いざ、イルシオンシャッツへ
剣地:待ち合わせの酒場
俺たちはレクレスさんがいるという酒場へ向かった。どうやら共にイルシオンシャッツへ向かう人はそこへ待機しているようだ。
「私たち以外にも人がいるようね」
ヴァリエーレさんが言うとおり、酒場には俺たち以外にも四人の人が集まっていた。
「ほー。かなりの美人さんがいるねぇ」
と、ルハラがそのうちの一人である女性を見てこう言った。その声を聞いて、四人は俺たちの方を振り返った。
「あれ……今有名なギルドのパーティーだ」
「どうしてこんな所にいるの?」
「まさか、今回の冒険に同行するのか?」
「いいじゃないか。頼もしい人たちがきてくれた」
俺たちを見て、それぞれこんなことを言っていた。そんな中、酒場の入口が開き、二人の男性が入ってきた。うち一人がどっかの冒険学者のような帽子をかぶっていて、もう一人は腰に何丁ものリボルバーを付けていた。
「君たちが私と一緒にイルシオンシャッツへ向かう、勇気ある冒険者か?」
帽子をかぶった男性がこう聞いてきた。どうやら、この人がレクレスさんのようだ。
「はい」
「ふむ……大人四人と子供六人……計十人か」
「レクレスさん、あの子供たちをよく見てください。今有名なギルドのハーレムパーティーですよ」
「そうか。そんなことはどうでもいい」
レクレスさんはそう言うと、近くの椅子に座ってこう言った。
「まずは名前を教えてくれ。それから話を進めよう」
その後、俺たちは自己紹介を始めた。俺たちより先にいた四人の名前はこうだ。
ギメキ:剣を持っているから剣士のようだ。性別は男で、年齢は見た目三十手前だろう。
ラロ:赤い服を着た女性。話を聞いたけど、ギメキの彼女のようだ。武器は持っていなかったけど、魔力でも使うのか? 見た目は二十代後半らしいけど、厚化粧のせいでよくわからない。
キーツ:見た目からして金持ちの男だろう。服が高級そうに見える。腰には金で加工したレイピアがあった。見た目は二十代後半。
ゴンダ:ごつそうなおっさん。腕の筋肉がかなり大きいから、それを生かした戦い方をするのだろう。多分このおっさんが年長者。見た目四十代。
「では最後に私から。私はティル。レクレスさんの付き人をやっております。分からないことがあれば私に聞いてください」
「自己紹介は以上だ。では今から最後の準備を始めてくれ。危険な冒険になるだろう。念入りにきちっとやってくれ」
その後、俺たちはレクレスさんに言われた通りに準備を始めた。
成瀬:酒場前
準備を終えた皆は、レクレスさんが用意した車に乗り込んだ。イルシオンシャッツの入口まで車移動のようだ。
「なんだか遠足みたいね」
「そうだなー。日本にいた時を思い出すよ」
と、私と剣地が話をしていると、ギメキが笑いながらこう言った。
「おいおいお二人さん。今から行くのは前人未到のおっかない山だぜ。遠足じゃーないぜ」
「ギルドの有名人って言っても子供は子供だ。最初に死にそうだな」
なんかイラッとする喋り方だなー。ギメキって人の彼女のラロは話を聞いて爆笑しているし。爆炎をぶっ放してやろうか。
「まーまー。こんな所で喧嘩はよくありませんよ。あそこにる彼女はシリヨクの独裁王国を一人で壊滅状態にさせた魔力使いですよ。あまり怒らせない方がいいです」
と、キーツさんが私たちに紅茶が入ったコップを差し出した。
「これ飲んで落ち着いてください」
「あ……ありがとうございます」
その後、私たちはキーツさんが用意してくれた紅茶を飲んだ。
数時間後、私たちを乗せた車はイルシオンシャッツの入口へ着いた。そこには一人の老人が立っていた。私たちが車から降りた後、レクレスさんがその老人に近付いてこう言った。
「彼は長年この山のふもとに住んでいるゴメスさんだ。彼もこの山の冒険に参加する」
この言葉を聞き、ギメキが声を上げた。
「大丈夫かよ、こんなジジイを仲間に入れて」
「貴様みたいな無礼な若者よりは役に立つわい」
「何だとクソジジイ!」
「ギメキ、やっちゃいなよ」
ラロに言われ、ギメキはゴメスさんに襲い掛かろうとした。だが、ゴメスさんは合気道のような動きでギメキを投げ倒した。
「マジ……」
「今の動き……はっ。すごい爺さんだな」
ゴンダはこの光景を見て少し笑っていた。ティーアとヴィルソルはゴメスを見て感激していた。
「すごいな……」
「相手の力を利用した投げのカウンターか。面白い動きだな」
「感心しとる場合じゃないぞ、お二人さん。そろそろ出発の時間だ」
レクレスさんはそう言うと、私たちにイヤホンを渡した。
「これは小型無線機だ。何かあればマイク部分のスイッチを押しながら叫んでくれ」
その後、私たちは列を組み、レクレスさんを先頭にして行動を始めた。ふもとの方では雪が小雨のように降っていたけど、先に進むにつれて降っている雪の量は多くなっている。
「うへー、雪の量が増えてきたなー」
「宝を手に入れる前に帰れるかこれ?」
ギメキの言葉を聞き、ゴメスさんがこう呟いた。
「この山に宝? そんな噂話を信じる愚か者がいるのか」
「じゃああんたは知っているのか?」
ムッとした態度のギメキは、ゴメスさんに言葉を返した。それに対し、ゴメスさんの答えを言った。
「知らん。もしあったとしても、あんたが望むような宝ではない」
「そうかよ。お答えいただきありがとな」
なんか変な空気だな。こんな状況で危険な山を制覇できるのかな? そんな時、かすかに獣の鳴き声が聞こえた。
「モンスターがいるね」
「三匹か……」
その後、私たちは前に出て、各々の武器を構えた。
「おいおい、俺たちも戦うぜ」
「子供は下がっていろ」
と、ギメキとゴンダが前に出てきたが、目の前に現れた白い狼を見て驚いていた。
「何だ、こいつら?」
「白い狼?」
「こいつらはスノーウルフ、詳細は端末を使って調べろ!」
ヴィルソルが驚く二人にこう言うと、水でスノーウルフに攻撃を仕掛けた。水を浴びたスノーウルフの一匹の体は、徐々に凍って行き、最終的に砕け散った。
「ナルセ、水の魔力を使え。相手を濡らして凍らせれば簡単に倒せる」
「うん、わかったわ」
私は水の魔力を残りのスノーウルフに浴びせ、体を凍らせた。その時、前で戦っていた剣地とヴァリエーレさんにこう言った。
「あとはお願い!」
「ああ」
「任せて」
剣地とヴァリエーレさんの剣の攻撃が、凍ったスノーウルフを粉々に砕いた。私たちの戦闘を見て、驚いていたギメキとゴンダはゆっくりと立ち上がった。
「すげー判断力と行動力」
「そんでもって結束力……」
「ふふふ……君たちがいればこの先も安全だな」
私たちの戦いを見ていたレクレスさんが、笑いながらこう言った。
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