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剣地復活のために


 ハーレムパーティーが富士山の山頂で戦っている頃、孤児院にいる小野はテレビのニュースを見ながら剣地たちの無事を願っていた。ニュース映像はスタジオの映像が流れており、そこで富士山山頂へ向かったヘリが墜落したと繰り返し報道されていた。そんな中、仏壇の方で何かが倒れる音がした。


「何かしら?」


 小野は立ち上がって仏壇の方へ行くと、剣地の遺影だけが倒れていた。


「おかしいわね……写真立てはそんなに古くないのに……」


 不思議そうに呟きながら、小野は剣地の遺影の位置を直した




ルハラ:富士山山頂


 ナルセの魔力が暴走している。そうなっても仕方ないか、ケンジが……ケンジが……クッ……邪神の野郎! ケンジを殺した罪はとんでもなく重い! 蹴りや拳を何発も入れても気が済まない、あの自信気のある気に食わない顔を滅茶苦茶のごっちゃごちゃのぐっちゃぐちゃにさせてブサイクにして、邪神の体中の全ての骨を粉々にしないと気が済まない。いや、それだけやってもケンジは戻ってこない。クソォォォォォォォォォォ!


「この野郎がァァァァァァァァァァァァァァァ!」


「オ! マ! エ! ヲ! コ! ロ! スゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!」


 私と一緒に、怒りで暴走したナルセが邪神に襲い掛かった。だが、私はおろか、本気を出した上にブチ切れているナルセの攻撃を邪神はあっさりかわした。


「フン。愚かなバカだな。勢いだけの感情で私を倒せると思っているのか?」


「ウゴァァァァァァァァァァァァァァァ!」


 邪神の言葉を聞き、かなり強い怒りと憎しみを爆発させたのか、強い魔力を開放したナルセは、自分の周りに魔力の塊を発生し、とんでもなく太いビームを発した。大きさもすごいけど威力もすごい。そのビームが邪神に一転集中するかのように放たれた。しかし、邪神はビームを吸収してしまった。


「素晴らしい魔力のごちそうをありがとう。もう腹一杯だが、まだ胃袋に余裕はあるようだ。お代わりを頼むよ」


「コロス! ブッコロシテヤラァァァァァァァァァァァァァァァ!」


 まずい。ナルセの怒りはまだまだ収まらない。気持ちは理解できるけど、これ以上魔力で攻撃を仕掛けても邪神に吸収されてしまい、攻撃が無効化されるどころか邪神を回復させてしまう。私は急いでナルセに近付いた。


「ナルセ、落ち着いて。それ以上魔力を使っても、奴が吸収しちゃうよ」


 暴走するナルセを抑えつつ、私は打開策を考えた。しかし、邪神がケンジを殺したことで怒りが高まり、なかなか冷静になれない。クソッ、あの野郎の顔面を整形するようにぶん殴りたいなー。そう思っていると、ヴァリエーレが私とナルセに近付いた。


「ナルセ、ルハラ、冷静になってよく聞いて。ケンジは死んでないわ」


 死んでない……この言葉を聞き、私とナルセは我に戻った。倒れているケンジの方を見ると、ティーアとヴィルソルが急いで治療をしている。


「何とかケンジは生きているわ。ただ、魔力を全て奪われて、生きているのが精一杯のレベル。魔力を注ぎ込まないと死ぬかもしれない……」


 ヴァリエーレの話を聞いたナルセは、私の方を見てこう言った。


「ルハラ、ヴァリエーレさん。少しの間だけ邪神の相手を任せてもいいですか?」


「魔力を注ぎ込むのね」


「はい。どのくらい時間がかかるか分かりませんが、必ず剣地を復活させます。絶対に!」


 そう言ってナルセはケンジの方へ向かった。ティーアとヴィルソルはナルセの話を聞き、急いで私たちの方へ駆けつけた。




ヴァリエーレ:富士山山頂


 ナルセがケンジに魔力を注ぎ込むまで、邪神の足止めをしなければ。恐らく、四人で戦っても回復した邪神には敵わない可能性がある。それでも、時間稼ぎになるならやるしかない!


「雑魚の四人で、私を倒せると思うな!」


「黙れ! この腐れ外道!」


 ヴィルソルが闇を発し、邪神に攻撃を仕掛けた。復活した邪神は光を放ち、ヴィルソルが放った闇を相殺させた。だが、構えをとって隙だらけの邪神に対し、ティーアが接近して剣を構えていた。


「喰らえ!」


「効かぬわ!」


 邪神は左手でティーアの攻撃を防御し、そのまま衝撃波を発してティーアを吹き飛ばした。私とルハラは邪神に近付き、同時に攻撃を仕掛けた。


「お前のその気に食わない顔、無理矢理整形させてやる!」


 ルハラは叫びながら邪神に殴りかかったが、邪神はルハラの拳を受け止めて上空に向けて吹き飛ばし、私の剣の攻撃を右手の人差し指で受け止め、電撃を流した。


「キャァァァァァァァァァァ!」


「フフフ……いい悲鳴だ。実に素晴らしい。興奮するような声だ」


 痺れて身動きができない私に対し、邪神は私を倒して魔力の剣を作り出した。まさか、それで突き刺すつもりか!


「もっと……もっともっとその声を聴かせてくれ。痛みと絶望が混じった情熱的な声を!」


「お前がその声を発しろ!」


 邪神の背後からヴィルソルの声が聞こえた。それと同時に邪神の腹から魔王の剣の刃が見えた。ヴィルソルが助けてくれたのか!


「大丈夫、ヴァリエーレ?」


 吹っ飛ばされたティーアが私の方へ駆けつけ、治療の魔力をかけた。このおかげで何とか動けるようになった。


「ふん、コバエのように鬱陶しい!」


 邪神は衝撃波を再び放って私たちを吹き飛ばそうとしたが、私たちはバリアを張って邪神の衝撃波を防御した。そう何度も衝撃波を喰らわないわ!


「少しは学習するようだな……」


 私たちを見て、邪神はにやりと笑っていた。だが、その上空からルハラが勢いを付けて邪神の脳天にかかと落としを決めた。この一撃で邪神にダメージが通ればいいけれど。


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