狂ったゲーム
ヴァリエーレ:セブンワーオン本社
「まさか、ヴァリエーレ様がこの会社へこられるのは驚きました」
ブレアの秘書をやっている女性が私にこう言った。私とナルセはセブンワーオンに侵入し、ブレアがマスカレードファイトを主宰している証拠を探し出すことと、危険な開発品であるリバースカプセルの情報を集めること。
私の組の作戦では、ルーツアリ家の令嬢である私が会社へ入り、いろんな所へ見て回っている間、裏でナルセが証拠を集める。以前ケンジたちがベロラーダの悪事を暴くために行った方法と似ている。
「すみません。セブンワーオンが新しい薬を開発していると聞いて、少し気になってしまいましたの」
「そうですか。あなたは今家庭持ち、家族のために薬が気になるとはいい考えです」
「ええ。愛する人たちの身に何かあったら大変ですもの」
私は秘書の女性と話しながら、会社の中を見て回っていた。そんな中、資料を持って慌てている男性がやって来た。
「あ! やっと見つけましたよ、ルリさん! 会長がどこへ行ったか分かりますか?」
「ブレア会長なら、今外出中ですが」
「外出中? あー、そうだった。この日の夜は出かけるって言ってたなー」
「何か話があるのですか?」
「この資料にサインをしてほしかったのですが……外出なら仕方ないな。休み明けにしてもらおう」
そう言って、男性は資料を持って去って行った。
「あの人は?」
「ブレア会長の部下、ゴベさんです。真面目な方ですよ」
「へぇ……大変そうですね」
私はエレベーターに乗るゴベさんを見て、こう呟いた。
剣地:奴隷控室
奴隷の控室はあまりにも汚い。壁や床には変なシミがあるわ、そのシミに交じって血の跡もある。挙句の果てには壁にひび割れや、床から変な虫が湧いて出てきている。奴隷の扱いって本当に雑だなぁ。
「ケケケケケ……坊主も可哀そうになぁ……」
「若いうちにおもちゃにされるなんて」
と、二人のおっさんが笑いながら俺にこう言った。すると、黒服の男性が現れ、手にした紙を見てこう言った。
「名前を呼ばれた奴は俺に付いてこい!」
黒服の男は次々と奴隷の名前を言い始めた。だが、俺の名前は呼ばれなかった。何だ、俺に用はないのか。俺は周囲を見回すと、顔の色が変わる奴や体が震えだした奴がいた。どうやら、そいつらが番号を呼ばれたようだ。
「さっさとこい!」
「嫌だ! 死にたくない!」
「人を殺すなんて俺にはできねぇ!」
「貴様らの意見など聞くわけがないだろ! 黙って命令に従え、負け犬の奴隷共!」
黒服の男性は奴隷たちを無理やり連れ出した後、扉を閉めた。
「かわいそうになぁ……」
「人のやることじゃないな」
「この大会を作った奴は何を考えているのやら……」
「奴隷をおもちゃにして遊ぶことしか考えていないな」
「余裕があればクーデター起こしてやる」
周囲の奴隷から小声が聞こえた。どうやら皆、この大会に不満を持っているようだ。まぁこんな扱いをされたら誰だって不満は持つだろう。
その時だった。壁に付けられたモニターに映像が映ったのだ。
「うわ! 始まったよ」
「また趣味の悪いもんを見せられるのか?」
どうやら試合が始まるようだ。俺は一体どんなもんなのか、気になっていた。
「レディースエーンドジェントルメン! 今からゲームが始まります! ゲーム内容はクレイジージム! ルールは簡単! ジャングルジムの上で戦うだけです! 殺す方法は何でもあり! 下の溶解液のプールに相手を突き落すのもあり! さらに、装備している武器で相手を殺してもありです! とにかく生き残ればいいんです!」
司会のおっさんの説明を聞き、俺はマスカレードファイトのことをよく理解した。誰がこんなもんを考えた? 頭の中はどうなっている? 俺が怒りに燃えている中、さっき連れてこられた奴隷たちが、ジャングルジムの上に移動させられた。手には剣や槍、斧などを持っており、軽鎧や兜などを付けられていた。
「では、ゲーム開始!」
司会の声と共に、ゲームが始まった。
全員は最初、悲鳴を上げながら溶解液のプールに落ちないように移動を始めていた。だが、始まってすぐに奴隷の一人が足を滑らした。
「うわ! あいつ、落ちやがった!」
俺の横のおっさんがこう叫んだ。落ちた奴隷はそのまま溶解液のプールへ落下した。そして、プールから君の悪い色をした煙が発生した。
「あーあ、ドジって落ちちゃった。あほくさ。でー、奴隷共は逃げているのか、あいつら本当にやる気あんのかー?」
司会者は奴隷のことを見下すように実況していた。落ちて死んだ奴のこともバカにしていたし……本当にいつかこいつを張り倒してやろうか?
そんな時、ゲームは動いていた。奴隷の一人が別の奴隷に攻撃を仕掛けたのだ。
「そうそう! やりゃーできるじゃないの! えーっと、センズドンって奴隷がレレズって奴隷に攻撃を仕掛けた!」
センズドンは攻撃を仕掛け、手にしていた斧を振り下ろしたのだが、攻撃はかわされ、その際バランスを崩してプールへ落ちてしまった。
「あーあ、やる気ある奴が死んじゃったよ。お! 別の方では動きがあったぞ! 剣士経験のある奴隷が斬りあいをしているぞ! こりゃー激しい!」
カメラが剣士二人の戦いを映した。二人とも生き残るために必死に戦っていた。だが、その後ろでは別の奴隷が二人の様子を伺っていた。
「少し離れた所にいるのはスワンって奴隷だー! おーっと……あの二人の隙を狙って……攻撃を仕掛けたァァァァァ!」
スワンは二人の剣士に攻撃を仕掛け、二人をプールへ突き落した。落下していく二人を見て、観客は歓声を上げていた。
「この時点で三人死亡! 試合が始まってそろそろ三分! こりゃーいいゲームが期待できそうかー! おや?」
司会者はある光景を見て、顔に付けているメガネを動かし始めた。
「あらら? あらー何人かが上へ上がっていますねー。生き残るために他の連中が死ぬのを待つつもりでしょうか?」
殺し合いを避けるために行動を始めた奴隷が、ジャングルジムの上へ移動していた。その光景を見て、司会者は溜息を吐いていた。
「おバカですよねー。そんなおバカさんには……お仕置きをしましょう! さぁお願いします、お仕置きターイム!」
その直後、ジャングルジムに青い稲妻が走った。逃げようとした奴隷はもちろん、必死で戦っている奴隷たちも稲妻を浴びて痺れだした。その結果、痺れた奴隷たちはジャングルジムから手を離し、そのままプールへ落ちてしまった。結果、生き残った人はいなかった。
「あーあ、全員死んじゃったよ。まぁいいか。それじゃあ次のゲームが始まるまで待っていてねー! そうだ、今回の賭けは全員死亡に賭けた人が勝利だよ! 当たった人、おめでとう!」
司会者がそう言った後、モニターの映像は切れた。
マスカレードファイト……俺の予想を超えるほど狂ってやがる!こんなの、人のやることじゃない! 俺は怒りをぶつけるため、近くの壁をぶん殴った。
「おわっ! 坊主、いきなり壁を殴るなよ!」
「騒ぐな、クソガキ!」
近くの奴隷から文句の言葉を受けられた。しかし、その言葉は今の俺には通じなかった。その時、再び黒服の男性が部屋にやってきた。
「次のゲームを始める! 名前を呼ばれた奴はこい! まずは、コゴロー!」
どうやら、俺の番がきたようだ。さて、どうやってこの試合を乗り越えようか。そして、誰一人死なせずに試合を終わらせようか考えないと。
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