最終兵器に挑んだ哀れな男の末路
成瀬:海の上
私が戦う男は強い力も素晴らしい技術もない魔力使い。弱い魔力同士を合わせて発した合体魔力を使って得意げになっている。私はあの男に対し、本当の合体魔力というのを見せてやろうと思い、魔力を開放した。
「俺と同じ火と雷だと?」
「その方が分かりやすくていいでしょ」
私は男にそう答えると、奴より強力な火と雷を合体させ、奴に向かって合体魔力を放った。私が作った合体魔力は男が作った合体魔力よりも倍以上に大きく、力強く輝いていた。男はそれを見て、口を開けて驚いていた。
「な……俺のより強い!」
「当たり前でしょ。私を誰だと思っているのよ」
驚く男に向かい、私が放った火と雷の合体魔力が男を襲った。
「グワァァァァァァァァァァ!」
合体魔力は男に命中し、そのまま下へ落ちて行った。だが、何とか男は耐えて、再び私の方へ向かって移動した。弱い奴かと思ったけど、それなりにタフのようだ。
「あら、また私が作った合体魔力を味わいたいの?」
「今度はお前が味わう番だ。今度こそ受けるがいい、このダイサの合体魔力を!」
ダイサと名乗った男は再び合体魔力を作り、私に向かって放った。だけど、私が倒されるほどの威力はない。それで本当に私を倒すつもりなの? そんな実力でよく私に勝てると言ったものだ。
「驚いて身動きもできないか?」
「確かに驚いたわ。そんな力で私に挑むだなんてね。私もかなり見下されたものね」
私は片手でダイサが放った合体魔力を跳ね返し、反撃で鋭い氷の刃を放った。氷の刃はダイサの左腕に命中し、深い傷を与えた。
「グアッ! う……クソッ! ここまでやられるとは……」
「これでまだ戦うつもり? やるなら付き合うわよ」
「ま……まだだ……まだだ!」
腕は未熟だけど、根性はあるようだ。私がそう思うと、ダイサは右腕で炎の刀を作って私に迫った。しかし、ソードマスターのスキルを持っている私から見たら、大した剣の腕じゃない。ダイサはあまり剣で戦わないだろう。本気で戦っている中で、使い慣れていない技を使うのはあまりよろしくないんだけど。私はそう思いながら、ダイサの攻撃をかわした。
「クソ……強すぎる……」
力の差を感じたのか、ダイサは少し弱気になった。やーっと実力差が分かったようだ。
「さっさと諦めることをお勧めするわ。あんたじゃ私に敵わない」
「グ……ふざけたことを言うなよ……俺は! 何が何でも! お前を倒す! ミニマコーザ王国のために!」
口は汚いけど、ミニマコーザ王国への愛国心は本物のようだ。気持ちは分かるけど、奴らが戦争を始めたら大変なことになる。絶対に止めないといけない!
「戦争はさせないわ。絶対にね」
「ミニマコーザ王国のために! この身を削ってもお前を倒し、進む!」
ダイサは魔力を開放し、私に襲い掛かった。深い傷を負った体で魔力を開放したら、死んでしまう恐れがある。絶対に止めないと!
「止めなさい! それ以上魔力を開放したら死んでしまうわ!」
「ミニマコーザ王国の勝利のためならば、喜んで俺の命を捧げる!」
「勝利のための犠牲? あなたが死んでも何もならないわ!」
私は向かってくるダイサの攻撃をかわし、光の魔力を命中させた。
「グ……そんな……攻撃で……」
大した根性だ。私の光を受けてもダイサは気を失わない。だけど、確実に命を縮めている。命を奪わないためには、ダイサを気絶させないと!
「しばらく眠ってなさい。命を犠牲にしないで」
私は再び光を使い、ダイサを弾き飛ばした。この威力であれば、確実に気を失うだろう。攻撃後、私は吹き飛んだダイサを受け止めて様子を調べた。ふぅ、白目は向いているけど心臓は動いている。死んでなくてよかった。そう思いつつ、私はシーアの海賊船へ戻って行った。その時、私たちには敵わないと察したのか、去って行く軍艦を目撃した。
ヴァリエーレ:オハリの飛行船
私とケンジ、ルハラはオハリの飛行船でいつでも戦えるように準備をしていた。オノブさんやニッコーさん、タトミさんも私たちに協力するため、武器の手入れを行っている。そんな中、乗組員の一人が私たちにこう言った。
「シーアさんの海賊船が襲われたようです」
作業をしていたケンジは手を止め、その乗組員の方を向いてこう言った。
「成瀬たちが戦っていたようだな。もう向こうの方では戦いが始まっていたのか」
「でも終わったみたいだね、やっぱりナルセたちは強いねー」
「ナルセたちに勝てる敵がいないと思うけど……」
そんな話をしていると、別の乗組員が慌てて私たちの所へやってきた。
「報告! ミニマコーザ王国の紋章が描かれた飛行艦隊が確認できました!」
「こっちの方も敵がきたか!」
と言って、オノブさんは嬉しそうに刀を構えて外に出た。オノブさんの後に続き、私たちも外へ向かった。ミニマコーザ王国の飛行船は五隻あり、どれもこれもオハリの飛行船よりも大きかった。
「うひゃー、でかいなー」
「でも、大した魔力を感じないね。見掛け倒しって奴?」
飛行船を見たケンジとルハラはこう言っていた。二人の言う通り、巨大な魔力を持った戦士はいないようだ。そう思っていると、先頭の飛行船が大砲をこちらに向けて構えた。
「おっ、こっちに気付いた」
「大砲で一発やるつもりじゃな。あんなチンケな大砲でくたばるわしらじゃないわ!」
と言って、オノブさんは刀を持って先端に立った。それを見て、私たちも同じように飛行船の先端に立った。
「手伝ってくれるのか。ありがいのー」
「たかが大砲ですが、飛行船に被害を出したくないので」
「ここからあいつらを撃ち落としてやる」
「少し動かないとねー」
私たちがこう言った直後、大砲が飛んできた。
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