勇者と魔王の潜入劇
成瀬:セブンワーオン本社、天井裏
うーん……やっぱり天井裏だけあって、ホコリや塵がたくさんある。うえ。また口の中に入った。
私はセブンワーオン本社の天井裏に侵入し、会長室に向かって移動している。近くまで近づいたらヴァリエーレさんに連絡をし、会長室前までに移動してこっそり電機の魔法を使い、会社全体を停電させる。そして、停電中に私が会長室に侵入してマスカレードファイトを開催している証拠、そしてリバースカプセルの情報を集める。以上が私とヴァリエーレさんの仕事だ。
にしても、会長室は一体どこだろう。ナディさんから貰った資料だと、そろそろ着くころだけどな。そう思いながら、私はナディさんから事前に貰った地図のデータを見ながら現在地を調べていた。ティーアとヴィルソルも今マスカレードファイトの会場へ侵入しているだろう。二人とも、無事だといいけれど。
ティーア:マスカレードファイト会場、関係者用通路
ケンジが暴れたおかげで、観客も見張りも試合に釘付けとなった。そのおかげで私と魔王が関係者用の通路に入ることができた。
「さて、身を隠しながら移動しよう」
「ああ。勇者、お前はたまに突っ走ることがあるから気を付けろよ」
「了解」
何かあれば突っ走る。自分の性格は自分で把握している……つもりだ。慎重に冷静に行かないと、危ない目に合うからね。
私と魔王は身を隠しながら移動を始めた。関係者用なのか、黒服の男性があちらこちらにいた。資料を持って歩いていたり、歩きながら雑談をしたりしている。見たところ彼らの戦闘力はあまりなさそうだ。だが、数が多すぎるので、戦闘となったら数の方で私たちが不利になるだろう。戦いを避けるためにも、見つからずに移動しないと。
しばらく歩いていると、私たちの耳にこんな会話が聞こえた。
「ブレアさんはいつくる?」
「さっき会場近くのオルディーヌ大橋を通過したと連絡が入ったぜ」
「じゃあ後十分ほどだな。で、あの奴隷のことは伝えたか?」
「ああ。興奮しながら返事していたぜ。生きのいい奴隷が入ったって」
「確かに興奮するよな。あのベガードを倒しちまうなんて」
「殺してはいないけど、追い詰めたのは確かだ」
「今後、あいつがこの戦いの中心になって行くのは確実だな」
どうやら、後十分ほどでブレアがここにくるらしい。そして、彼らはケンジの活躍を見て驚いている。もし、次にケンジの試合が始まったら、皆注目するだろう。
「そうだ。あの人の部屋の掃除は済んだか?」
「今清掃班がやっていると思う」
「早くしろと言っておけ。あの人、細かいゴミとか見たらうるさいからな」
今、奴が使う部屋は掃除中らしい。いい情報が入った。部屋を見て回って、掃除中の下手を見つけたら、そこがあいつの部屋だ。
「魔王、準備はいい?」
「大丈夫だ。一気に行くぞ」
その後、私と魔王は移動を始めた。人の気配がいないときは素早く行動し、気配を察した時に身を隠す。その方法で通路を移動していた。
しばらくし、掃除機をかける音が聞こえた。私は音が聞こえた方を見ると、そこにはVIPルームと書かれた小さな看板があった。
「あそこだな」
「うん」
私と魔王は部屋から清掃員が出ていくのを確認した後、急いで扉に近付いた。扉には鍵がかけてあったが、魔王が水を凍らせて鍵を作り、鍵を開けた。静かに扉を開き、中に入るとすぐに扉を閉めた。
「鍵は閉めたぞ」
「了解。じゃあ、調べるとしますか」
部屋の中には黄金のテーブルやソファー、宝石が埋め込まれた鏡があった。天井には金ぴかのシャンデリアがあり、テーブルの上の料理も超が付くくらいの高級品があった。
「一つ持って行ってもばれないかのう」
「ばれるよ。食べたい気持ちは分かるけど抑えて」
その時、私は魔力を右手に発して地面にぶつけた。監視カメラがあった。偉い人の部屋だから、監視カメラがあってもおかしくはない。私は急いで監視カメラを破壊したのだ。
「監視カメラか?」
「もしかしたら見られた可能性があるよ」
「黒服の男がくる前に証拠を見つけよう」
その後、私と魔王はこの部屋を調べ始めた。テーブルの上に乗っている資料や本棚の中にあるファイルなどを取り出しながら、ブレアに関する資料を探した。しばらくし、私はこんな資料を見つけた。
マスカレードファイト勝敗表 その三十三
執筆者:ブレア・ナンセース
「魔王、証拠を見つけたよ」
「我もじゃ。マスカレードファイトで発生した死者の数を記録した資料が。書いた奴はブレアじゃ」
「私もそう。これだけあれば、証拠になるね」
「よし、さっそくここから出よう」
証拠を手に入れ、私たちは部屋から早く出ようとした。だが、外から無数の足音が聞こえた。まずい! 最初に扉を開けたのが映像に残っていたようだ!
「勇者、隠れるぞ!」
「どこに隠れるの?」
「天井裏じゃ!」
魔王は高く飛び上がり、天井に張り付いた。そして、天井のパネルを外して裏へ行ける道を作った。よし、これなら逃げることができる! 私は急いで高く飛び上がり、天井裏へ侵入した。魔王が急いでパネルを閉め、魔力でパネルを元通りに設置した。
「資料は落としてないか?」
「大丈夫。ここにあるよ」
私は服にしまってある資料を魔王に見せた。それを見た魔王はほっと溜息を吐いた。しばらくし、下から扉が開く音と激しい足音が聞こえた。
「どこへ行った!」
「まだこの辺りにいるはずだ、探せ!」
「部屋中をくまなく探せ、隠れている可能性もあるぞ!」
ここからじゃあ分からないけど、黒服の男性が部屋に入ってきたのだろう。証拠は手に入ったし、こんな所から離れよう。
「安全な所ってわかる?」
「貰った地図があるから大丈夫じゃ。よし、女子トイレの上に移動しよう」
その後、私と魔王は天井裏を通り、女子トイレの上まで移動した。到着した時、私はルハラに連絡を入れた。
「ルハラ、ルハラ。返事ができる状況なら、返事をして」
「大丈夫だよー」
私と魔王のイヤホンから、ルハラの声が聞こえた。よかった、ルハラは無事のようだ。今、私たちの耳には連絡のためにイヤホンを付けてある。私たちはルハラとヴァリエーレに連絡がつながるようになっている。
「で、そっちはどう?」
「証拠は手に入ったよ」
「今は観客席側の女子トイレの上にいる。そこで合流してくれないか」
「なんかあって避難中だね。今行くよー」
ふぅ、仕事が簡単に終わってよかった。さて、後はルハラと一緒にえぐい試合を見ることになるのか。それもそれで嫌だなー。そう思っていると、ルハラから連絡があった。
「下にきたよー」
「じゃあ今から行くから。待っていて」
会話後、私と魔王は下のトイレに降りた。そこにはすでに私たち用の着替えと仮面を持ったルハラが待っていた。
「他に人はいる?」
「私だけ。着替えるなら今だよ」
「分かった」
その後、私と魔王はすぐに着替えをし、ルハラと共にトイレから去って行った。
さて、私と魔王は入手した証拠をナディさんの同僚に渡さないと。こんな物騒なことを考えた連中をコテンパンにしてやる!
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