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不安の二人


ティーア:ホテルの部屋


 なんだかケンジとナルセの元気がない。デパートで合流した時からずっとため息を吐いている。気になった私はヴァリエーレにこのことを聞いてみた。


「元気ないみたいだけど、喧嘩でもしたの?」


「いいえ、占いでショッキングな未来を見たらしいの」


「どんなの未来?」


「どこかの闘技場で、ナルセがケンジを刺す未来よ……」


 うーわ、何その未来? 嫌がらせにしてもこれは酷くない?


「えげつない未来を見せるね。何でそんなことに?」


「分からないわ。占い師もどうしてこんな未来になったのか分からないって言っていたわ」


「うーん……」


 二人の元気を取り戻すためにどうしようか、私が考えているとヴァリエーレがこう言った。


「占い師の人が言っていた。あれは多数ある未来のうちの一つ。あれが起こるとは限らないって」


 何が起きるか分からないか……まぁ、あれが起きると限らないか。


「ケンジ、ナルセ、あの未来は起きるとは限らないよ。元気出して」


「あー」


「えー」


 うわー、元気のない返事だ。うーむ、これは私一人じゃ手に負えない。仕方ない、魔王とルハラに協力を求めよう。


「話は聞いたぞ!」


「我らが元気を出してやろう!」


 あーよかった。二人は話を聞いていたらしい。で、何で下着姿なの?


「何をするつもりなの?」


「簡単なことだ、色仕掛けをすれば誰だって元気が出るだろう! なぁ、ケンジ!」


 下着姿のヴィルソルがケンジに近付いたけど、ケンジは何も反応しなかった。


「おーい、ケンジ?」


「ダメだ。全身に元気がみなぎってないよ」


 ルハラはケンジの股間を触りながらこう言った。というか、どこに触っているの?


「うーん、反応なしか」


「では第二作戦に移ろう」


 その後、魔王はケンジとナルセをベッドの上で横にさせた。


「何をするの?」


「二人とも、とにかく休め。嫌なことなんて寝て忘れろ」


「はぁ……」


「寝て忘れられるかな……」


「嫌なことは忘れるのが一番だ。それに、仲のいいお前らが本気の戦いをするなんてそんなことありえないだろ」


「だけど、あの占い師は起こる可能性が高い未来って……」


「可能性の話じゃ。必ず起こるとは限らない」


 魔王は二人を優しく抱きしめた。二人は安心したのか、その場で立ち上がった。


「ありがと、ヴィルソル」


「少し元気になったわ」


「うむ。それで結構」


 何とか二人は元気になったようだ。本当は私が二人を元気にしたかったけど……まぁ魔王が上手くやってくれたから大丈夫か。


 その後、まだ精神的に疲れている二人は、私とヴァリエーレのマザーズボディで癒されながら休んでいた。


「しばらくしたら晩御飯食べに行こう!」


「そうじゃな。そろそろ腹が減った」


「じゃあもうちょっと待っていてね」


 マザーズボディで二人を癒し終えた後、私たちはそろって晩御飯へ向かった。




剣地:ホテル内


 楽しい時間はあっという間に過ぎて行った。ロイボの町へ帰るまで、俺たちは温泉やプールへ入ったり、部屋の中で一日中フィーバーしたりしていた。帰る前日、部屋の温泉の中や部屋の中でずっとイチャイチャしていたから、少し体がだるい。まぁゆっくりとイチャイチャできたからこの程度のだるさ問題はない。


 そんな中でも、俺はあの占いの結果が頭によぎっていた。ヴィルソルの言うとおり、あの占いは可能性の話、必ず起きるとは限らないと。


「さーてと、土産は買ったし」


「あとは帰るだけね」


 俺はギルドの人たちに送るお土産袋を手に下げ、ホテルの方を振り返った。


「いろいろあったけど楽しい一週間だったな」


「ええ。皆でくると楽しいわね」


 ヴァリエーレさんは笑顔でこう言った。


「夢のような一週間だったな」


「またきたいなー」


 この一週間を思い出しながら、ヴィルソルとティーアがこう言った。


「またこようねー。そして、またビキニ美女とふへへへへへ……」


 そう言えば、ルハラの奴はプールでビキニ美女とチョメチョメしまくっていたと話を聞いた。温泉でも危ないことをしていたと聞いたし。まぁどこへ行ってもルハラはルハラだな。


「じゃ、そろそろ行きましょうか」


「ああ。そうだな」


 俺は成瀬にこう返事をし、帰りのバスに乗り込んだ。


 ロイボの町に戻ってからは、また仕事を行う日が続いた。モンスターを退治したり、周辺の盗賊や山賊を捕まえたり、探し物を探したりなどなど。いろんなことをやっていた。リーナ姫の護衛やイルシオンシャッツクラスの危ない場所への冒険のような大変な依頼はなかったけど。そんな毎日が続いたせいで、俺たちはあの占いのことを忘れかけていた。


 リゾート地から帰ってきて数ヶ月後。俺たちは依頼の報告をしに、ギルドへ戻ってきた。カウンターを見ると、見知らぬ女性が立っていた。


「あ、丁度良かった。皆さん!」


 ギルドの姉ちゃんが、戻ってきた俺たちを呼び止めた。そして、見知らぬ女性と共に俺たちの元へやってきた。


「この人はペルセラゴン警察のナディさんです」


「自己紹介と仕事の説明は私がします。すみません、皆さんに話があります」


 その後、俺たちとナディさんはギルドの奥の会議室へ向かった。ナディさんは椅子に座った後、説明を始めた。


「では改めまして……私はペルセラゴン警察のナディと申します。皆様のことはニュースや新聞などで存じています」


 簡単に自己紹介を聞いた感じ、この人はこの世界の警察のようだ。そんな人が一体俺たちに何のようだろう? そう思っていると、ナディさんはバックから一枚の紙を取り出した。


「この町にきたのは、あなたたちに仕事の依頼があるからです」


「どんな仕事ですか?」


「これをどうぞ」


 ナディさんは成瀬にその紙を渡した。俺たちは一斉にその紙に注目し、中に何が書いてあるかを確認した。そこにはマスカレードファイト調査と、大きく書かれていた。


「何ですか? このマスカレードファイトって」


「製薬会社、セブンワーオンが裏で開催している裏格闘技のことです。主催者は、セブンワーオンの会長、ブレアです」


「あの会社……前々から悪い噂があったけど、裏格闘技なんて開催しているのね」


 ヴァリエーレさんがこう言った。俺もこの世界に転生してしばらくたったから、大体のことは分かってきた。セブンワーオンは有名な製薬会社で、俺もこの会社の傷薬を使ったことがある。効き目がなかったからすぐに別の会社の薬に変えた。


「何であの会社が裏格闘技なんてやっているの?」


 ルハラがこう聞くと、ナディさんはもう一枚の紙を渡した。その紙に書かれている項目を見て、ティーアは驚いた。


「リバースカプセル? 死んだ人を蘇らせる?」


「はい。あの会社は裏格闘技で死んだ選手の遺体を使い、蘇生薬の開発をしているのです」


「人を蘇らせるとは、魔王でもできんぞ」


「確かにそうです。警察にタレコミをした職員によれば、使ってもゾンビみたいに腐るだけで、完全には蘇らないようです」


「当たり前だ。死んだ生き物は蘇るわけがない」


 呆れたヴィルソルは、ため息を吐いた。


「今回の依頼はセブンワーオンの裏格闘技のことを暴くこと。そして、蘇生薬の開発を阻止することです。お礼は十分にします。お手伝いをお願いできますか?」


 俺は皆の顔を見て、様子を調べた。どうやら、皆はこの依頼を受ける気満々だ。もちろん、俺もやる気満々だ。


「分かりました。セブンワーオンの悪事を一緒に暴きましょう!」


 俺は威勢のいい声でナディさんにこう答えた。


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