表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
508/594

日本への道


ヴィルソル:ファイファー


 あれから我らは温泉で修行の疲れを癒した後、先に戻っていたケンジと合流し、ファイファーから出ることにした。いろいろとユナさんから聞きたいことはあるのじゃが、今はイエミツの奴を倒すのが先決。ことが終わればまた話はできる。


「では、そろそろ外へ戻ります」


「邪神の心臓を奪った悪人、家光の奴がもう日本へ行っているかもしれませんので」


 ケンジとナルセがこう言った後、ユナさんは笑顔で我らにこう言った。


「分かりました。私もあなたたちの手伝いをしたいのですが、幽霊となった今は手足を出すこともできません。初代勇者としてあなたたちの無事を願っています」


 ユナさんがこう言った後、勇者は少し考え、ユナさんに近付いてこう聞いた。


「一つ聞きたいのですが、あなたは私の先祖様ですか?」


「うーん、多分そうかもしれませんね。ただ、血筋なんてものはあれこれとごちゃごちゃしていて、私でも把握できていませんので。では、この世界のことを頼みましたよ、勇者ティーア」


 ユナさんはそう言って、姿を消してしまった。まぁいろいろとあったが、この修行でもっと力を得たことは大きい。これならイエミツの奴を倒せるかもしれない。そう我は思った。


 外へ出て、我らはまず聖域へ向かった。白い馬が我らの帰りを待ちかねていたのか、すぐにやってきた。


「お帰りなさい、皆様。どうやらこの数日で大きな力を得たようですね」


「休みなしで十三日間ずーっと戦っていたから、本気で死にかけたけどねー」


「でも、これで強くなれました。白い馬さん、イエミツの奴はどうなっているか分かりますか?」


 ヴァリエーレがこう聞くと、白い馬は冷静にこう言った。


「冷静になって聞いてください。まだ奴の魔力を微妙に感じます。ですが、奴は私たちに把握できないような場所にいます。あなたたちが襲ってくるだろうと察して、人の気配がなく、危険などこか遠くへ避難したのでしょう」


「じゃあ早く奴を止めないと! 行くぞ、皆!」


 焦ったケンジが魔力を開放し、空を飛ぼうとした。だがその時、とんでもない魔力を感じた。我らは驚き、思わず空を見上げた。あの魔力を感じたのは空だったからだ。




 ドレノは、突如解放した家光の魔力に押されていた。邪神の心臓を手にしてから家光の魔力を感じたことはなかったが、これだけ強い魔力になるとドレノは思っていなかった。


「グッ……何だよ、この魔力? あんた、一体何をするつもりだ? この強い魔力で、この世界を滅ぼすつもりか?」


「そんなことしませんよ。ただ、魔力と呪文で時空を捻じ曲げるだけです。まぁどうなるか見ていてくださいな」


 家光はそう言うと、両手で変な動きを行った。それに合わせるかのように家光の目の前にねじれのような空間が発生した。


「何だ、これは……見たことがないぞ。こんなものを作り出すなんて……」


 突如現れたねじれのような空間を見て、ドレノは目を丸くして驚いていた。そんなドレノの様子を無視し、家光は作業を続けた。


「さーてと、これでこうして……」


 家光は拳を握り、門を開けるかのような動作をした。その直後、ねじれが袋を開けるように開いた。その中には紫色の空間が広がっていた。


「準備ができました。さぁ、日本へ旅立ちましょう」


「旅立ちましょうって……ちょっと待ってくれ! 俺はまだ心の準備ができていないぞ!」


「私はできています。ま、多分大丈夫ですから行きましょう」


「ちょっと待て! うわ……うわ!」


 家光はドレノに近付き、手を取ってそのまま空間の中へ入りこんだ。家光はこれを抜ければ日本へ行けると思い、うきうきしていたが、ドレノは感じたことのない感覚に襲われ、悲鳴を上げていた。




成瀬:聖域


 何だったの……今の魔力? まさか、家光の奴が日本へ行ってしまったの?


「かなり最悪な状況になってしまったようですね。邪神を止めるためには、どんな方法でも取らねばなりません……」


 白い馬が静かにこう言った。どうやら、家光が何らかの方法で日本へ行ったことを把握しているようだ。その後、白い馬は私たちの方を向いてこう言った。


「皆様。これから次にすることを説明します」


「何だ、日本に行けるのか? よかったー」


「行けるなら言ってよねー。もう無理かと思って焦ったよ」


 剣地とルハラが何だというような感じでこう言ったが、白い馬はかなり真剣な口調でこう言った。


「次元を捻じ曲げて別の場所へ移動するなんてことは、そう簡単にできることではありません。聖域に住んでいる私でも、そんな技は簡単に使えません」


「やっぱりかなり難しいのね。魔力の技以外にも、別の力を使いそうだし」


「それでも、奴はニホンって場所へ行っちゃったよ」


 ヴィルソルとティーアの言葉に対し、白い馬は頷いて返事をした。その後、白い馬はもう一度真剣な目で私たちの方を向き、こう言った。


「私の話をしっかり聞いてください。話はまだ終わっていません。これからあなたたちをニホンへ送ります。しかし……私の力では、この世界からニホンまで道をつなげるのは一週間しか持ちません。よって、あなたたちは一週間以内にニホンでイエミツを探し出して倒さなければなりません」


「もし、一週間以上過ぎればどうなるの?」


 ルハラの質問を聞き、白い馬は難しそうにこう言った。


「どうなるか分かりません。二度と戻れなくなると思います。そして、ケンジさんとナルセさんは一度ニホンで命を落とし、ここへ転生した身。何が起こるか私でも……」


 どうやら日本へ戻るにはかなりの条件があるようだ。そうだ……私と剣地はあそこで命を落とした。そんな状態で日本へ戻ったら……一体どうなるのだろう?


 この作品が面白いと思ったら、高評価とブクマをお願いします! 感想と質問も待ってます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ