レッジのリベンジ
剣地:プラチナタワー頂上
俺とレッジが戦っている最中、レッジは何かに気付いた。
「クソ……残ったのは俺だけになったか……」
どうやら、成瀬の戦いは終わったようだ。成瀬が勝ったようで、ちょっと安心した。まー、チートレベルのスキルを持った成瀬が負けるはずねーよな。
「俺の嫁たち、結構強いだろ」
「ハッ、貴様を殺してからあの世へ送ってやるよ」
「やれるものならやってみろよ」
俺は力を込めて、左手の盾でレッジを殴り飛ばした。レッジは起き上がった後、口を切ったのか、地面に唾を飛ばした。
「さて、そろそろ本気を出そう。お前を殺すため……禁断スキルを手にしたのだからな」
「禁断スキル? 何それ?」
「今から殺す相手に説明は必要ない!」
その直後、レッジは全身に魔力を込め始めたのか、強い魔力を感じた。
「モンスターソウル!」
この直後、レッジの筋肉が急に膨張し、奴の服が弾け飛んだ。そして、徐々に肌の色が変わって行き、奴の肌の色が毒々しい紫色になってしまった。
「フハハハハハ! いいぞ、この力! どんどん力が湧いてくる! 俺は無敵だ!」
レッジは獣のような声を上げながら、俺に向かって突っ込んできた。盾で体当たりを防ごうとしたのだが、思っていたよりも体当たりの攻撃力は高く、俺はかなり後ろに吹き飛ばされてしまった。
「まだまだ!」
俺が倒れたのを察したレッジは高く飛び上がり、俺に追撃を放った。間一髪起き上がった俺は、何とか横へ飛んで攻撃をかわした。
「ほう。逃げたか」
「逃げて悪いかこの野郎!」
俺は銃に持ち替え、レッジに向けて発砲した。弾丸はあいつに命中したが、弾丸での攻撃はあいつに通用しなかった。
「ほう。流石禁断スキルだな。弾丸が肌を通さない」
筋肉にめり込んだ弾丸を取り出し、レッジは俺に向けて弾丸を放った。その速さは銃で撃つよりも早かった。攻撃を察した俺は弾丸をかわしたが、奴が投げた弾丸は地面にめり込んでしまった。
「おいおい……嘘だろ……」
戦いは始まって少ししか経っていない。こうなったら、俺も本気でやるしかない!
「ハァァァァァ!」
俺は全身に光と闇の魔力を発した。それを見たレッジは、にやけながらこう言った。
「ほう。光と闇の魔力か。俺の体に通じるかやってみるがいい」
「それじゃあお言葉に甘えて」
俺は剣を手にし、刃に光のオーラを纏わせた。そして、レッジに近付き一閃お見舞いした。
「グッ!」
攻撃を受けたレッジは痛そうな顔をした。どうやら筋肉ムキムキの体になっても、光の一撃は通るようだ。
「じゃあこれはどうだ?」
今度は剣に闇のオーラを纏わせ、レッジに斬りかかった。どうやらこれも通用するようだ。
「ほう、やるじゃないか小僧」
「あんたに褒められても嬉しくないね」
俺は後ろに下がり、相手の出方を待った。焦って攻撃を続けていたら、カウンターを受ける。あの腕でカウンターを喰らったら無事では済まない。
「では、今度は俺の番だ」
レッジは高く飛び上がり、急降下しながら俺に突っ込んできた。俺は攻撃をかわしたが、奴は地面に着地した直後、俺に向かって再び突っ込んだ。
「図体がでかくなったから、鈍くなったと思ったか!」
なんて速さだ! クソ、さっきの攻撃は避けられない! 突進を受けた俺は、奴と一緒に後ろの柵まで突っ込んだ。
「グウウ……」
全身が痛い。しかも、奴が俺に乗っかっているから逃げだすこともできない。
「さぁ、クライマックスだ」
レッジは俺の首を掴み、柵の外へ腕を出した。
「ここから貴様を落とせばどうなるのか、やってみるか?」
どうやら、レッジは俺を落として殺すつもりだ。
「ペッタンコになったお前の姿を見て、お前の妻が何て言うか楽しみだな」
「その前に、お前に言っておきたい言葉がある」
「何だ?」
「テメーがペッタンコになれ」
俺はリボルバーに闇の魔力の弾丸を込め、レッジに向けて発砲した。
「グァッ!」
闇の弾丸はかなり威力が高いようだ。奴は悲鳴を上げて後ろに下がり、撃たれた左腕を握りしめている。で、奴から解放された俺は一瞬だけスカイウイングを使って頂上に降り、光のオーラを纏った剣で奴に攻撃をした。
「ガハッ!」
俺の攻撃を受け、レッジは頂上から落ちて行った。確かプラチナタワーの高さは三百メートルと聞いた。あの高さから落下すれば、いくらあの体でも落ちればお陀仏だろう。
俺はこの勝負に勝ったと思い込み、成瀬とリーナ姫の所へ向かおうとした。だが、下から何かがめり込む音がした。まさかと思い、俺は下を覗きこんだ。
「これで勝ったと思うなよ、小僧」
マジかよ……レッジは右手で外壁を掴んでいる。おいおい、確かこの塔って周りに突起物とかなかったよな。じゃあ、どうやって助けった?
「そこで待っていろ、すぐに殺してやる!」
奴はそう言うと、自分の手で外壁に指を突っ込みながら、登ってきやがった! おいおい、そんなのありかよ? 頑丈な外壁に穴を開けられるほど、攻撃力を持っているってことか!
「この一撃であの世へ送ってやる!」
奴の大声が耳に聞こえた。レッジは上空から襲ってきた。俺は攻撃をかわしたが、奴の攻撃は床にめり込み、周囲に床の破片が舞い上がった。
「避けたか」
クッソー……こうなったらもう一発リボルバーをお見舞いするしかない。だけど、ただの闇だけじゃあだめだ。もっと強力な弾丸じゃないと、奴を倒せない。
「ハッハッハ! 何をしても無駄だ! 誰も俺を倒せない!」
「勝手に勝利宣言するなよ」
一か八かだ。俺はリボルバーにありったけの光と闇をぶち込んだ。これだけあれば、奴を倒せるかもしれない。俺はレッジから距離を置くため、走って逃げ始めた。
「逃げるか? 臆病者」
俺の予想通り、レッジは逃げる俺を追って走ってきた。俺はレッジの方を振り返り、リボルバーを構えた。
「これであんたを倒してやるよ」
「ほう」
俺の言葉を聞いたレッジは、バカにするような笑みで俺を見た。あいつはバカだ。さっき光と闇の攻撃で傷を受けたこと、忘れてやがる。この強烈な光と闇の弾丸で、この戦いの幕を下ろしてやる!
俺は奴の体に銃口を合わせ、引き金を引いた。この際だ、リボルバーの中にぶち込んだ光と闇の魔力の弾丸を、全部喰らわせてやる!
一発目は油断した奴の体に命中した。威力が高かったのか、弾丸を受けた際に奴の顔がゆがんだ。続けて二発目、三発目。それも奴の体に命中した。その直後、奴の体が震えだした。最後の仕上げと思いながら、俺は残っている三発の弾丸を一斉に発射した。三発の弾丸は、全て奴の体に命中した。
「そんな……バカな……」
奴は本当に油断していたようだ。かなり痛みを感じている表情をしている。
「モンスターソウル……禁断スキルを使っても……勝てないとは……」
そう言うと、奴はその場に倒れた。ふぅ、やっと終わった。
成瀬:プラチナタワー頂上、中央部
剣地とレッジの戦いが終わった。私は剣地を迎えに行き、そのままリーナ姫の元へ戻った。激しい戦いが続いたから、心配しているだろう。
「何とか終わったぜ」
剣地はこう言うと、私の方へ倒れた。
「ちょっと、何なのよもう」
「ラブヒール頼む。魔力使いすぎた」
「もう……リーナ姫がいるのに……」
あー、リーナ姫にこんな所見せたくなかったな。まぁ、こんな状況だから仕方ないか。
「ケンジ様……まだ戦いは終わっていません」
と、リーナ姫は震えながら私たちにこう言った。どういうこと? レッジは確かに剣地が倒したはずなのに。
「え? でもあいつは倒れましたけど」
「禁断スキルは、あまりにも効果が強力で、使用者にも大きな負担になるから仕様を禁止されたスキルです」
「大きな負担?」
「はい。私の城の書庫に禁断スキルの一覧があり、見たことがあります。その中にケンジ様が戦った人が使用したスキルの明細が書いてありました。モンスターソウルは使用者の身体機能や魔力、生命力を大幅に上げるスキルです。ですが、その代価として……眠ったりするなどで気を失った時、理性と知性を完全に失う」
「じゃ……じゃあまさか……」
私は嫌な予感がした。倒れたレッジの方を振り返ると、恐ろしい光景が目に入った。倒れたはずのレッジがゆっくりと起き上がり、気持ち悪い笑い声を発していたのだ。
「クソ! まだやる気かよ!」
「そのようね。リーナ姫、下がっていてください! あいつは私と剣地で倒しますので!」
剣地は剣を構え、私は魔力を使えるように態勢を整えた。しばらくして、理性と知性を失い、モンスターのようになったレッジが私と剣地に襲い掛かった。
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