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危機は続く


ティーア:富士山山頂


 上空に吹き飛ばされたルハラが、上空で態勢を整え、落下の勢いで攻撃力が増したかかと落としを邪神に決めた。命中した時に痛々しい凄い音がしたから、これで邪神に大きなダメージが入ったと思いたい。


「どうだ?」


 宙返りをしながら地面に着地したルハラは、攻撃を受けて項垂れている邪神の方を見た。


「グ……クソ……こんな攻撃で……」


 邪神は頭を抑えて苦しそうにしている。どうやらダメージが大きいようだ。思い出した。邪神は他の人と比べて魔力が強く、呪文が使えるだけの人間。ダメージは与えていればいずれ大きく積み重なり、邪神をひるませる!


「今よ、皆!」


 銃を構えたヴァリエーレは邪神に向けて発砲した。私と魔王はそれに合わせて光と闇の弾丸を発し、ルハラはチェーンソーみたいな刃の風を何度も発した。


「チッ、ふざけたことを!」


 邪神は痛みをこらえながらヴァリエーレの弾丸、私と魔王の光と闇の弾丸をかき消したが、ルハラが発したチェーンソーの風だけは消すことができなかった。そこまで手が回らなかったのだろう。ルハラの攻撃を受けた邪神は、痛々しい表情を浮かべていた。


「ぐォォォォォォォォォォ!」


「そら、続けてもう一発!」


 ルハラは邪神に追い打ちをかけるため、もう一回刃を発した。この攻撃で邪神の防御は崩れ、チェーンソーの攻撃を受けた。


「がァァァァァァァァァァ……こんな……攻撃でぇ!」


 攻撃を受けつつも、邪神は衝撃波を発してルハラが発したチェーンソーの風をかき消した。そして、受けた傷を治そうとしたが、その隙を狙った私は邪神はに接近して、もう一閃食らわせた。


「ググッ! クソッ!」


「どう? 光の力が込められた一閃は? 痛いでしょ?」


「おまけに闇の一閃も食らわせてやろう!」


 背後から魔王が現れ、邪神にもう一閃食らわせた。私と魔王の攻撃を連続して受け、邪神は苦しそうに後ずさりした。距離を取って回復するつもりか! そう思った直後、ヴァリエーレが弾丸を放って、邪神に攻撃を加えた。


「ガフッ!」


「逃さないわよ。このままハチの巣になりなさい!」


 ヴァリエーレはそう言うと、ダメージを受けて苦しんでいる邪神に対し、何度も弾丸を放った。傷口は弾丸のおかげで広がっているが、邪神は魔力を開放していた。私は邪神が何かすると思い、光の刃を発して攻撃を仕掛けた。しかし、その前に邪神から強い衝撃波が放たれた。


「この雑魚共が! 私をここまで追いつめたことは褒めてやろう。しかし! この私に傷つけた罰は貴様らの死で償ってもらう! 異世界の地で朽ち果てるがいい!」


 邪神はそう言って私たちに襲い掛かった。私は反撃をするため、邪神に斬りかかったが、逆に奴の拳を受け、魔王は腹を蹴り飛ばされた。


「ティーア、ヴィルソル!」


「邪神の方を見て……あの野郎……強くなっているよ!」


 私の身よりも自分のことを心配してほしい。そう思いつつ、私はヴァリエーレにこう言ったが、その前に邪神はヴァリエーレに近付き、炎を放った。


「キャァァァァァァァァァァ!」


「醜い焼け死体になるがいい」


「それじゃあお前は斬り刻まれてバラバラになっちまえ!」


 ルハラは風を発して邪神に攻撃を仕掛けた。しかし、邪神は見えない風を手で受け止め、ルハラに向けて放った。


「うぎゃァァァァァァァァァァ!」


「おやおや、どうやらバラバラになるのはお前の方だな」


 ルハラは防御をしていたけれど、あの風のせいでかなり多くの傷を作ってしまった。ヴァリエーレは大火傷を負い、倒れてしまった。私と魔王は立ち上がり、武器を構えて邪神に突っ込んでいった。


「ほう、あの二人の仇討ちか? 私に敵うと思っているのか、愚かな勇者と魔王よ! バカは死んでも治らないというが、貴様らは本当にただのバカのようだな! それでは、光と闇で貴様らを葬ってやろう、嬉しく思えよ!」


 邪神は光と闇を発し、私と魔王に直撃させた。つ……強い……本気になった邪神は四人では対処できない……グッ……このままじゃ……負ける。




成瀬:富士山山頂


 皆が危ない。私は急いで剣地に魔力を注ぎ込んだ。だけど、ありったけの魔力を込めても剣地は目を覚まさない。心臓は微かに動いている。脈は弱いけど反応している。生きているのは分かる。だけど……何で目を覚まさないのよ!


「さっさと起きなさいよ、バカ剣地!」


 私は涙を流しながら、剣地の名を叫んだ。その直後、背後から邪神の魔力を感じた。


「次は貴様らだ。あの雑魚共とまとめて、仲良く一緒にあの世へ送ってやる」


 まずい、邪神が私と剣地に狙いを付けた。皆はやられたみたいだ……いや、やられてない。ヴィルソルが何とかヴァリエーレさんとルハラに近付き、治療をしている。そして、ティーアが傷だらけになりながらも光の弾丸を邪神にはなった。だけど、ティーアの光は弱く、邪神には通用しなかった。


「かわすまでもない。あの程度のダメージ、すぐに治るわ」


 ティーアの弾丸によって傷つけられた邪神の肉体が、あっという間に治療された。それを見せびらかすかのように、邪神は笑いながら私の方を見ている。


「さて、そろそろ貴様らの短い人生の終わりの時がきたようだ。どうやら、ここはお前らが転生する前に住んでいた地ではないか。喜べ、再びこの地で貴様らは死ぬことになるぞ」


「悪いがそうはいかないぞ、邪神!」


 突如、剣地の声が聞こえた。倒れていた剣地が銃を装備し、邪神の心臓部に向けて弾丸を放ったのだ。予期せぬ攻撃を受けたせいか、邪神はダメージを喰らっていた。それよりも、やっと剣地が目を覚ました!


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