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ウィリーの実力


 向こう岸の敵に対し、ウィリーは魔力を開放して剣を振るっていた。剣から発する衝撃波を使い、遠距離攻撃を行っているのだ。これは剣地やオノブでも使う技なのだが、二人と変わらない威力や技の切れを見せていた。


「おお! 若いのに素晴らしい剣の腕だ! 本当に強いな、お前!」


「これでもソードマスターのスキルを持っています。最初に手にしたスキルがこれなので」


「ほへー、取得するまで結構時間がかかるスキルじゃが、最初に手にしたのがソードマスターか」


「父の遺伝でしょうか、子供のころから剣技が得意でしたので」


 と、ウィリーはオノブにこう語った。二人の会話を聞いた剣地は、納得したような表情を見せていた。


 一方、ウィリーの攻撃で苦戦しているミニマコーザの戦士、ドリーとウア、サカサゼは岩場に身を隠しながら様子を見ていた。


「クソ、あの戦士かなり強いぜ! こっちが反撃する余裕がない!」


「ハーレムパーティーとオハリの連中以外で強い奴がいるなんて、そんな話聞いてねーよ!」


「こうなったら長期戦に持ち込むぞ。あの衝撃波を使う時は魔力を使う。魔力切れを狙って攻撃するぞ」


 そう言った後、サカサゼは少し顔を出して様子を伺った。遠く離れた所にいるのは剣地、オノブ、ウィリーのみ。それを知ったサカサゼは二人にこう言った。


「向こうにいるのは三人だけだ」


「俺たちの力を甘く見ているのか? 一斉に襲ってこないつもりか?」


「力を温存しているのだろう。奴らの狙いはアーサー様だ。アーサー様を倒して捕らえるつもりだ」


「三人を倒しても、その直後にあのナルセが襲ってくる可能性がある……厄介な状況だな」


 ウアの言葉を聞いた後、二人はナルセの武勇伝を思い出し、背筋に寒気が走った。


「とにかく、ここで俺らが食い止めろ。負けたとしても、奴らの魔力をそぎ落とすことには成功するだろう」


 ドリーがこう言った後、二人は返事をし、剣地たちの様子を伺った。すると、突如ドリーが盾にしている岩場がバターのように切れてしまった。


「な……」


「俺たちの場所を把握したのか! ドリー、こっちにこい! 早く!」


 と、ウアはドリーにくるように告げた。しかし、ドリーがいる場所とウアがいる場所は少し間が離れており、その間に盾になるような物は存在しない。移動の隙に攻撃される可能性があるのだ。


「こいって言われても、俺が攻撃されるぞ。移動すれば、体が丸見えだ」


 そう言った直後、再びドリーがいる岩場に向かって衝撃波が飛んできた。しかも、今度は衝撃波だけでなく剣地が放つガトリング弾も一緒に飛んできた。その結果、ドリーが盾にしていた岩場は粉々に粉砕された。


「あれこれ言っている暇はない、早くこっちにこい! そこにいたらやられるぞ!」


「ああ分かった。援護頼むぞ!」


 ドリーはそう言って、急いでウアとサカサゼの所へ向かった。しかし、移動中の隙を狙われ、剣地が放つライフル弾がドリーに命中した。


「グワァァァァァァァァァァ!」


「ドリィィィィィィィィィィ!」


 左肩を撃たれ、ドリーはその場に倒れた。命に別状はないが、撃たれた後で発生した強烈な激痛がドリーを襲い、体の動きを封じてしまった。サカサゼは遠くにいるライフル銃を構えている剣地を見て、睨んだ。




剣地:ミニマコーザの崖


 まずは一人。移動中の隙を狙い、何とか倒すことはできた。さっさと先に行きたいけれど、あの連中は長期戦を狙っているだろう。下手したら、後々向こうから大量の兵士がやってくるし、こっちの魔力や体力も削られる。確実に素早く、魔力や体力を温存してあいつらを倒したいな。


「ケンジさん、私に任せてください」


 と、ウィリーさんが再び魔力を開放してこう言った。あの衝撃波を出すつもりだ。ウィリーさんが放つ衝撃波は俺やオノブさんが放つ衝撃波と威力は変わらないが、まるでライフル銃で狙っているかのように狙いが正確である。ウィリーさんは剣を鞘に納め、居合の形で衝撃波を放った。ウィリーさんが放った衝撃波は敵が向かおうとした岩場を切り崩した。そして、その後ろに潜んでいた二人の姿が見えた。


「今です!」


「はい!」


 俺はライフル銃を構えて攻撃を始め、オノブさんはがむしゃらに衝撃波を発した。様子を見ていたルハラが、敵を見てこう言った。


「攻撃が命中したみたいだよー」


「うっし、楽に終わったな」


 俺はそう言ってライフル銃をしまった。だが、ウィリーさんは敵の方を見て俺たちにこう言った。まだ終わってないようだな。


「相手は怪我をしましたが、まだ戦うつもりです」


「何をするつもりだ?」


 その直後、俺は魔力を感じた。どうやら、魔力で攻撃するつもりだ。俺はバリアを張って攻撃を防ごうと思ったが、敵は魔力を上に向けて放った。


「上から攻撃するつもりか」


 どうやらバリアを飛び越えて直接俺たちに攻撃を仕掛けるつもりだ。俺は再びバリアを張って敵の攻撃を防御しようとしたが、敵が放った魔力の弾は向きを変えて俺の背後に回った。


「かなりの魔力の使い手だな」


「意外と強いですね、相手は」


 と言って、ウィリーさんは相手の魔力を叩き斬った。その後、ウィリーさんは呼吸をした後、俺の方を見てこう言った。


「この戦いを終わらせます。ケンジさんオノブさん、私に力を貸してくれないでしょうか?」


「どうするつもりですか?」


「直接、奴らの所へ行って叩きます」


「分かった。そっちの方が手っ取り早い!」


 会話を終え、俺たちは橋の方に向かって走り始めた。俺たちが橋の向こうに到着した時、相手は動揺したが、武器を構えた。だけど、俺たちの方が動きは早く、すぐに攻撃を仕掛けることができた。その結果、戦いはすぐに終わった。


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