仕掛けだらけの廃墟
ヴァリエーレ:落とし穴で落ちた先
「う……ううん……」
あの落とし穴から落ち、私は腰をさすりながら周囲を見回した。確かレクレスさんが先に落ちて、その後にケンジが落ちた。ティーアは私と一緒に落ちたはずだけど、姿が見えない。落下中に分岐点があったのだろう。
とにかく今考えるのは、皆と合流すること。護衛対象であるレクレスさんはもちろん、ケンジとティーアも探さないと。
「おお。無事だったか!」
前の方でレクレスさんの声が聞こえた。
「レクレスさん」
「無事だったんですね」
次に後ろからティーアの声が聞こえた。
「ティーア! あなたも無事だったのね。というか、どこに行っていたの?」
「周囲を確認していた。ここ、お城の地下みたいだね」
と、ティーアは私にこう言った。私とティーアが話をしていると、レクレスさんが近付いてきた。
「話の横入りをして申し訳ないが、君たちの連れが気を失っているみたいでな……」
レクレスさんは背中に背負っているケンジを私とティーアに見せ、こう言った。
「ケンジ!」
「気を失っているようだ。落ちた時に変な所をぶつけたらしい。声をかけてみたが、返事はなしだ」
私はレクレスさんにケンジを下ろすように伝え、様子を調べた。頭に巨大なたんこぶができた以外、異常はなさそう。
「頭をぶつけたね。これだけ大きなたんこぶができたら誰だって気絶するよ」
ティーアは治療を使いながら、こう呟いた。
「私がケンジを背負っていくから、ヴァリエーレは前をお願いね。そろそろ行くよ」
「ええ」
その後、何とか合流した私たちは地上のナルセたちと合流するため、行動を開始した。先ほど大きな爆発音が聞こえたから、何かあったに違いない。皆が無事だといいけれど。
しばらく移動していると、私たちの目の前に大きな扉が現れた。
「開くわよ」
「うん」
ティーアの返事を聞き、私は扉を開いた。部屋の中にはたくさんの棺が置かれていた。そして、その下には剣や盾、槍などの武器が置かれていた。
「何ここ? 気持ち悪い……墓場みたい」
「うむ……謎が増えるばかりだな。まさか、この山には過去、城があったのかもしれん」
「だとしたら、財宝があるって噂も本当かもね」
「ああ。しかし、我らの目的はこの山の制覇。財宝なんてどうでもよい」
後ろで二人が会話をしている。だけど、私は会話に参加する余裕はなかった。何故なら、私の全身は震えている。恐怖のせいで、口も上手く動かせない。
「あわ……あわわわわわ……」
「どうかしたの、ヴァリエーレ? さっきから震えているけど……ど……」
ようやくティーアもこの状況を察知したみたい。
「ねぇ……何で棺のふたが勝手に動いているの?」
「分からないわ。私が聞きたいわよ」
私たちが恐怖と同様で動けない中、棺の中から異臭を放つ人のような物体が現れた。あれ……もしかしてゾンビ?
「ねぇねぇ……何で中から腐った死体が動いでるの?」
「分からないわよ! とにかく逃げましょう!」
その後、ゾンビの群れに遭遇した私たちは、恐怖のあまりこの部屋から逃げてしまった。だが、扉に近付いた瞬間に扉は勝手に動いて閉まってしまった!
「嘘でしょ!」
「嫌だ! 密室の中でゾンビと一緒にいるのは嫌だ!」
「あいつら……武器を持って我らの方を見ているぞ」
レクレスさんの言うとおり、ゾンビ共は足元の武器を拾い、私たちの方を見ている。どうやら、あの武器はゾンビのために置いてあったようだ。
「何かしらの罠が発動したようだ。侵入者がきた時、ゾンビに駆除を任せるために」
「やるしかない! ゾンビが気持ち悪いけど……仕方ない!」
「接近戦は危険だわ。それに、ティーアは今ケンジを背負っている。私がやる」
私は両手に拳銃を装備し、ゾンビたちに向けて発砲した。銃弾を受けたゾンビはその場に倒れて塵となったが、盾を持っているゾンビは攻撃を防いでいる。
「ゾンビって脳みそは腐らないのかしら?」
「戦いの勘って奴じゃない? 身に着けている鎧からして、どっかの国の兵士っぽいよね」
盾持ちゾンビに対抗するため、私は左手に雷を発し、人差し指に集中させた。
「一気に片付ける」
私は集まった雷をゾンビに向けて投げた。雷はバチバチと音を立てながら、ゾンビの体を破裂させていった。これなら、盾で防ぐことはできない。
「すごいけどさ……まだゾンビは残っているよ」
ティーアの言うとおり、ゾンビはまだ残っている。その位把握している。だけど大丈夫。この技はある工夫がされているから。
「大丈夫よ。この雷は壁にぶつかって破裂するまで、操作できるから」
「ほー。それなら安心だ」
そう。これは私の意思で動かすことができる。相手がいくら防御を固めていようが、この攻撃には耐えられないだろう。しばらくし、部屋の中にいたゾンビは全滅した。
「ふう……終わったわ」
私は雷を消し、周囲を見回した。すると、後ろの扉がいきなり開いた。
「ゾンビを倒したら開くって仕掛けか……」
「もしかして、似たような部屋が続くかもね」
「うん」
その後、私たちは前へ進み、新しい扉から別の部屋へ向かった。
成瀬:廃墟内
私たちは落下した剣地たちを探すため、この廃墟内へ向かった。もし、あの落とし穴があの廃墟のどこかにつながっているとしたら、剣地たちもここにいるだろう。
今一緒にいるのはルハラとヴィルソルとゴメスさん。ギメキとラロは宝があるかもと言ってどこかへ行ってしまった。こんな時に何を考えているのやら。
「うーん……地下へ行けそうな場所はないねー」
ルハラが部屋の中にあったタンスや机をどかしながらこう言った。ヴィルソルは何か仕掛けがないか、壁や天井を調べている。
「変な仕掛けはなさそうじゃのう。ボタンもないし」
「ここじゃないのかしら?」
「別の部屋へ行ってみたらどうだ?」
その後、私たちは部屋を移し、地下への入口を調べ始めた。次に移動した部屋は寝室のようだ。ボロボロになったベッドが六つ置いてあった。
「こんなボロボロじゃあフィーバーはできないね」
「今はそんなこと言っている場合じゃないだろう」
ヴィルソルはルハラにこう言いながら、布団をめくっていた。
「いつの布団だ? めくっただけで塵になる」
布団をめくって調べているが、何も無いようだ。この部屋にはベッド以外にも動かなくなった大きな時計があるだけ。他に目立つのは壁に彫られている三と二十五の数字だけ。
「ただの落書きかな……」
私はその数字を調べてみた。すると三と二の間に小さな点が書かれていた。まるで、時間のように。
「時間みたいだな……時間……時間……」
もしかしてと思い、私は大きな時計に近付いた。時計をよく見ると、針を動かせるような仕組みになっている。
「何をしているのだ、ナルセ?」
「もしかしたら、これを動かせば何かあるかもしれない」
私は時計の針を動かし、三時二十五分に合わせた。すると、部屋の中央から大きな音が響き渡った。
「何だ、何だ!」
「何かが動いている、時計に何か仕掛けがあったのか」
突然起きた地響きに私たちは驚いた。しばらくし、部屋の中央にある床が大きな音を立てて動き始めた。そこには地下へ続く階段があった。
「ほへー、こんな仕掛けがあったなんて」
「変な廃墟じゃのう……まるで迷宮みたいだ」
「とにかく先へ進みましょう。剣地たちがいるかもしれないわ」
その後、私たちはこの先にいるかもしれない剣地たちと合流するため、急いで階段を下りて行った。
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