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水の泡となるのは誰だ?


ティーア:日本上空


 オキナワからオノさんがいる孤児院までは、かなりの距離がある。オキナワに向かっていた時は、魔力を開放してすごいスピードで飛んでいたから数十分ぐらいで行けたけど、今は戦いでばてたから、あの時ほどのスピードが出ない。


「はぁ……お腹空いた……オノさんが作った煮物が食べたい……」


 空を飛んでの移動中で、私は思わずお腹を触りながら呟いた。今なら何でも食べられる気がする。そう思っていると、少し先の方で光の魔力を感じた。誰かが光の魔力を使っているのだろう。基本的にナルセ以外の皆は光や闇に関するスキルを持っていないため、いざという時にしか光と闇を使わない。そう思ったけど、何度も修行を行ったおかげで、光と闇を派手に使っても魔力が少し残る程度には鍛えられている。だから使っても大丈夫のようだ。とにかく、どんな手を使ってでも、皆には生き延びていてほしい。




ヴァリエーレ:愛知


 光の矢はラグーンのぬめりを弾いて体に貫いた。予想以上のダメージを負い、ラグーンは目を丸くしている。


「ぐ……クソッ! こんな攻撃を受けるとは……」


 ラグーンは痛みをこらえて私に襲いかかった。もう人質のことなどどうでもいいようだ。私は高く飛んでラグーンの攻撃を回避し、再び光の矢を放ってラグーンに攻撃を仕掛けた。


「何だと! なっ……グァァァァァァァァァァ!」


 雨のように降り注ぐ光の矢は、全てラグーンの体に命中した。でかい体だから、当たり判定が大きい。もし、狙いがずれてもラグーンの体が大きいせいで、体のどこかに光の矢が命中する。


「このデカパイ女が! よくもここまでやってくれたな! お前は絶対! 絶対にぶっ殺してやる!」


 怒りの声を上げながら、ラグーンは体を回転させた。すると、ラグーンを中心に水の竜巻が発生した。まさか、竜巻を発生させることができるとは思ってもいなかった。


「たとえお前が宙に浮いていても、下にいても、この竜巻から逃れる方法はない! この空間の中で窒息して死んじまいな!」


 どうやら、あの竜巻の中に私を入れて封じ込めるつもりだ。そして、じっくりと私を弱らせて殺すつもりなのか。そんなことはさせない。というか、できるはずがない。あの程度の竜巻なら闇で消せる。


「あなた、イエミツが適当に作られたモンスターじゃないの?」


「何だと? そんなはずはない! 俺はあの人に魔力を込められて作られた存在だ! あの人が適当に作るはずなんてない!」


「確かに魔力や攻撃力はあるけど、頭の方は空っぽみたいね。何も分からないの?」


 私はそう言って闇の魔力を発し、ラグーンが作り出した竜巻を消してしまった。あっさりと消されてしまった竜巻を見て、ラグーンは口を開けて驚いていた。


「そんな……俺の竜巻が……」


「あら、もう手はないの? なら、これで終わりにするわ」


 ラグーンとの戦いに決着をつける。私はそう思い、剣を持ってラグーンに向かって走り出した。向かってくる私を見て、ラグーンは笑いながらこう言った。


「バカが! 俺にはぬめりがある! どんな攻撃でも俺の体までは届かないぜ!」


「光の矢でダメージを受けたじゃないの」


 私はこう言いながら剣に光の魔力を込めた。剣の刃部分は光の魔力のせいで強く輝きだし、しばらくして白い光を放った。


「バカが! そんな攻撃、受けるはずがない!」


 ラグーンはそう言って高く飛び上がった。何だ、この蛇は空を飛べるのか。思い出した、水龍って言っていたわね。


「このまま貴様を飲み込み、口の中で噛み砕いてやる!」


 どうやら私を飲み込むようだ。しかし、何も考えない奴だ。口を開けて突っ込んでくるなんて、私の光の刃を口の中に当ててくださいと言っているようなものだ。


「あなたが飲み込むのはこの刃よ!」


 私は剣を振り下ろし、光の刃を放った。しまったと思ったのか、ラグーンは急ぐように体の向きを変えて光の刃をかわした。


「ふぃ……、あぶねぇあぶねぇ」


 危険な攻撃をかわしてラグーンはホッとしたようだ。だが、この状況を把握していない。私は雷の魔力を開放し、ラグーンに向けて両手を前に突き出した。私の行動を見て、ラグーンはバカにしたような笑い声を上げた。


「おいおい、いいのかデカパイ女? お前が電気を俺に向けて発したら、下の奴らが感電するんだぜ?」


「あなたバカね。今自分がどういう状況か把握したら?」


 私の言葉を聞き、奴は慌てて周囲を見回し、こう言った。


「そう言えば、空の上だ……」


 やっと状況を理解したようだ。私はポカンとしているラグーンに向けて電撃を放った。水龍と言っていたから、雷の攻撃がかなり効くようだ。


「グアギャァァァァァァァァァァ!」


 苦しそうな悲鳴が轟いている。ラグーンは暴れるように空を飛んでいたが、私は情けをかけずに雷を発し続け、追い打ちを与えていた。


「クソが! この俺がお前みたいな奴にやられるなんて! 嘘だ! こんなの嘘だ!」


「人を甘く見ないことね。それに、さっきの攻撃のことを忘れたの?」


「あぁ?」


 この反応を見て、私はラグーンがさっきの光の刃のことを忘れていると確信した。電撃の前に放った光の刃には、追尾機能がある。もし攻撃を外しても、確実に私が決めた狙いに命中するまで追いかけると。


「さっきの攻撃って……」


 ラグーンは後ろを振り返って、自分に向かって飛んでくる光の刃を見た。それを見たせいか、ラグーンは悲鳴を発した。だがもう遅い。光の刃はラグーンの首に命中し、そのまま切り落とした。


「そ……ん……な……嘘……だ……」


 ラグーンは悔しそうに呟いたと同時、頭と首が泡のような形となり、そのまま消えた。


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