炸裂する炎の大剣
剣地:ミニマコーザ城アーサーの部屋
ヴィルソルの方の戦いが終わったようだ。まぁ、アーサーの嫁軍団の力は俺たちに劣っている。負けるはずはないよな。戦いの中でヴィルソルの魔力を感じていたけど、本気を出して戦っていなかった。本気を出したら、相手が死んじゃうからな。
「リーバ……クッ!」
俺と戦っているアーサーは、嫁の一人が倒れたことを察し、悲しそうな目をしていた。だが、一瞬にして元に戻り、指を鳴らした。
「これ以上私の嫁が倒れる姿を見ていられない。戦場を変えよう」
「おい、何するつもりだ?」
「いずれ理解できる」
アーサーがそう言った後、いきなり俺とアーサーの足場が浮き上がった。それに合わせて天井が開き、空が見えた。まさか、外で戦うつもりか? 俺はそう思っていると、俺とアーサーは上空にいた。
「ここで決着を付けよう。これなら集中して目の前の敵と戦えるはずだ」
「外で戦うってか……すごいことを考えるな、お前」
魔力が絡んでいる技術だと思うが、俺とアーサーの足場は宙に浮いている。それもかなり高く。落ちたら俺でも死にそうな高さだ。俺たちが上空に上がった後、天井は閉じた。意外とハイテクな城だなと思いながら下を見ていると、アーサーが剣を構えるように言った。
「さぁ、再び戦いを始めようか」
「無茶をする野郎だな。どうなっても俺は知らないぞ」
俺はため息を吐いた後、アーサーの方を向いた。
ティーア:ミニマコーザ城アーサーの部屋
ケンジとアーサーは空高く上がってしまった。これじゃああの二人の戦いの様子を見ることができない。それに、エアールームのスキルを使った奴はナルセと戦っている。ナルセの戦いが終わらない限り、相手を倒しても外に出ることはできない。
「よそ見して、余裕のつもりかしら?」
私と戦っているアーサーの嫁が、炎を纏った大剣を振り回しながら襲って来た。私は壁を蹴って後ろに下がり、攻撃を回避した。
「これで回避したつもり?」
相手は回避した私の動きに合わせ、もう一度大剣を振るった。私は足元に魔力を発し、もう一度高く飛んで攻撃を回避した。今度はちゃんと着地ができた。
「やるわね、勇者。予想以上の強さね」
「褒めても何も出てこないよ」
私は少し魔力を開放し、相手に向かって走って行った。相手は私が突っ込んでくると予想しており、大剣を盾にするような形で構えた。私は右手に闇の魔力を発し、相手の大剣を壊そうとしていた。仮に壊せなくても、刃の所だけ消滅させればいいと思っていた。
「闇を使うのは予想しているわ」
相手はそう言うと、魔力をさらに解放して大剣の炎を強めた。かなり熱いけど、どうってことはない。私はそのまま闇を使って相手の大剣を破壊した。
「私の大剣を破壊したわね。それだけで満足しないでよ!」
武器が破壊された時のことを考えていたのだろうか、相手は壊れた大剣に魔力を注ぎ込み、炎の刃を作り出した。
「へぇ、意外とやるようだね」
「あまりこの私を甘く見ないことね。私はシャベレーロ。アーサー様と結婚する前は炎の大剣使いとして、名を轟かせた戦士なのよ!」
シャベレーロは大剣を振り回しながら私を襲った。一応元は有名な戦士らしいのだが、それでも私の敵ではない。そもそもこの人の名前なんて聞いたことがない。自分で名を轟かせたと言っているが、実際はそこまで有名ではないことを知らないのだろう。
「有名な戦士だったら、少し本気出しても構わないよね」
「その方が燃える」
シャベレーロの答えを聞いた後、私は魔力を開放した。私の魔力を感じ、シャベレーロは勢いに負けないように構えていた。
「これが勇者の魔力か……」
「本気で戦うよ。さっさと倒して戦争を止めなければならないからね」
私はこう言うと、猛スピードでシャベレーロの背後に回った。シャベレーロも私が背後に回ったことを察ししており、裏拳で攻撃してきた。だけど相手がどう動くかは音で分かる。後ろの敵に裏拳を使うには、片足を軸にして体を回さなければならない。その際どうしても軸になった足から地面をこする音がする。それでどう動くか判断がつくのだ。
「グッ……」
力強く攻撃をしたようだ。シャベレーロの裏拳を受け止めた右手が少し痺れた。防御された今でも攻撃をしようと考えているのか、少し拳が動いている。
「グッ……グググググ……」
「これで本気? 名を轟かせた戦士って、あんまり力はないみたいだね」
私の言葉を聞いた後、シャベレーロは私の横腹を蹴った。だけど、強い蹴りではない。あまり痛みが伝わらなかった。私の体が頑丈になったからだろうか。
「私の蹴りが……」
「力の差に気付いた? 降参してくれたらうれしいけど」
私がこう言うと、シャベレーロはさらに魔力を開放した。その際少し熱を感じたため、私は急いでシャベレーロから後ろに下がった。
「あんたが本気なら、こっちも本気を出すわよ!」
シャベレーロの解放される魔力に合わせてか、周囲に炎が現れた。密封された空間の中で、これだけの炎を出されたらさらに熱くなるな。服の中は汗でびっしょり、額から流れる汗が目に入ろうとしている。
「さぁ、これで終わりにするわよ!」
そう叫ぶシャベレーロの表情はどこか苦しそうだ。今だしている魔力はかなり無茶をしてだしているのだろう。
「あまり無茶するものじゃないよ。下手したら倒れるよ」
「それでもアーサー様の役に立つなら……この体、この命を捧げる」
「あいつはそこまでいい男じゃないと思うけど」
私はそう言った後、突っ込んでくるシャベレーロを見つめた。
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