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再び修行へ


ティーア:海の遺跡


 なんだかんだあってケンジとナルセの治療は終わっていた。その後、私たちは再び海の神殿にいるフォーミュラーに会いに行き、イエミツの奴が今どこにいるのかを聞いた。


「うむ……」


 私たちがフォーミュラーに話をしたのだが、フォーミュラーは唸り声を上げていた。海の書と言われるフォーミュラーでも、分からないのかな?


「ねぇ、分からないの?」


「奴の気配は察知している。ただ、かなり上空で飛行する乗り物に乗っても行けるかどうか分からない場所だ。そこに変な男と共にいる」


「変な男……一緒に連れて行ったロストジャスティスのボスかな?」


「そうだろうな。疲れているとはいえ、オノブさんを相手に善戦していたから、かなり強いのだろう」


 どうやら、ニートゥムではなくロストジャスティスのボスと一緒にいるようだ。まぁ、ニートゥムの奴は私がかなり痛めつけた後、ジェロディアに体を乗っ取られてどっかに行ってしまったけど。


「おそらく、日本へ戻る手段を見つけ、実行しているようだ」


「空の上で?」


「お主たちに邪魔をされぬように空の上にいるのだろう。まだ気配がするから戻れていないようだ」


「よし! 今のうちに家光の奴をぶっ倒そうぜ!」


「ちょっと待ちなさい、剣地!」


 張り切りだしたケンジに対し、ナルセはケンジの頬を強くつねった。ケンジは悲鳴を上げながらしばらくうずくまった後、ナルセに近付いた。


「いってーな! 強くつねらなくてもいいだろ! 俺たちは怪我が治ったばかりだってことを忘れたか?」


「忘れてないわよ! このままあいつの所へ行っても勝てないわよ。私とあんたが一番それを知っているはずよ」


「あぁ……まぁ、確かに」


「それに、オノブさんたちはまだ幻大陸にいるのよ。どうやって空を飛ぶのよ? スカイウイングを使っても、魔力が切れるのが目に見えているわ」


「だよな……」


 確かにナルセの言う通りだ。スカイウイングを使っての空中戦じゃあこちらに分が悪すぎる。あのスキルを使えるのがケンジ、ナルセ、私だけだ。もし、イエミツの奴がニホンって場所に行っても、戦えるように弱点があればいいんだけど……そうだ、邪神に弱点があるかどうか聞いてみよう。白い馬が邪神は元人間だって言っていたし、何か倒す手はあるかもしれない。


「ねぇ、邪神って弱点はないの?」


「ウバルス・バーメンは元人間。魔力を極めるため、魔力の勉学に励んでいたが、体力に関しては成績が悪かった。しかし……今はイエミツと言う奴の体の中に心臓があるため、体力不足と言う弱点は解消されてしまった」


「イエミツの奴も剣を使うせいで体は強いから、そのせいでもっと強くなってしまったのね」


 ヴァリエーレの言う通りだ。運動神経があるイエミツの体の中にいるのなら意味がない。少し残念だなと思ったが、フォーミュラーは次にこう言った。


「だが、所詮は人間。強い魔力があろうとも、心臓の動きを止めさえすれば奴は死ぬ。そして、魔力が強いだけだからそれ以上に強い魔力や攻撃を行えば傷を与えられるだろう」


「つまり、奴以上に強くなって再戦しろか」


 理解したかのように、ケンジがこう言った。なーんだ、結局はあいつらより強くなればいいってことか。分かればいい。


「単純な話だが、ウバルス・バーメンより強くなるのは難しいぞ」


「いや、一人や二人で奴に挑もうとは思いません」


「皆で戦えば、勝機はあります」


 そう。皆で一緒に奴と戦えば、勝てる確率が上がるはずだ。私たちの話を聞いた後、フォーミュラーは少しの間をおいてこう言った。


「そうだな。一人一人の強さがまとまれば、奴を打ち倒すことはできるだろう」


「ああ。それじゃあ俺たちは聖域へ戻るから」


「戻るのか。まあ、修行があるから早く戻った方がいいだろう。皆よ、奴を無事倒すことを祈っているぞ。また会いにこい」


「分かりました」


「じゃあまたくるねー」


 私たちはまたくるとフォーミュラーに告げ、聖域へ戻って行った。必ずイエミツの奴を倒し、またフォーミュラーに会いに行こう。




ヴィルソル:聖域


 話はまとまった。我らはさらに力を得るため、白い馬に話をしていた。だが、新たに修行をすると言ったが、白い馬は難しそうな顔をした。


「難しいですね。修行場はあなたたちがこの前使った場所しかないのです」


「じゃあまたあそこを使って修行をしてくるよ」


 ケンジがこう言うと、白い馬首を横に振った。


「あなたたちはあの重力の場で何日も生活をし、耐え抜くことができました。そのため、またあそこで修行をしても無意味です。同じ修行をしても、成長はしません」


「じゃあ、あれよりもっと強い重力の部屋はありませんか?」


「それがないのです。あなたたちが使った部屋が、一番重力が強い部屋なのです」


 うーむ……手詰まりになってしまった。新たに修行をしたいのじゃが、あそこで再び鍛えても無駄と言うわけか。まぁ、同じ場所で鍛えても力は付かん。あの重力になれてしまっとるし。そう思っていると、勇者が難しそうな顔をしていた。それに気付いたヴァリエーレが、心配そうに近付いた。


「何悩んでいるの、ティーア?」


「エクラードの森の中に、禁足とされている場所があるって思い出した」


「そんな場所があるの?」


「噂だと、あそこは昔とんでもなく厳しい修行を行うって言われていた場所なの。師匠に修行をしたいって話をして通してくれるかどうか……それよりも、あの噂が本当だといいけど」


 ほう。エクラードにそんな場所があったのか。丁度今は聖域にいる。フォレさんともしばらく会っていないし、たまには顔を見せに行くくらい、いいじゃろう。


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