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麻薬が引き起こした悲劇


剣地:テントの中


 朝っぱらからとんでもないことを聞いた。キーツの野郎が麻薬に関する犯罪に関わっていると聞いたからだ。


「もしかして、この山にきたのは麻薬を育てる場所に適しているかどうか調べるためかしら?」


「かもしれないわね。ホワイトソナスは寒い場所じゃないと育たないから、この山に目を付けたのね」


「アホな奴だよね。危ない薬のためにこんな危険な山を登るなんて」


 と、皆思い思いにこう言っていた。ティーアとヴィルソル、それにレクレスさんも呆れていた。もちろん俺もキーツの野郎に呆れている。あんな奴のせいでティルさんが死んだ。あの時、あいつの素性を知っていたら……いや、俺は知っていてもあいつの危機を助けただろうな。


「とにかくだ。あいつの処罰は任務を終えてからにしよう」


「そうね。冒険を終えたら通報しましょう」


 その時、身支度を終えたキーツが俺たちの近くに向かってきた。


「話し合いかい?」


「いえ。特に何でもないです」


 ヴァリエーレさんが笑ってこの場をごまかした。


 それから俺たちは準備をして再び山を登り始めた。道中何回かモンスターに襲われたが、皆で協力してやっつけて行った。だが、少しだけ俺は異変を覚えていた。


「ぐ……が……」


 戦いを終えたゴンダは、剣を杖代わりにしてその場に膝をついたのだ。


「おいおい。大丈夫か?」


 ギメキが不安そうに近付いたが、ゴンダは大声でこう叫んだ。


「早く……早く! あれをくれ……」


「あれ? あれってなんだよ?」


 ギメキがこう聞いたが、後ろから大急ぎでキーツがゴンダに近付いた。


「何でもありません。さ、私の肩を借りて立ちなさい」


「あ……ああ……ありがとう……」


 その後、ゴンダは震えながら立ち上がり、キーツと共に後ろに下がって行った。


「戦力が減っちまったなぁ」


「俺たちで何とかしましょう」


 俺とギメキは簡潔にこう会話した。ゴンダに何かあったのかな? 昨日まではあんなに元気だったのに。




ティーア:山の道中


 ゴンダの様子がおかしかった。そのことに関してケンジも気が付いているし、ナルセたちも怪しいと思っている。もしかしてあの時、ゴンダはキーツの手によってホワイトソナスを与えられたのか? それか、ゴンダはあれがホワイトソナスだと知って服用したのか? それより考えるのは後にしよう。今はいつ襲ってくるか分からないモンスターの対処をしなければ。


 歩いていると、何度もモンスターに出くわした。だが、この山の冒険で戦いのコツを得たケンジたちが簡単にモンスターをやっつけて行った。


「ふぅ。こっちは終わったぜー」


「こっちも。私たち、強くなっているわね」


 ケンジとヴァリエーレが笑いながら会話をしていた。この二人も入り口付近でモンスターと戦った時より、山での戦い方を覚えて行っているようだ。


「一部のモンスターは我を見ただけで逃げるのう。やっと我が魔王だと察したか」


 一部のモンスターは、魔王を見ただけで震えあがり、逃げてしまう。流石魔王と言いたいところだけど、実際この魔王もこの山の冒険でかなり力を手にしている。モンスターは勝てないと思って逃げるのかな。


「いやー、メスのモンスターにもあれは効くようだね」


 と、ルハラは周りで倒れているメスのモンスターを見ながらこう言った。ルハラがメスのモンスターに何をしたか絶対に言わないようにしよう。


 数時間後、私たちはテントを張って休むことにした。テントの中に入り、私はレクレスさんとゴメスさんの話を聞いていた。


「今現在、山の中腹にいると思われます」


「中間地点か……あと四日歩けばこの山を制覇できるのか」


「しかし、上に行くにつれて寒さとモンスターの強さは増していく。あの若造もそれに応じるかのように強くなっているが、それでも危険だと思え」


「はい。用心します」


 レクレスさんは返事をすると、簡易テーブルの上にあるホットコーヒーを飲んだ。その後、いつも通り食事をとって寝ることにした。




 テントのすみでキーツは自分のリュックを漁っていた。しばらくすると、荒い呼吸をしながらゴンダが近付いてきた。


「はぁ……はぁ……はぁ……早く……早くあれをくれよ……」


「分かっているって。落ち着きなよ、旦那」


 と、キーツは白い粉が入った袋を取り出した。それを見たゴンダは興奮しながらそれを奪い取ろうとしたのだが、キーツはそれを高く上に上げた。


「これ欲しい? なら金を出しな」


「金か? 分かった」


 ゴンダは自分のリュックから財布を取り出し、中身を出した。


「全部お前にくれてやる! だから、その分そいつをよこせ!」


「いいよ。この金額だと、二袋だね」


「たった二袋か」


「そうだよ。この薬は高い奴だからね。ほらよ」


 と、キーツは袋を投げてゴンダに渡した。袋を受け取ったゴンダは興奮しながら袋を開けた。


 助かった。


 キーツは心の中でこう思っていた。三日目の夜。キーツのことを不審に思っていたゴンダは、夜にキーツのリュックを調べていたのだ。それに気付いたキーツは、持っていた麻薬を使うための道具にホワイトソナスを入れ、ゴンダに注入したのだ。その結果、ゴンダは麻薬中毒者になってしまったのだ。


 本来はこの寒さに対応するか調べるために持ってきたホワイトソナスだったのだが、こうした形で使ってしまうとはキーツ自身思っていなかった。


「はぁ……あと二袋。皆がこれを目に付けないうちに調べられるかな……」


「何を調べるって?」


 後ろから剣地の声が聞こえた。その後でテントの明かりが灯された。


「あ……あれ? 君たち、寝ているはずでは?」


「あれだけ騒いでいれば、寝られないわよ」


 成瀬が指を指す方向には、興奮しながら麻薬を使っているゴンダの姿あった。


「あの野郎」


「貴様の奇行は昨日ですでに見切っていたわ」


「尻尾を出すために、しばらく泳がせたってわけ」


 ティーアとヴィルソルの言葉を聞き、キーツは逃げようとしたが、すでに後ろに回っていたルハラとヴァリエーレが彼の腕を抱えた。


「さて、詳しいことを話してもらおうじゃないか。キーツさんよ」


 と、剣地がこう言った。




レクレスの日記:四日目


 三日、四日目になって誰一人犠牲にならなかったのは奇跡だと思う。いや、死んではいないが一人犠牲になってしまった。ゴンダ。彼はいち早くキーツのことを怪しく思い、一人で行動してしまった。その結果、キーツにホワイトソナスを使われてしまい、中毒者になってしまった。ナルセとティーアが看病をしてくれたが、魔力で麻薬中毒は治らなかった。ヴィルソル曰く、魔力で治るのは体の傷と一部の病気だけ。その一部には麻薬中毒は入っていないという。


 キーツについていろいろと分かったことがある。こいつは芸能関係者や大富豪を相手にホワイトソナスを高値で売りつけている。扱っている麻薬はホワイトソナス以外にもあるそうだ。私の予感が当たってしまったが、こいつがイルシオンシャッツに来たのはホワイトソナスを育てる場所に適しているかどうか。そんなことのために山を登るなんて、決して許される行為ではない。


 ケンジたちと話し合った結果、キーツに関しての処罰はこの冒険を終えた後、警察に突き出す。もっと早くこいつの素性を知っていれば、ゴンダは犠牲にならずに済んだのに。


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