魔性の女
剣地:城の最上階
「いやっはァァァァァ! ここの宝は全部私の物よ! あれも、これも、それも、全部!」
中にいるラロの声が、ここまで聞こえてくる。あの女、最初からギメキを裏切るつもりだったのか。この城の宝を独り占めにするために!
入口に着いた俺たちは、レクレスさんとゴメスさんに入り口前で避難するよう伝えた。
「まずは何をしようかな? 豪邸も欲しいし、イケメン執事も欲しいわね。それに白くて綺麗なリムジンもいいわねー」
「妄想は心の中で呟いていろ」
俺はそう言うと、拳銃を手にしてラロの足元に向けて発砲した。着弾の音を聞いて、ラロは俺たちの存在に気付いたようだ。
「チッ、あんたらもこの場所を察したわけ?」
「あなたが隠し扉を閉めなかったせいでこうなったのよ」
「入口開いていたよー」
戦闘準備を終えた成瀬とルハラがこう言った。二人の会話の後、ヴァリエーレさんとティーアがラロに近付いた。
「大人しく捕まってください」
「抵抗すると痛い目に合うよ」
「痛い目に合う? それは、あなたたちの方じゃなくて?」
ラロが言葉の直後にどう動くか、俺とヴィルソルはあいつの行動を読んでいた。ラロは水を発し、スライムのような物をヴァリエーレさんとティーアに向けて放ったのだ。俺は剣で、ヴィルソルは鎌でスライムのような物を切断した。
「ありがとう、ケンジ」
「まさか魔王に助けられるとはね……」
「お前のことだ、油断はしてないだろうな」
「もちろん」
ティーアは左手にためていた光を前に出し、ラロに攻撃を仕掛けた。光は放たれると、拡散してラロに向けて飛んで行った。
「拡散ビーム? 厄介ね」
ラロは左に飛んでビームをかわしたが、その先にはルハラが蹴りの構えで立っていた。
「もう少し先を考えた方がいいよー」
ルハラはこう言うと、回し蹴りでラロを攻撃した。攻撃を受けたラロは後ろに吹き飛び、宝の山に命中した。
「クソが!」
口に入ったのか、金貨を吐き出して立ち上がったのだが、避けたはずの拡散光ビームがラロの右肩に命中した。
「追尾式か!」
ラロは苦しい顔をしながら魔力を発し、大声で叫んだ。
「あんたらもあの男と同じようにぶっ殺してやるよ! ブラッティオーラ!」
ブラッティオーラ? 新しいスキルか?
「ブラッティオーラ……血に魔力を込めて扱うスキルか……」
ティーアがこう言うと、横で待機している成瀬がこう聞いた。
「血に魔力を込める? それでどうなるの?」
「血を爆発するかのように破裂させ、刃のように固めて武器に使うことができる。魔力を使って火や水を操るでしょ? それの血を使ったバージョンのような物だよ。まぁ代償として使った分の血液が減るし、魔力もそれなりに減る。結構代償が大きいの」
「何でそんなスキルがあるのやら」
「使った人曰く、魔力を使った攻撃よりも強いみたい」
その直後、ラロは血を大きな刃のようにし、成瀬とティーアに襲い掛かった。
「まずはお前らからぶっ殺す!」
「やれるものなら……」
「やってみなさい!」
成瀬とティーアは光の魔法を発し、防御をしていた。光に当たった血の刃は粉々に砕け散った。辺りに散らばった血の塊は、元の血に戻った。
「皆! ここはチームプレイで行きましょう!」
成瀬の声を聞き、俺たちは一旦集合した。だが、ラロの攻撃は続いていたから、俺が銃でラロの血を破壊しながら皆を守っていた。
「チームプレイってどうするの?」
「簡単に言えば、囮かつ皆を守る組と、あいつに直接攻撃する組を作るわ」
「囮は誰にするの?」
「俺がやる」
俺は銃を撃ちながらこう答えた。俺の言葉を聞いた成瀬は返事をした。
「囮は他に……」
「俺一人でいい。俺一人注目させればあいつを攻撃しやすいだろ」
「危険だけど大丈夫?」
「俺を信じろ」
その後、成瀬の返事を聞いた俺は、剣と盾を装備してラロに向かって走り出した。
「一人でくたばりにきたの?」
「へっ、くたばるためにきたわけじゃないね」
俺は右手の剣をラロに向けて振り下ろしたが、ラロは血の盾を作って俺の攻撃を防御した。この盾、意外と厚いし固い。右手が痺れてきた。
「これで終わりかい?」
ラロは血の弾丸を俺に向けて放ってきた。俺は盾で弾丸を防ぎ、攻撃が止むのを待った。しばらくし、ラロは咳き込んでその場に片膝をついた。血を使いすぎて貧血になったか? とにかく、攻撃を加えるのは今がチャンスだ。
「女性だからって、手加減はしないぞ」
俺は闇の魔力を使い、ラロの足元に重力を発生させた。
「何これ! 体が……重い!」
急に体が重くなったから、かなり戸惑っているようだ。さーて、後は成瀬たちに任せるかな!
「皆、今だ!」
俺がこう言った直後、ルハラの風が弾丸のようにラロに向けて発射された。
「ちょっと痛い目にあってもらうよー」
攻撃は受けたラロは、悲鳴を上げ始めた。続いて、ヴァリエーレさんが俺にこう言った。
「闇を解除して」
「はい」
俺が闇の重力を解除した後、ヴァリエーレさんの剣技がラロを襲った。ルハラの風の弾丸を受け、更に剣で斬り刻まれる。傷は大きいだろう。
「皆下がって」
「ナルセの魔力が発動するぞ!」
成瀬の横にいるティーアとヴィルソルがこう言った。二人は己の魔力を成瀬に渡し、成瀬は二人の魔力と自分の魔力を最大限に高めていた。
「さて……これで終わりにするわ」
成瀬は右手の光と左手の闇を一つに合わせた。すると、成瀬の目の前に巨大な球体が現れた。その球体の周りには、光と闇の渦が音を立てて動いていた。
「な……ななななな……何よ、それ!」
「光と闇の合体魔力よ」
成瀬はそう答えると、合体魔力をラロに向けて発射した。ビームのような光線がラロを襲い、命中地点で大爆発を起こした。爆風のせいで俺とヴァリエーレさん、ルハラは吹き飛んでしまった。
成瀬:ボロボロになった部屋の中央
ちょっとやりすぎたかな……財宝は残っているけれど、魔法の衝撃で一部の壁や床が吹き飛んでしまった。
「うわ……」
「これはちょっとやりすぎたな」
ティーアとヴィルソルも少し反省しているみたい。その後、剣地たちが私の元へやってきた。
「すごいわ、ナルセ……でもやりすぎじゃない?」
「あの人、多分木端微塵になっているよ」
「下手したら俺らもああなっていた」
うう……少し反省。だがその時、ラロの声が聞こえた。
「はぁ……はぁ……クソガキ共が……」
あの攻撃を喰らって生きているのか。あの人の生命力すごいな……感心している場合じゃない。次にあいつが何をするか分からない。対処しないと。
「財宝は私の物だ……あんたらなんかにやるものか」
ラロが大声でこう叫んだ瞬間、壁の方から大きな音が聞こえた。何かが崩れるような音だ。
「な……何だ、何だ!」
「私何もやってないわよ!」
「仕掛けがあるみたいだねー」
「財宝がある部屋だからね……罠がないから変だと思っていたけど」
「二人とも、ゆっくり考えている暇はないわ」
「あれを見ろ」
ヴィルソルがこう言うと、壁が大きな音を立てて崩れ始めた。そして、そこから五メートル位ある大きな石像が現れた。右手には大きな斧を持ち、左手には大きな盾を持っていた。そして、石造の左目は赤く光っていた。
「何だ、ありゃ!」
「化け物……としか言えないわね」
私と剣地がこう言った直後、石造の口はゆっくりと開き、こう言った。
「我ヲ起コシタノハ貴様ラカ? 国ノ宝ヲ盗モウトスル愚カ者は貴様ラカ?」
まずい……どうやら宝の番人のような者を起こしたみたい……。
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