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魔王VS電とナイフ


 連合軍基地。司令官はモニターを見て空襲の成果を実感していた。戦闘機から落とされる爆弾が、次々とミニマコーザの城へ命中し爆発させてゆく。


「いいぞ、いいぞ。このままあの国を滅ぼしてしまえ」


「この戦いに勝てば我らは英雄扱いですかねぇ?」


「そうかもな。我らは英雄だろうな!」


 司令官と、質問を投げかけた兵士は話をし、高笑いをしていた。


 そんな中、モニタールームに一人の兵士が慌てて走ってきた。司令官は不満そうに振り返り、こう聞いた。


「何の騒ぎだ? 話をするのは戦いが終わってからにしてくれ。今は忙しいのだ」


「大変です……せ……せ……セントラー王国のリーナ姫がこの基地にきました」


「何だと! どうしてここに?」


「分かりません! 後ろに本人がいるから、聞いてみてください!」


「では、話を聞かせてください。あなたが司令官ですね」


 慌てている兵士の後ろに、リーナが立っていた。険しい表情のリーナを見て、司令官は冷や汗をかいてたじろいだ。見た目は幼いリーナだが、ルハラのせいで長寿を手にしており、老いの速度が他の人より遅くなっているのだ。見た目は子供のようだが、長年世界の中央の国の姫として役割を果たしているせいか、司令官はリーナからかなり強い威圧感を感じていた。


「ひ……姫。どうしてこのような所へ?」


「ジェット機で飛んできました。では早速本題に入ります。今すぐに攻撃を止めなさい。私の最も信頼する者が今、戦争を止めに行きました。あそこにある大きなモニターで見ているのであれば、あなたたちも存じているはずです」


「ハーレムパーティーのことですか。お言葉ですが、彼らでもこの戦争を止めるのは不可能です。なら、我らが介入して戦争を止める方がいい選択だと思いますが」


 司令官の言葉を聞き、リーナは司令官を睨んだ。その目を見た司令官は小さく悲鳴を上げ、後ろに下がった。


「あの人たちは必ず役割を終えて戻ってきます。それともう一つお話があります。どうして私に話を通さず、連合軍なんて作ったのですか? 重要なことがあれば、セントラーに話を通し、それからいくつかの話をするという決まりがあったはずです」


 リーナの質問を聞き、司令官は言葉が詰まった。答えが出ぬまま時間が流れると、リーナはため息を吐いてこう言った。


「ミニマコーザを打ち倒し、英雄にでもなろうとしているのですね。ですが、あなた方がやっているのは弱い者いじめです。そんなことをした国は英雄でも何でもありません。連合軍に加わった国や軍は後で重い処罰を与えます。覚悟を決めておいてください」


 と、終始険しい表情のリーナはそれだけ言うと去って行った。リーナが去った後、腰を抜かした司令官は情けない声で空襲を止めろと言った。




ヴィルソル:ミニマコーザ城アーサーの部屋


 ん? さっきよりも空襲の音が静かになったの。さっきまではあちらこちら爆発したせいでうるさかったが、もう終わったのか? まぁ、終わってくれたなら被害が出なくて済むしそれでよい。


「戦いの中で、よそ見をしないで!」


 おっと、空襲は終わってもこっちの戦いは終わってない。我はリーバの攻撃を回避し、リーバの背中を触った。


「もし、我が攻撃をしたらお前は吹き飛ぶ」


「ぐ……」


「力の差がある。我には弱き者に制裁を与える趣味はない」


「弱いからって……調子に乗らないでよ!」


 と言って、リーバは我に向けてナイフを放った。電撃を纏ったナイフじゃが、似たような攻撃をしてくる奴はこれまで何人も相手にしてきた。我は人差し指でナイフを受け止め、魔力を発して破壊した。


「仕方ない……」


 まだナイフがあるのか。我がそう思った直後、リーバは羽織っているマントをまくり上げた。マントの裏には大量のナイフがあった。そうか、そこにナイフが隠してあったのか。


「これであなたの体に穴をあけてやる!」


「やれるものならやってみろ、小童」


 我がこう言うと、リーバは我に向けて大量のナイフを投げてきた。あの量のナイフならかわすこともできるが、相手が落ちたナイフを再利用する可能性がある。相手の武器を減らすことを考え、我は盾にするような形で闇を放った。


「選択を間違えたな、小童。いくら大量にナイフがあっても、闇の前では無力だ!」


 飛んできたナイフは全て闇の中へ入り、跡形もなく消滅した。これでリーバの武器は全てなくした……いや、まだ武器はある。リーバは魔力を開放し、我に向かって迫っている。


「まだ負けていない! この一撃でお前を倒す!」


 リーバの右手には、魔力で作った電撃のナイフが握られていた。いくら頑張ってもリーバが我に敵うわけがない。かといって、本気で戦ったら命を奪うかもしれない。


「仕方ない、少し眠っていてもらおう」


 我はリーバの攻撃をかわし、きついパンチで気を失わそうとした。だが、リーバは我の動きを察したのか、体を回転して攻撃をかわしたのだ。


「ほう」


「あんたが次にすることしていることは、把握しているわよ!」


「この戦いで成長しているのか。素晴らしいが……まだ、未熟だな」


 リーバはミスを犯した。回転させて攻撃をかわしたのはいいが、回り終えた時がいけなかった。リーバの体の正面が、我の前にある。それに、リーバの両腕は伸ばされた状態。腹に攻撃をしてくださいというような状態だ。我は少し魔力を開放し、リーバに近付いて右フックを決めた。


「ゲバァッ!」


 攻撃を受けたリーバは嗚咽した後、体が震えていた。きついパンチをお見舞いしたのにまだ動くのか? そう思っていたのだが、リーバは少し歩いた後でその場に倒れた。まだ我と戦おうとしていたようじゃ。その根性だけは認めてやろう。


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