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勇者VS邪悪なる剣


ヴィルソル:エクラード外


 最悪のことになっておる。エクラードの森が激しく燃え上がっている! 我が到着したのが遅かったか……クソ! 外にいる門番は倒れていて、すでに息絶えていた。じゃが、傷が治療された形跡がある。勇者がここにもうきたということか。そう思っていると、突如邪悪な気配を感じた。ニートゥムの奴かと思ったが、奴はこれほどの強い魔力を持っていない。まさか……ジェロディアか! あの邪剣がこの騒ぎを起こしたというのか!


「待っていろ、勇者……一人で無茶をするなよ……」


 先に向かった勇者が不安だ。我はそう思い、急いで里へ向かった。




ティーア:エクラード


 そんな……師匠がニートゥムの手によって倒された。ニートゥムは師匠の体から剣を抜き取り、師匠をゴミのように投げ捨てた。


「待っていたぜ、勇者。ニートゥムのバカの代わりに、俺がお前をぶっ殺して勇者になってやるよ」


「ニートゥムの代わり? あんたじゃあ……」


「察しの通り、俺はニートゥムじゃない、俺はジェロディアだ!」


 ジェロディアがニートゥムの体を乗っ取り、こんな騒ぎを起こしたのか。あの野郎のせいで皆が……皆が……。


「かかってこいよ、勇者ちゃん。俺が相手してやるぜ」


 ジェロディアは口に付着した血を手で拭いながら、私を挑発するかのようにこう言った。その時、師匠が小さな声で私にこう言った。


「テ……ティーア……」


「師匠!」


 私は急いで師匠に駆け付けようとしたが、その前にジェロディアが師匠に近付き、巨大な炎を発し、師匠へ攻撃した。


「遺言を言わせるわけがないだろ。俺は優しくねーからよ、ギャーハハハハハ!」


 炎が消えた後、そこには黒い炭のような物が残っていた。ジェロディアはそれを吹き飛ばし、気持ち悪い笑顔で私を見た。


「ねぇ、今どんな気持ちだ? なぁ? なぁ? なァァァァァァァァァァ? 教えてちょーだいよ、勇者ちゃァァァァァァァァァァん!」


 感情が爆発した私は何も言わず、剣を持ってジェロディアの腹を突き刺した。突然の行動だったからか、ジェロディアは私の突進をかわすことはできなかった。


「ギヒヒヒヒヒ。勇者でもブチ切れることはあるのですねぇ?」


「その口を閉じろ……下種野郎」


 私はそう言うと、ジェロディアの腹から剣を引き抜き、もう一度ジェロディアの腹を突き刺そうと思った。だが、私の考えを予測していたジェロディアは私の攻撃をかわし、反撃の蹴りを入れた。


「ガァッ!」


「バーカ! 今のお前の考えはバカでも理解できるぜ!」


 倒れた私に対し、ジェロディア奴は何度も私を踏みつけた。立ち上がろうとしたが、ジェロディアは私の髪を掴んで無理矢理立たせ、こう言った。


「立ちたいのか? 手ぇ貸してやったぜ。礼ぐらい言えよ。なぁ、なァァァァァァァァァァ!」


 ジェロディアの蹴りが私に命中し、私は吹き飛んで地面に倒れた。だが、立ち上がった後、私は力を込めて剣を握り、ジェロディアを襲った。私の攻撃は命中しているのだが、ジェロディアは平気で笑っていた。


「ハッハッハ。そんな攻撃でダメージを与えているつもりですかねぇ? ダメージは、こうやって与えるものだ!」


 ジェロディアは私の顔を思いっきり殴った。めまいのするような感じが私を襲い、足元をふらつかせた。ジェロディアはそれを狙って私の足元を攻撃し、転倒させた。


「ニートゥムの奴に代わって、貴様をぶっ殺してやる。ニートゥムよぉ、俺様に感謝しろよ。ついに勇者になれる時がきたぜ! ギャハハハハハ!」


 ジェロディアは私にとどめを刺すつもりだ。立ち上がろうとしても、めまいがあってまだしっかりと動けない。もうダメなのか……そう思った時、ジェロディアが悲鳴を上げた。何故か、ジェロディアの動きは固まっていた。


「ぐ……クソ……ニートゥム! 俺の邪魔をするつもりか!」


 どうやら、ニートゥムが復活し、ジェロディアの動きを止めているようだ。すると、ジェロディアが苦しそうに口を開いた。


「ティーア! 今のうちに俺に攻撃しろ!」


「ニ……ニートゥム!」


「時間がない……早く……しろ……グッ……グワァァァァァァァァァァ! ハッ……ハッ……あのクソ野郎が! お楽しみの邪魔をしやがって!」


 ニートゥムが作ってくれた時間のおかげで、私は立ち上がることができた。だが、攻撃をする時間はない。私は呼吸を整えて剣を構え、疲れ果てているジェロディアを睨んだ。


「クソッたれが! どいつもこいつも俺様の邪魔をしやがって! 全員ぶっ殺してやる!」


「その汚い口、永遠に動かないようにしてやる!」


 油断しているジェロディアに向かい、私はもう一度剣を突き刺した。今度はダメージが通ったようだ。疲れ果てているジェロディアは苦しそうに血を吐き、その場でうずくまった。


「調子に……乗るな! お前は……必ず殺してやる!」


 しまった! ジェロディアが膨大な魔力を開放し、私を吹き飛ばしてしまった! 強く飛ばされたため、私は遠くの壁に強くぶつかってしまった。グッ……さっきよりも酷いめまいが発生した……それに……何度も地面に強くぶつけられたせいで……手足が折れた……。


「ふぅ……まぁ、いろいろあったが俺は勇者より強いってことが証明されたわけだな。ハーッハッハッハ!」


 まずい……ジェロディアが近付いてくる……立ち上がろうとしたが、いきなり私の近くから闇の手が伸び、動きを封じた。まさか……師匠もこれで……。


「あの世で師匠に合わせてやる。安心しろ、お前の仲間も後であの世へ送ってやる!」


 と、ジェロディアが勝利を確信し、大きな声でこう言っていた。


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