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禁足地での修業開始!


ティーア:ファイファー


 やっぱり噂通り、禁足地は昔から存在していた修行の場所だった。変な気配は感じるけど、これを乗り越えればイエミツに匹敵する強さを得られるかもしれない。私はユナちゃんに近付いて、修行をしたいと伝えようとした。


「ユナちゃん!」


「私はあなたたちよりも年上です。年下の子を呼ぶようにちゃん付けは止めていただけないでしょうか?」


 ユナさんは少し不機嫌な顔をしながらこう言った。やっば、まずいことをしたかな? そう思っていると、ケンジがユナさんの前に立った。


「ああごめん。ユナさん、俺たち修行がしたいのです。とんでもなく悪い奴を倒すために力が欲しいのです!」


 ケンジがこう言うと、ユナさんは私たちを見回し、しばらく考えた後でこう言った。


「あなたたちは一度、聖域で修行をしていますね」


「む? 分かるのか?」


「私も生前はあそこで修行をしていましたので。懐かしいです」


「生前って……」


 どうやらユナさんも生きていたころはあそこで修行をしていたようだ。ん? じゃあユナさんは一体何者だ? どうやら、ただの幽霊じゃなさそうだ。


「ねー、ユナさんって一体何なのー? 聖域のことを知っているなんてただの幽霊じゃないよねー?」


「私もルハラと同じことを思いました。あなた、一体何者なのですか?」


 私とルハラの言葉を聞き、ユナさんは笑顔を見せながらこう答えた。


「私は初代勇者です。寿命で旅立とうと思いましたが、新たな勇者を鍛えるために、こうやってこの修行場を作ったのです」


「その割には物騒な修行場ね……」


 ナルセがおどおどとしながらこう言った。ヴァリエーレさんに抱き着いているし、物騒な物を見たのだろうと思った。


「ああ、あれを見たのですか」


 うーむ、どうやらあれと言うのは、部屋の片隅にある大量のガイコツのようだ。しかも、かなり古ぼけているのか一部欠けているガイコツもある。


「あれは修行に失敗して命を落とした人たちです。あなた方もああならないように頑張ってくださいね」


「片付けとかしないのですか?」


「いい脅しの材料として取っておいているのです。修行にきた人に、下手したらああなると警告をするために」


 なんだかここが封印されていた理由が分かってきた。修行内容が物騒で、命を落とす人が増えたから封印したようだ。


 その後、私たちは軽くストレッチをしようとしたのだが、ユナさんが私たちにこう言った。


「では、運動をしながらでもいいので聞いてください。修行内容はこれから休みなしでずっと戦い続けてください」


「休みなしか。どんな奴と戦うのか教えてくれ」


「この森に生息していたモンスターの魂です。最後に修行者がきてから約六百年、皆戦いに飢えて凶暴になっています」


「六百年ずっと一人だったのね。かわいそう」


「大丈夫です。モンスターの魂がいましたので。暇ではありませんでした」


 最後に人がきたのが六百年前か、私たちが生まれる前の話だ。そんなことを思いながらストレッチをしていると、ユナさんが私の方を見ていた。


「どうかしたのですか?」


「あなたが今の勇者ですか?」


「はい。あれこれあって、私以外の家族も勇者の紋章が入っていますが」


「勇者なのにやることはやったのですね。時が経つにつれて、真面目な勇者が減ってきているようですね」


「変な勘違いをしないでください! キスだけです、キスだけ!」


 ユナさんは真面目そうに見えてちょっと変なことを言うな。私が胡散臭そうな目でこう思っているのを察したのか、ユナさんは口を押えて失礼と言った。だが、再び私にこう言った。


「昔と比べて、勇者と呼ばれる人は弱くなりましたね」


「弱い?」


「はい。今の基準と昔の基準で違うのでしょうか、昔はこの修行を生きて終えれば勇者と呼ばれました」


 昔はそうやって選ばれたのか。今はいろんなことをして認められたら、勇者の紋章がもらえるけど。


「さて、話はこれで終わりにします。それでは今から修行を始めますが、準備はできていますか? これから休みなしの戦いが始まります。止めるなら今のうちです」


 ユナさんは念を押すかのようにこう言った。だが、これを聞いても私たちの答えは変わらなかった。


「もちろん……」


「やる!」


 私たちの返事を聞き、ユナさんは分かりましたと言って消えてしまった。どこへ行ったのだろうと思っていると、目の前から無数のモンスターが現れた。




ヴァリエーレ:ファイファー


 修行と言っても、ただ無暗にモンスターと戦うだけかしら? きっとこの修行の意味があるだろうと私は思っていた。


「クッ、こいつら意外と強いぞ!」


 ケンジが剣を振り回しながら戦っているが、モンスターの皮膚が硬すぎて剣は通じなかった。さらに、私やルハラが魔力を使って攻撃をしても、モンスターは爪を振り払って雷や風を消し去ってしまう。


「そんなのありー?」


「かなり強いわね……昔のモンスターってこんなに強かったの?」


「いや、弱点はあるようだ」


 と、ヴィルソルは闇を使ってモンスターを攻撃し、そのまま倒した。どうやら、闇の魔力には弱いようだ。


「闇だけじゃないよ。光にも弱いみたい」


 ティーアが光の刃を発し、モンスターを次々と倒していった。ナルセも倒す方法がわかるとすぐに光と闇を発し、周囲のモンスターを倒していった。


「さぁ、どんどん行くわよ!」


「倒す方法が見つかれば敵はいないな!」


 弱点が分かり、私たちは意気揚々と戦っていた。だが、後ろを見たら私たちの戦いの様子を見ているユナさんが見えた。その表情はいたずらっ子のような笑みをしていて、ちょっと不気味だった。


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