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雷と弾丸の戦い


剣地:闘技場


 俺は目の前で不敵に微笑んでいるベガードを睨んでいた。こいつ、ためらいもなく奴隷のおっさんたちを次々と殺していきやがった!


「戦う前に一つ聞きたい」


「いいだろう。こう見えて、私は紳士でね」


 ベガードは銃のシリンダーを回しながら、俺にこう返事をした。


「あんたに良心はないのか?」


「そんなもんとっくに捨てたさ。あんなものがあったら生き延びることができないよ」


「そうか……分かった」


 俺は電気を操り、刀のような形に成形した。そして、剣先をベガードに向けてこう言った。


「答えを聞いて結審したよ。心置きなくあんたを半殺しにしてやる」


「おや、殺さないのか」


「俺はあんたみたいな殺人狂じゃない」


 その時、ベガードは俺に向けて銃弾を放った。俺は電気の刀で向かってくる弾丸を切り落としていった。


「ヒィィィィィ!」


 そう言えばそうだった! 生き残った奴隷のおっさんが俺の後ろにいた!


「あんたは被害を受けないところに行ってくれ、俺はあいつと戦う!」


「わ……分かったよ」


 奴隷のおっさんは俺の言うことを聞いて、下に行こうとした。だが、ベガードは奴隷のおっさんに銃口を向けていた。


「逃しはしないよ」


「させっか!」


 俺は電気の刀を投げ、ベガードの腕に突き刺した。


「うぐぅっ!」


 ベガードは手にしていた銃を地面に落とし、腕に突き刺さった電気の刀を引き抜いた。


「酷いことをするねぇ……うわ、痺れる」


「言っただろ、あんたを半殺しにするって」


 俺はもう一本の電気の刀を作り、ベガードに接近した。俺の刀の攻撃を防ぐためか、ベガードは手を前に出し、バリアを張った。こいつ、バリアを張れるのか。


「オラァ!」


 こうなったら、バリアを破壊して攻撃してやる。俺はそう考え、ベガードの張ったバリアを刀で破壊した。ベガードはバリアを破壊された衝撃で後ろに吹き飛んだ。


「チィッ!」


 吹き飛んだベガードは、何とか着地しようとし、ジャングルジムを掴んだ。


「ここまでやるとは思わなかったよ。さて、おじさんも本気を出さないとね」


 ベガードは銃を俺に向け、三発の銃弾を放った。だが、どれもこれも軌道がおかしい。弾丸は三発とも俺から外れて飛んで行った。


「何がマスカレードファイト一のガンマンだよ」


「ところがどっこい」


 俺は何かの気配を感じ、後ろを振り向いた。俺から外れた弾丸は、軌道を変えて俺に向けて飛んできた。あの弾丸、追尾機能があるのか!


「避けられるものなら避けてみな」


「避けられないなら、破壊するまでだ!」


 俺は左手に電気を発し、飛んでくる弾丸を打ち落とした。


「ま、ここまでは私の予想通りだ」


 ベガードはこう言った。どうやら、俺が追尾弾に集中している間にリロードをしていたようだ。


「さ、次こそ死んでくれよ」


 今度は俺に向かって四発の弾丸が飛んできた。内二発は俺に向けて、他の二発は俺から外れて飛んで行った。


 俺は向かってくる弾丸を落とした後、後ろを見て外れた弾丸の軌道を見た。どうやら、まだ俺に向かって飛んでくる気配はなさそうだ。


 接近しよう。俺はそう思い、刀を構えてベガードに向かって走って行った。


「甘いねぇ。まだ二発残っているよ」


 ベガードは銃口を俺に向けて構えていた。


 あいつの銃はリボルバー式。俺が持っているのと同じであれば、シリンダーに入れられる玉の数は六発のはずだ。二発弾丸が残っているのは俺も予想がついている。そんな中で相手に向かって突っ込むのは、ある考えがあるからだ。


「本当に突っ込んでくる気かい? まともだと思ったけど、案外君ってバカだね!」


 奴の挑発を無視し、俺は高く飛び上がった。


「高く飛んで攻撃をかわすつもりかい?」


 ベガードは上空にいる俺の方を向き、銃口を合わせようとした。ベガードが上空の俺を見て、銃の引き金を引くまでにはそれなりの時間がある。そして、俺に集中しているせいで追尾弾の操作もできないはずだ。その攻撃ができない時間を狙い、ベガードに向かって電撃をお見舞いする!


「痺れな」


 俺は閃光のような電撃をベガードに向けて放った。この時に俺の攻撃を察したのか、ベガードは体を少しそらしたが、電撃は右肩を貫いた。


「ガアッ!」


 この攻撃を受け、ベガードは片膝をついた。俺はベガードに接近し、手にしているリボルバーを奪い取った。


「私の銃を……」


「立場逆転だな」


 この時すでにベガードが放った追尾弾は壁に命中していて、もう使い物にはならなかった。この戦い、俺が制した。


「これで勝ったと思うなよ!」


 だが、ベガードは俺が油断している隙を狙い、炎を発した。こいつ、火の魔力が使えるのか!


「魔力に関するスキルを持ってないから、あんまり使いたくなかったけどねぇ……こっちも死にたくないからね」


 ベガードはまだ動く左腕を使い、炎を操った。俺は奴が放つ炎から逃げ回った。


「さぁ、銃を返しな!」


「返せって言われて、素直に返す奴がいるかよ!」


 俺は下にもぐり、奴の攻撃をかわそうとした。だが、ベガードが放つ炎はさらに熱さを増し、戦いの場であるジャングルジムを溶かし始めた。


「君に選択権を上げよう。私に殺されるか、ジャングルジムと一緒に溶けて死ぬか。さぁ、どっちがいい?」


 これはまずい。俺はそう思い、奴から奪ったリボルバーを装備し、奴に銃口を向けた。


「どっちも嫌だね」


 俺はそう答えると、リボルバーの引き金を引いた。ベガードは驚いていた。俺が銃を使えることに驚いたようだな。その時すでに、弾丸はベガードの左肩を貫いていた。


「グァァァァァァァァァァ!」


 両腕をやられ、ベガードは後ろに下がって行った。熱で足場が溶かされたせいで、ベガードはバランスを崩し落ちそうになった。だが、ベガードは左腕で足場を掴んでいた。


「こんな所で……」


 ベガードは何とか足場へ上がり、俺の方を睨んだ。


「私を怒らせたね。君は必ず殺してあげるよ!」


 そう言って、ベガードは魔力を解放して火を発し、俺の周囲の足場を溶かし始めた。まずい! どうすればいい? 足場が溶け始めた。どうすればいいんだ? 俺がそう思っていると、急に奴の体が崩れた。


「何!」


「死ぬのはお前と俺だけだよ」


 何と、俺が助けた奴隷がベガードの足を引っ張ったのだ。戦いに巻き込まれないように下に避難したのだろう。引っ張ったその時、奴隷もバランスを崩し、ベガートと一緒に落ちて行った。そんな中、奴隷は俺に向かってこう言った。


「坊主! お前は生きてここから出ろ! 絶対に死ぬな!」


 その叫び声が聞こえた後、溶解液の方から落下音が聞こえ、煙が発した。




ティーア:観客席


 奴隷の人と、ケンジが戦っていた人が溶解液に落ちた瞬間、私たち以外の観客は歓声を上げていた。人が死ぬところを見てそんなにうれしいのかこいつらは? 感覚が狂っているよ。


「勇者、見張りが目を離しているぞ」


 横にいる魔王が私にこう言った。どうやら、関係者用の扉にいる見張りが戦いの様子が気になって少し場所から離れているようだ。


「この隙に行こう」


「ああ。この場にいる連中皆闘技場に注目している」


 私たちは見張りがいない隙を狙い、関係者用の扉を開き、中に入って行った。


 ここからが私たちの仕事の始まりだ。見つからないように移動し、ブレアがこの狂ったイベントを開催している証拠を探し出さねば。


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