熱のある戦いの行方
剣地:東京上空
鉄を溶かすほどの熱があり、どんなモンスターよりも動きが早いモンスター、火鳥モドゥルゲス。近づけず、追うこともできないため、倒すのがかなり困難な敵だ。一体どうやって倒そうか俺は悩んでいた。
「悩んでいるのか? 坊ちゃんよぉ?」
考えている俺に対し、モドゥルゲスは猛スピードで俺に突っ込んできた。考える時間さえも与えてくれないようだ。俺は攻撃をかわしつつ、モドゥルゲスの様子を見ていた。冷静になって考えろ、モドゥルゲスを倒す方法は必ずある。まず、モドゥルゲスは闇に弱い。どれだけ熱がある炎でも、闇に飲まれれば消えてしまう。とにかく闇だ。闇を使って戦えばいい。モドゥルゲスの隙を見計らい、闇を当てさえすれば倒すことができる。
「無駄だ、無駄だ! 無駄無駄ァ! 闇を使っても当たらなければ意味がねーぜぇ!」
挑発するかのように、モドゥルゲスの言葉が聞こえてくる。人をからかっているのか、モドゥルゲスはでたらめに飛んでいる。クソッ、腹が立つなぁ。
おっと、冷静になれ。モドゥルゲスが接近した時に闇の弾丸を打ち込む。ダメージを与えれば隙ができるだろう。一回でもダメージを与えたら一気に攻め込んでやる! 俺はそう思い、銃を構えた。その動きを見たのか、モドゥルゲスは笑いながらこう言った。
「ギャハハハハハ! 銃は効かねーって言っているだろ! バカだなー! さっきのことを忘れたのか? お前の脳みそは鳥以下か?」
その後、モドゥルゲスは俺をからかうかのように周りをぐるぐると飛び始めた。徐々に接近しているため、熱で俺を弱らせて倒すつもりだと考えた。俺が弱いと思っているのか、わざと時間を稼いで倒すつもりだな。バカな奴だ。俺はモドゥルゲスが近付いてくるのを待ち、モドゥルゲスの動きのタイミングを合わして、闇の弾丸を放った。しかし、モドゥルゲスは弾丸が当たる寸前で動きを止めた。
「ハッ、俺の動きに合わせて弾丸を撃ったつもりか? そんな単純なこと俺が気付かないと思っているのか?」
「止まったな」
この時を待っていた。モドゥルゲスのことだし、俺の動きや考えを把握しているだろう。だから俺は、囮の弾丸によってモドゥルゲスが動きを変えた瞬間にできる隙を狙い、ありったけの闇の魔力を込めた弾丸を放った。
「なっ! 最初の弾丸は囮か!」
猛スピードで突っ込んでくる闇の弾丸を避けることはできず、モドゥルゲスは俺が放った弾丸に命中した。
「ガハァァァァァ!」
モドゥルゲスは痛々しい悲鳴を上げている。これは結構なダメージを与えたようだ。
「く……クソが……油断させて闇を……」
大きなダメージを受けたけれど、モドゥルゲスは動こうとしている。しかし、さっきよりも動きが遅くなっている。俺の予想通り、痛みで動けないようだ。さーてと、一気に攻めるか! 俺は両手に銃を持ち、弾丸を放った。動きが遅くなったモドゥルゲスは、俺の攻撃を避けることはできず、無数の弾丸を受けた。
「ギャァァァァァァァァァァ!」
「おいおい、さっきまでの強がりはどこ行った? モドゥルゲスさんよぉ! これでおしまいですかぁ?」
今度は逆に俺が挑発してやった。モドゥルゲスは苦しそうな声を上げ、俺に突っ込んだ。
「このクソガキが! 調子に乗っていると丸焦げにして、続けて焦げた体に俺のくちばしで何度も突っついてボロボロにしてやる!」
俺の挑発を受け、モドゥルゲスは怒り狂っているようだ。しかし、声は立派だが動きはそうでもない。俺は飛んでくるモドゥルゲスの突進を回避し、剣を装備して闇の魔力を開放した。
「このまま決着を付けてやるぜ、チキン野郎!」
「ふざけたことを言うなよ……死ぬのはお前だ! クソガキ!」
叫び声を発しながら突っ込んでくるモドゥルゲスに向かって、俺は勢いを付けて剣を振り下ろした。攻撃を受けて弱っているのか、大した熱さじゃなかった。俺の攻撃を受けたモドゥルゲスの体は、二つに裂けた。モドゥルゲスも俺に攻撃をしようとしたのだが、その前に俺から受けたダメージのせいで攻撃力は失ったようだ。
「が……この……俺が……」
モドゥルゲスは悔しそうに呟くと、炎が弱くなっていって、そのまま消えてしまった。ふぅ……これで戦いは終わった。しかし、昨日のモンスターやモドゥルゲスのせいで東京は荒れ地となってしまった。俺は家光に対して怒りの炎を燃やしつつ、小野さんの元へ戻って行った。
家光は突如立ち上がり、ため息を吐いた。
「私が作ったモンスターが全滅しました」
このことを聞いたドレノは、驚きもせずこう言った。
「奴らが強くなったってことか。こりゃ意外だったか?」
「はい。いずれにせよ、奴らが私たちの居場所を察するのが時間の問題です」
「言っただろ。俺が奴らを倒すって」
ドレノの言葉を聞き、家光はドレノに近付いてこう言った。
「そうですね。あいつらの処分はあなたの役目になることでしょう。しかし、これだけは肝に銘じてください」
「何だ?」
「あなた一人では、あいつらを倒すことは不可能です。あいつらはあなたが考えているよりも強くなっています」
「じゃあどうする? 策があるのか? またモンスターを作るのか?」
「こうするんです」
家光はそう言って魔力を開放し、ドレノに注ぎ込んだ。
「うわっ! 何をするつもりだ!」
「あなたに私の魔力を入れています。少しでもあなたが強くなるためにね」
「何だ、俺の強化か。ありがたいぜ。そう言うなら言ってくれよ。ビビったよ」
ドレノは自身の強化が終わったのを察した後、軽く運動を始めた。スクワットや腕立てを何度も行ったが、疲れや腕の痛みはなかった。
「こりゃすげぇ! 魔力どころか体も強化されてやがる!」
「あなたも大事な戦力です。仲間の仇討ち、頑張ってくださいね」
強化された体にされてはしゃぐドレノを見て、家光は小さくこう言った。
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