復讐の果てに
成瀬との戦いに負け、気を失っていたラパラは剣地とレッジの戦いの衝撃で目が覚めた。そして、完全に理性と知性を失って暴走しているレッジの姿を確認した。その姿を見て、レッジは数日前のことを思い出していた。
剣地たちがクァレバのアジトに急襲した後のこと、剣地との戦いでダメージを負ったレッジはある場所へ向かっていた。そのことを知ったラペラはこっそりとレッジの後を追った。レッジが向かった先は、アジトから少し離れた小さな町。そこの路地裏だった。何があるのだと思いながら、ラペラは周囲を見回した。すると、レッジは禁断スキルを取得するための施設へ入って行った。まさかと思い、ラペラはその中へ入り、レッジに話しかけた。
「レッジさん!」
「何だ、ラペラか」
「何だ、じゃないですよ! あんたは自分が何をしたか分かっていますか!」
「これからの戦いが激しくなると考え、禁断スキルを取得しにきただけだ」
「そんなのなくてもあんたは強いじゃないですか! それに、禁断スキルの効果はすごいけど、その代価が恐ろしいじゃないですか! あんたの身に何かあれば、クァレバは崩壊します!」
「大丈夫だ。代価を受けなければ問題ない」
そう言って、レッジは施設の奥へ行ってしまった。
そして今、レッジは禁断スキルの代償を受け、知性も理性も失ってしまった。
「だから言ったじゃないですか……レッジさん……」
ただのモンスターとなってしまったリーダーを見て、ラペラは再び気を失った。
剣地:プラチナタワー頂上
「グォォォォォォォォォォ!」
この雄叫び、本当にモンスターのようだな。何発も拳銃を撃ったけど、奴の体には通じない!
「剣地、銃を貸して! 早く!」
成瀬が魔力を発しながら、俺に拳銃を貸せと促した。そうか、成瀬が魔力で作った弾丸を入れてくれるのか。ありがたい!
「成瀬、奴には光と闇の弾丸しか通用しない」
「分かっているわ。剣地と奴の戦いを見ていたから」
成瀬は光と闇の魔力をマガジンに込め、俺に渡した。
「サンキュー成瀬!」
俺はマガジンを拳銃に入れ、拳銃を撃った。
「オイオイ……嘘だろ」
確かに弾丸はレッジに向かって飛んで行った。確かに弾丸はレッジの体にめり込んだ。だけど、あいつは痛がるそぶりも見せないし、攻撃のスピードも変化はしなかった。
「剣地! 前を見て!」
成瀬の声を聞き、俺は我に戻った。が、奴の強力な攻撃が命中し、吹き飛んでしまった。
「グアァァァァァ!」
クソ! この一撃を受けたせいで、左腕が折れたように痛い! まさか……本当に折れたか?
「剣地! クッ……この化け物!」
成瀬が魔力を込め、周囲に火やら水や、光と闇の矢を発生し、レッジに向けて投げた。光と闇の矢のダメージはあるのだが、他の矢のダメージはないようだ。
「グウッ! グウォォォォォォォォォォ!」
どうやら、レッジは成瀬に狙いを付けて攻撃するつもりだ!
「成瀬、避けろ!」
俺の声を聞いた成瀬は、攻撃をかわそうとしたが、レッジの方が動きは早かった。
「キャア!」
レッジの強烈なタックルが、成瀬に命中した。成瀬は俺がいる方へ吹き飛んでしまった。
「大丈夫か?」
俺は成瀬の頬を触りながら、成瀬に意識があるかどうか確かめた。
「け……ん……じ……」
返事はあった。だが、成瀬の声は弱弱しいし、目も虚ろだ。あの突進を受けて、かなりのダメージを受けたようだ。
「治療魔力使えるか?」
「やって……みる……」
その後、俺は成瀬の体を優しく抱きながら、成瀬の治療が終わるのを待った。成瀬の治療はすぐに終わった。
「ふぅ。死ぬかと思った」
「よかった……あんなに弱ったお前を見たの、あの時から見ていなかったよ」
「あの時って?」
「鉄骨が降った時」
「あー。確かにあの時はやばかったわ」
「いや、死んでこの世界にきたから。やばいもなにもないだろ」
「そうだったわね」
俺と成瀬が会話をしていると、レッジが俺と成瀬に向かって突っ込んだ。
「会話は後でしよう。今はこいつを何とかしないと」
何か策はないか? 俺は成瀬を抱きかかえたまま策を考えつつ、レッジのタックルから逃げ回った。
「剣地、リボルバーを貸して」
「え? ああ」
俺は成瀬にリボルバーを渡した。成瀬は俺のリボルバーに光と闇の魔力を注ぎ込んだ。
「私にいいアイデアがあるわ」
「リボルバーで一発ぶっ放すのか?」
「ええ。それしか方法はないわ」
その直後、レッジの強力な一撃が迫ってきた。俺は成瀬を抱えたまま、何とか攻撃をかわした。
「よし、一発だけじゃない。何発もぶっ放そう」
「ええ!」
俺がそう言うと、成瀬がリボルバーを渡した。どうやら攻撃の準備が終わったようだ。
「さて……この戦い、終わらすとするか」
俺はリボルバーを構え、狙いを付けようとした。だが、急に左腕が痛み出した。そうだった。さっき攻撃を喰らって吹き飛んだ時、左腕が折れたのを忘れていた。右手だけじゃあ狙いが定まらないし、リボルバーの反動にも耐えられない! 仕方ない、やるしかないか? 俺がそう思っていると、成瀬の手が俺の持つリボルバーに触れた。
「やっぱり腕が折れてたの?」
「ああ」
「じゃあ支えてあげるから、狙いと引き金を引くのは任せるわよ」
「おう。任しとけ!」
俺は成瀬の協力を受けて、レッジに銃口を向けようとした。しばらくし、レッジは俺と成瀬に気付き、突進し始めた。
「今だ」
俺は奴に狙いを定め、引き金を引いた。成瀬が込めた一発が、奴の体を貫通した。そして、俺は次々と奴に向けて発砲した。弾丸は全て、奴に命中した。
「グッ……グガッ……グガァァァァァァァァァァ!」
獣のような雄叫びが、屋上に響いた。
ヴァリエーレ:プラチナタワー前
何なの、今の叫び声は! 屋上から聞こえたような気がする。屋上で何があったというの!
「何なの今の?」
「奴ら、モンスターでも出してきたのか?」
ティーアとヴィルソルは耳を抑えながらこう言った。叫び声を聞いたルハラが、闇のドームから出てきた。
「すごい声だね。思わずびっくりしちゃった」
「ルハラ、何で服がさっきと違う?」
「相手のせいでズタズタになっちゃった」
と、ルハラがこう言うと、闇のドームを解除した。そこには小さく喘ぎ声を出して倒れている全裸の女の人がいた。どうやら、あの人はルハラの手によっていろいろとされたのだろう。かわいそうに。
それより、ケンジとナルセはどうなっているの?
成瀬:プラチナタワー頂上
弾丸を受けたレッジは、大声を上げた後、ピクリとも動かなくなった。
「た……倒したのか?」
剣地がこう言った直後、レッジの体から紫色の血が流れだした。しばらくして、筋肉のせいで膨らんだレッジの体はガスが抜けた風船のようにしぼんでいった。そのせいか、レッジの皮膚の色も紫から肌色に変わっていった。
「元に戻っている」
「ええ。戻るものなのね」
私と剣地が話した直後、レッジはその場に倒れた。死んだのではないかと思った私と剣地は、恐る恐るレッジに近付き、脈を調べた。
「脈はあるようだな」
「かすかに息をしている。すごい生命力ね」
「だけど、奴は気絶しているみたいだな。今のうち動けないようにしようぜ」
その後、私と剣地はレッジの動きを封じるために縄で縛り、少し離れた所にいる気を失ったラペラの体にも縄で絞めた。
「さて、皆の元へ行こう」
「ええ」
レッジとラペラをインフィニティポーチで入れた剣地は、私とリーナ姫を抱え、スカイウイングを使って下に降りて行った。
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