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沈む町の上で


ヴァリエーレ:愛知


「何これ……酷い……」


 私が謎の気配を頼りにやってきた町は、かなり悲惨な状況になっていた。水を操るモンスターのせいで町は沈んでおり、人々はゴムボートに乗って救助船に乗り込んでいた。だが、そんな人々を飲み込むかのように、波が自我を持っているかのように動いている。


「危ない! そうはさせない!」


 私は反射的に銃を持ち、波を撃ち抜いた。このおかげで波に追われていた人々を助けることができた。それからも私は波を撃って人々を助けていた。


「一体、誰がこんな酷いことを!」


 波を打ち、人々を助けた私は周囲を見回しながら叫んだ。すると、どこからか声が聞こえた。


「俺様だよ。面白いおもちゃを見つけて遊んでいたのに、邪魔すんじゃねーよ」


 そう言いながら現れたのは蛇のようなモンスター。全身水色のような色を発しており、奴の周囲には水がうねるような形でうごめいていた。人々を襲っていた波はこいつが出していたのだろう。


「あんたね、この町を水没させたのは?」


「その通りさ。俺は命令通りこの町をぶっ潰してこいって命令されているからな。分かったら、さっさとくたばれ!」


 そう言いながら、モンスターは私に向かって水を吐いてきた。水鉄砲のような動きだけど、速度も水圧もかなり強力で、下手すれば銃以上の破壊力を持っている。私はすぐに攻撃をかわし、銃を撃って反撃をした。


「そんな攻撃効かないぜ、そんな弾じゃあ俺の体は貫かない!」


 奴の言う通り、私が放った弾丸はぬめぬめした奴の体には通用しなかった。あのぬめりのせいで、弾丸は動きが止まってしまったのだ。


「クッ、ただの蛇じゃなさそうね」


「誰が蛇だ! 俺は水龍! 水龍ラグーン様だ! あの世へ行っても覚えておきな!」


 そう言いながら、ラグーンとか言った蛇は私に向かって何度も水鉄砲を放った。単純な動きだが、あの破壊力がある攻撃を受ければ、たとえ水でも体は貫いてしまうだろう。何とかわしつつ、ラグーンに大きなダメージを与える方法を考えた。


「おいおい、攻撃せずにちょこまか動いているだけか? デカパイ女!」


 挑発のつもりで私の胸のことを言っているが、あんな安い挑発で苛立つほど私はアホではない。冷静に状況を確認し、打開策を考えている。まず、下手に電撃を使って攻撃したら避難している人に被害が及ぶ。いくらゴムボートに乗っているとしても、巻き込んでしまう恐れがあるだろう。それに、まだ溺れている人がいる。もし、ラグーンの弱点が電撃だとしても、ラグーンの体から通じるように電気が水に流れ、溺れている人が感電してしまう。


「おいおい、どうしたデカパイ女? 口だけかこの野郎!」


 口の汚い蛇さんだこと。さっさと倒してあの汚い言葉を放つ口を閉じたいものだ。そうだ、雷は駄目でも、光と闇ならいけるか。私はそう思い、光の魔力を発して矢を作り、ラグーンに向けて構えていた。だが、ラグーンはにやりと笑っていた。何をするつもりだ?


「光ねぇ。お前らハーレムパーティーが光と闇を使うことは把握している! 俺様が何も考えていないと思っていたのか!」


 ラグーンはそう言うと、水の中の尻尾を使って近くの溺れている人を縛り上げ、盾にするかのように前に出した。あの蛇、人質を取るつもりか!


「これで攻撃できるかな? 攻撃をしたら、こいつらがどうなるか理解しているよなぁ?」


 なんて外道な野郎なの。あのイエミツが作ったモンスターだから、あいつと同じように外道なのね。少し腹が立つ。


「いいわ。やってやるわよ。あなたを倒してやるわ」


 私はそう言って、光の矢を放った。予想外の行動だったのか、ラグーンは目を丸くし、口を開けて驚いていた。だが、私の放った矢は奴の頭上を越えていた。


「はっ……バーカ! 大外れだ! 俺はここだよ、デカパイ女!」


「外れたと思っているのね。それでいいわ」


 私はバカ騒ぎをするら軍に向かって、返事を返した。私の態度が怪しいのか、ラグーンは不思議そうに私を見ていた。やはり、生まれてすぐのモンスターは少々脳みそがないようだ。そう思ったその時、ラグーンは大きく目を開いた。


「な……が……」


 狙い通り。私は光の矢を操り、ラグーンの背中に命中させていたのだ。ラグーンがこの痛みで怯んでいる隙に、私は人質となった人を救助し、ゴムボートへ運んだ。さぁ、これで不安要素は何一つない! 反撃開始ね!




ヴィルソル:孤児院


 キョウトでの戦いを終えた我は、一足先に孤児院に戻ってきていた。中では、オノさんが心配そうにテレビを見ていた。だが、我が戻ってきたのを見て笑顔になった。


「まぁヴィルソルちゃん! 無事でよかったわ!」


 そう言って、我に近付いた。どうやら、我が最初に戻ってきたのだろう。


「他の皆はまだ戻ってきてないのか」


「ええ。でもこれ見て」


 と言って、オノさんは我をテレビのある部屋に連れてきた。ニュースが流れていたが、その中では各地で暴れているモンスターの姿があった。だが、勇者が向かったオキナワと言う場所には、もうモンスターの場所はなかった。


「勇者の奴も終わったのか?」


「多分。スタジオばっかり流すから分からないの」


「そうか……」


 話の後、我は魔力の探知を始めた。最初は各地に禍々しい気配を感じていたが、今は少し減っていた。どうやら勇者の方も戦いが終わったようだ。勇者の気配が徐々に近づいてきていた。だが、まだケンジたちの戦いは終わってないようだ。


「皆……早く戻ってこいよ。我らの帰りを待っている人がいる。早く倒して安心させろ」


 我は空を見上げながら、各地で戦う皆に向かって小声でこう言った。


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