ペルセラゴンへ帰還
剣地:聖域
時空のうねりを越え、俺たちは聖域へ、ペルセラゴンへ戻ってきた。俺たちを出迎えてくれたのは、弱り切った白い馬だった。
「一週間ちょっと前です。約束通り戻ってきてくれて……ありがたいです」
「日本で邪神はぶっ倒した。邪神はもういない」
「うねりから感じていた奴の気配が完全に消えました。皆様……お疲れ……様です」
「お疲れなのはあなたの方よ」
「回復するからちょっと待って」
会話をした後、成瀬とヴァリエーレさんが慌てて白い馬に駆け付け、体力を回復する魔力をかけた。俺とルハラ、ティーアとヴィルソルは体力がつくような食べ物がないか調べた。だが、白い馬は俺たちを見てこう言った。
「私に食料は不要ですよ。食べても意味がありません」
「そ……そうなのか。でも……」
「大丈夫です。魔力を使いすぎただけです。少し休めば元に戻ります」
と言って、白い馬は立ち上がった。いつものように歩き始めたため、回復の魔力を使っていた成瀬とヴァリエーレさんは驚いていた。
「すぐに治ったようね」
「はい。無事みたいでよかったです」
「それじゃあ皆の所へ行こうよ」
「無事に戻ってきたことを伝えねば」
その後、俺たちは聖域を出てエクラードへ向かい、フィレさんにことの結末を教えた。
「そうか。邪神は異世界の地で完全に消えたか」
「気配を感じなかったので、完全に消滅したと思われます」
俺たちの話を聞き、フィレさんは立ち上がり、近付いて口を開いた。
「まだ若いお主らに、重い仕事を任せてしまったようじゃのう。じゃが、それももう終わった」
「はい。邪神関連の仕事はもう完全に……」
「しかし、これだけは心の中で覚えていてくれ。いつの世も悪が存在するもの。いくら邪神を倒したとて、いずれそれと同等、それ以上の奴が現れる可能性もある。古の悪を打ち倒したとはいえ、あまり気を緩めるではないぞ」
「分かりました師匠」
ティーアが真剣な顔でこう言った後、俺たちは戻ろうとした。だが、その前にフィレさんがティーアを呼び、何かを伝えていた。すぐに話が終わったため、すぐに戻ってきたけど。
「ねぇ、何話していたの?」
と、俺の横にいたルハラがティーアにこう聞いた。だが、ティーアは何か考えていたのか、少しうつむいていた。
「ティーア、ルハラが聞いているわよ」
ティーアの横にいた成瀬がこう言ったため、ティーアは我に戻ってルハラの方を見た。
「ごめん、ちょっと考えことをしていたよ」
「で、何の話だったの?」
「大丈夫。大した話じゃないから」
笑いながら答えを言ったが、その時のティーアの表情は少し困っている色が見えた。もしかして、ニートゥムのことがあるのだろう。ニートゥムは邪神の心臓があった神殿から姿を消した後、行方が分からない。どこかで変なことをしていると思うが。
その後、俺たちはエクラードの外に出て、携帯電話でオノブさんの所へ連絡した。コール音が二回ぐらい響いた後、電話はつながった。受話器からはドタバタする音が聞こえている。
「おお剣地! 連絡してくるってことは無事に邪神と家光を倒したってことか!」
「はい。奴は日本で散りました」
「よくやった! いろいろと積もる話がある。お前たち、今どこにいるのじゃ?」
「エクラードの外です」
「エクラード? えーっと……おーいタトミ、エクラードってここからどの位かかるのじゃ?」
「ニ十分ほどで着くと思います」
「分かった。剣地、皆にニ十分で着くって言っておいてくれ! じゃ、また後で話そう!」
そう言ってオノブさんは電話を切った。俺は皆にオノブさんがくることを伝え、その場でオノブさんがくるのを待った。
ティーア:オハリの飛行船
邪神を倒したことを知ったオノブさんたちは、宴のような騒ぎを始めた。長年の因縁を私たちが決着を付けたことでいいのだろうとかと思ったが、オノブさんは家康、そしてその孫の家光が倒されればいいのだろう。
「オノブ様、宴の前にセントラー城へ連絡を。それと、アラマー博士たちとナディさん、シーアさんたちにも連絡を……」
「お前がやっといてくれ……飲みすぎて酔った……うえ! 吐きそう」
「仕方ないですねぇ。強いお酒を飲むからこうなるのですよ」
「テンション上がりすぎて強い酒飲んじゃった……ちょっと外行ってくる。胃袋の中の物がもう食道まで上がっている」
「ちょっとオノブ様! 今の状態見てから外行ってください! あんた今、スッポンポンでしょうが!」
酔ったバカ相手にタトミさんは大変だなぁ。そう思っているが、強い酒の臭いを嗅いだせいで、酔っぱらったルハラもルハラでナルセやヴァリエーレにセクハラをしまくっている。酔っているせいか分からないが、いつもよりも動きが速い気がする。
「うへっへっへェェェェェェェェェェい! 酔っちまったよーん! ほーれほれほれほれほれほれ!」
「ちょっと、止めなさい、ルハラ!」
「いつもよりきついお仕置きするわよ!」
と言って、ナルセが炎を発した。だが、酔ったルハラは思いっきり高く飛んでケンジの頭の上に着地した。
「おまっ、どこに着地している!」
「こっこでっすよーい。ヒック」
「呆れた、もう!」
「成瀬殿、落ち着いてください! 魔力を開放してしまったら、飛行船が落ちてしまいます!」
この場はニッコーさんが何とかしてくれた。だが、そんなバカ騒ぎの中でも私は師匠から言われたことを思い出していた。
ジェロディアがニートゥムの体を乗っ取るのも時間の問題だ。奴が何かをする前に始末しろ。それか、最悪の展開に備えて心の準備をしておけと。
この作品が面白いと思ったら、高評価とブクマをお願いします! 感想と質問も待ってます!




