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邪神復活


 ティーアの一撃を受け、家光は苦しそうに血を吐いた。


何故だ? 邪神の力を得て神に近い強さとなった私が、何故ここまで追い込まれる?


 ハーレムパーティーが修行でもっと強くなったと家光は承知していた。しかし、邪神の力があればハーレムパーティーをあっさり倒せると思っていた。だが、実際は逆に自分が追い詰められている。あらゆる魔力や呪文で攻撃を仕掛けたつもりだが、ハーレムパーティーには通用しなかった。


 そう思っていると、ティーアは両手に力を込めて、家光の腹に突き刺さった剣を引き抜こうとした。剣の刃が動くと同時に、家光の腹に激痛が走り、咳き込むように吐血した。


「グハッ、ガハァッ!」


 ティーアが家光の腹に刺さった剣を引き抜くと、それと同時に家光は倒れた。すぐに呪文で治療しようと試みたが、魔力がなく、呪文を使うことはできなかった。そのせいか、周囲に生き残っているモンスターが徐々に減り始めた。


「これで終わりだな」


「そうだね」


 家光の耳に、ティーアと剣地の会話が聞こえた。このまま戦いを終わらすつもりだろうと察した家光だが、逃げようにも逃げることはできなかった。腕や足を動かそうとするだけで、痛みが体中に走るからだ。


「グ……クソ……ここまで……やられるとは……」


 何が何でも逃げようと試みたのだが、その前に剣を持った剣地と成瀬が家光の足を踏んで抑え、家光の動きを止めた。


「テメーとの因縁、ここで終わらす」


「何て言っても無駄よ。あんたに対して情けは一切かけないつもりだから」


 二人は自分を始末すると家光は思った。もうダメかと家光がそう思った直後、突如自分の中でどす黒い悪意のような物が湧き出る感覚に陥った。ハーレムパーティーもそれに察したらしく、家光の近くにいた剣地と成瀬は驚いて後ろに下がった。


「何だ、この魔力? いや、これ魔力か?」


「分からないわよ。ただ、悪意的な何かは感じる」


「まさかさ、邪神の心臓が何かするのかな?」


「ルハラの言う通りかも」


「何かやる前に……」


「奴を倒す!」


 邪神の心臓が何かをすると察したハーレムパーティーは、武器を持って倒れている家光に近付いたが、突如発生した衝撃波によって全員吹き飛ばされてしまった。その後、家光の体は宙に浮いた。自分でも宙に浮こうと考えてなく、家光は驚きの表情をしていた。


「何だ、これは? 体が急に……」


 家光がそう言った直後、脳内で声が響いた。


情けないな。これがお前の全力か?


「その声は……邪神……」


 家光の言葉を聞き、ハーレムパーティーは再び身構えた。だが、家光の周りから発生している衝撃波のせいで近寄ることはできなかった。そんな中、家光の脳内で邪神の声は響いていた。


奴らの攻撃を受け続けた結果、お前の心臓は止まりかけている。もう一撃攻撃を受けると、確実にお前の心臓は止まる。


「死ぬってことですか? しかし、見ての通り私はまだぴんぴんしています」


お前にはもう一つ心臓があるだろう。邪神の心臓が。そのおかげで、お前は自分の心臓が止まってしまってもまだ生きていられる。


「そ……そうですか……」


 家光は安堵の息を吐き、安心した表情を見せた。だが突如、家光は苦しみだし、悲鳴を上げた。


「がァァァァァァァァァァ! な……何をするつもりだ!」


お前に手を貸そうと思ったが、どうやらお前では力不足だ。このまま死んで体をよこせ。私が有意義に使ってやる。


「そ……そんな……まだ……まだ死にたくな……」


 涙を流した家光が声を出していると、突如白目を向き、頭は項垂れ、手足は動かなくなった。




成瀬:富士山山頂


 家光の様子がおかしい。なんか変な会話をしていると思ったら、突如動きが止まってしまった。だけど、家光の周りから発している衝撃波はまだ出ている。


「な……何があったの?」


「家光の奴、死んじゃったのかな?」


「そうかもしれないが……まだ魔力は消えてない」


 しばらく様子を見ていると、白目を向いていた家光が顔を上げ、とんでもない魔力を発したのだ。


「うおっ!」


「おひゃー!」


 剣地とルハラは衝撃で飛びそうになったが、何とかこらえた。皆も踏ん張ってその場に止まっている。しばらくすると、家光の奴は大声で笑いはじ得た。


「フハハハハハ! ハーハハハハハ! 長かった、封印されて永遠に近い時間が経過したが……ようやく復活することができた!」


「攻撃を受け続けたせいで、頭がおかしくなったのか? ゲームのラスボスみたいなこと言いやがって!」


 剣地は銃を構えて発砲したが、家光は左手の小指一本で剣地が放った弾丸を受け止めてしまった。


「なっ!」


「返すぞ」


 家光はデコピンするかのような動きで弾丸を叩き、剣地の腹に弾丸を命中させた。


「ガハァッ!」


「ケンジ!」


 近くにいたヴァリエーレさんが慌てて治療を始めたが、家光はヴァリエーレさんに目がけて巨大な闇の塊を放とうとしていた。私は光の塊を放って家光が放った塊と相殺させ、ルハラが風で家光に攻撃を仕掛けた。


「フン」


 家光の闇は相殺できたが、ルハラの風は家光に傷を負わせることはできなかった。


「この野郎!」


「魔王を怒らせたこと、後悔させてやる!」


 ティーアとヴィルソルが剣を構えて斬りかかったが、家光は左手だけで二人の攻撃を防御し、左手を振り払って二人を遠くへ吹き飛ばした。


「ティーア、ヴィルソル!」


「それなりの力があるが、本気を出すほどではないな。教えておこう。私の利き腕は右だ」


「さっきの攻撃は手を抜いていたってこと?」


「そうだ」


 突如パワーアップした家光。だけど、どこか様子がおかしい。さっきまでは死んだようにぐったりしていたけど……まさか。私はある答えが浮かび、家光にこう聞いた。


「あんた、ウバルス・バーメンでしょ?」


 私の問いに対し、家光は笑いながらこう言った。


「そうだ。この体の元の持ち主はたった今死んだ。そして……たった今、ウバルス・バーメンは蘇った」


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