではあそこにいたのに!」


「クソ! こいつら強いぞ!」


「やるしかない!」


 男の仲間が我を囲み、武器を構えていた。


「一斉発射!」


 攻撃の準備はできていたようだな。男たちは我に向かって一斉に銃を発砲した。だが。そんな簡単な攻撃が我に通用するか。我は高く飛び上がり、銃弾を回避した。


「上に逃げたぞ!」


「撃て! 撃ちまくれ!」


「銃を撃つことしかできないのかお主らは」


 我はこう言った後、光と闇を同時に放った。右手に光を持ったまま、我は闇を下に落とした。


「何か落ちてくるぞ!」


「撃って壊せ!」


「ダメです、撃っても壊れません!」


「仕方ない、離れろ!」


 男たちは我から離れようとしたが、我が放った闇魔法は床に落ちた。我から逃げられると思っているのかこいつらは? 無駄なことよ。


「貴様らに一つ言っておく。我から逃げられると思うな」


 我はこう言った後、闇を操って下から地面を持ち上げた。


「じ……地面が!」


「どうなっている?」


 奴らが動揺している中、我は右手の光を大きく広げた。そして、それを奴らに向かって投げた。


「我の光で浄化されろ」


 この直後、我が放った光を浴びた連中は、大きな傷を受けてその場に倒れた。ふぅ。我の方は片が付いた。勇者はどうだろうか?




ティーア:マスカレードファイト会場入り口付近


「敵が見えません! グアァッ!」


「目で追うな! 音で探せ……ギャアッ!」


「く……クソッ! こうなったらやけだ!」


「バカ野郎! やけになって銃を乱射するな! グファッ!」


「しまっ……ウワァッ!」


 私に斬られた男たちは、喋りながら倒れて行った。私は動きを止め、自分の周りを見た。そこには、私に斬られて倒れている男たちの姿があった。


「これで全部かな」


 私は剣をしまい、魔王の元へ行こうとした。だが、大きな影が私に近付いてきた。


「なるほど、凄腕のようだな……」


 その正体はかなり大きな男だった。身長は二メートルありそう。しかも、かなり筋肉質。


「子供が相手だからと言って手加減はしない。本気で殺す」


 男はそう言うと、大きな声を発した。その声と共に、スーツの上半身が破れて散った。


「ウワッ! 物凄い筋肉!」


 上半身裸になったせいで、男の筋肉があらわとなった。相当鍛えたのだろう。腕も腹筋も胸板も筋肉でできていた。


「スキル、ファントムアーマー!」


 で、更にファントムアーマーを使って来たか。あれは確かクァレバの誰かが使っていた記憶がある。防御力は上がるけど、重さは増すはず。何であんなのを使うのだろう?


「油断したな」


 私は男の方を振り返ろうとしたが、その前に強烈な一撃が命中した。


「ガハッ!」


 攻撃を受けた私は、遠くの柱にぶっ飛んだ。


「おっと、やりすぎてしまったようだな」


 男はにやりと笑い、腕を振り回してこう言った。私は立ち上がり、両腕を回してこう言った。


「案外やるね。結構痛かったよ」


「ほう。このサキャリの一撃を喰らって生きているのか。これはいい相手に出会えた」


 この男、サキャリは強敵と出会えて楽しそうだ。私は全然楽しくない! この人、相当戦いが好きみたいだ。


 さっきのやり取りで大体のことは分かった。サキャリはファントムアーマーを使っても、その重さに耐えられるほどの筋力を持っている。本気の攻撃が命中すれば、勇者の私でさえやばいことになる。まさか、こんなに強い奴がいるなんて思わなかったな。


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