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心臓を手にした者は?


 心臓がある部屋の前でオノブとドレノは戦っていた。オノブはドレノを睨みつつ、乱れた呼吸を整えていた。オノブはズルーオとの戦いで体力と魔力を大量に消費してしまったせいで、いつものように戦えないのだった。


「グッ……あの時、派手に暴れなければよかったの……」


「フッ、いまさらそんなことを悔やむなよ!」


 ドレノは手にしている剣を使って、深呼吸をしているオノブを突き刺そうとした。だが、オノブは剣が刺さる前に大声を発しながら立ち上がり、ドレノに向かって刀を振り下ろした。だが、オノブの攻撃はドレノの盾で防御された。


「剣と盾……厄介なものじゃ」


「そんなことを言う暇があれば、自分の心配をしたらどうだ?」


 ドレノはそう言って、オノブを蹴り飛ばした。その時、感じていたバグズの魔力が突如消えたことに気付いた。


「バグズ! ズルーオとクーマに続いてお前までも……」


「隙ありじゃァァァァァァァァァァ!」


 ショックを受けたせいで、棒立ちのドレノに襲い掛かったオノブだが、すぐにドレノは我に戻り、オノブを返り討ちにした。


「散った部下のためにも、この仕事は必ず成功させなければな!」


「成功させてはいけないぞ。あんな奴が邪神の心臓を手にしたら、世界がどうなるか知らんぞ」


「この世界がどうなろうか知ったことか。我らロストジャスティスが無事であれば他はどうでもいい!」


「じゃが、貴様以外の部下は全滅したようじゃ。残念じゃのう、一人ぼっちで裏ギルドを立て直すつもりか? 時間の無駄じゃ!」


「このクソエルフ! 減らず口を!」


 挑発を続けるオノブに対し、ドレノは剣を振るって襲い掛かった。




 邪神の心臓がある部屋にて。家光はゆっくりと邪神の心臓の方へ歩いた。家光は自分の心臓の鼓動が早くなることを感じつつ、邪心の心臓の近くに到達した。


「おお……おお! これが……邪神の心臓!」


 目の前にある心臓を手にしようとしたが、突如バリアのような物が発して家光の手を弾いた。


「バリアを張って守っているのか……だが」


 家光は魔力を開放し、邪神の心臓を守るバリアを破壊しようとした。だが、家光の魔力ではバリアを破壊することはできなかった。


「クッ……どうすれば手に取れる? 目の前にあるのに……こんなことって……」


 家光がこう呟いた直後だった。突如、脳内に声が響いたのだ。


「我の心臓が欲しいのか?」


 響いた声に驚き、家光は周囲を見回した。だが、そこには何もなかった。しばらくして、再び声が響いた。


「どうした? 我の心臓が欲しいのではないのか? 早く質問に答えろ」


「誰だ? 姿を現せ!」


 恐れるあまり、家光は刀を装備して周囲を見回し、声を出した。脳内に響く声は笑い始め、家光にこう言った。


「そんなに警戒するな。お前の目の前にいるではないか」


「目の前……まさか!」


「そうだ。心臓だ。このウバルス・バーメンの心臓だ」


 家光は少し驚いたが、イドナ村で察した邪神の体の力を思い出し、この力があるのも当然かと思った。


「邪神様、私に力をお貸しください。私は力が欲しいのです」


「ハッハッハ。心臓だけで何ができると思う? 考えてみろ」


「あなたの力は心臓にもあると聞きますが……」


「力を出すための入れ物がない。つまり、体がなければ我の力は出すことはできぬ。出せるとしたら波動ぐらいだ」


「波動……それを使ってバリアを破壊できないのですか?」


「やれる。ただ、ここまできた者の中に、我の力を求めてくるもはいなかった。どいつもこいつも我の力を恐れ、破壊しようとするものばかりだ。だから、魔力を使って追い返していた」


「そうなのですか……」


「だが、お前は違う。我の力を求めてここへきた。その度胸が気に入った。お前に我の力を貸してやろう!」


 邪神はそう言うと、心臓を守っているバリアを波動で破壊し、家光に話を続けた。


「さぁ、我の心臓を手にし、それを口にしろ!」


「え? 食べるのですか?」


「口にいれて飲み込めばいい。いざとなったら我が動く。そうすれば、我の力はお前に注ぎ込まれる!」


 家光は言われた通りに邪神の心臓を手にし、口に近付けた。拳より少し小さい大きさだが、口の中にいれるのは大変だろうと思った。だが、家光は意を決し心臓を口の中にいれて飲み込んだ。




成瀬:神殿内、邪神の心臓がある部屋前


 戦いが終わったのはいいけれど、もう体力が残ってない。剣地もかなり疲れていて、荒く呼吸をしている。


「これでも……行かねーと……」


「そうね、奴が心臓を手にしたら大変だし……」


 私と剣地は互いを励ましあって先に進んでいた。だが、先の方で金属音がぶつかり合う音が響いた。オノブさんが誰かと戦っているのだろう。私は魔力を出し、先へ向かった。そこにはオノブさんとロストジャスティスの残りの一人が戦っていた。オノブさんは私と剣地に気付き、大声でこう言った。


「剣地、成瀬! 家光の奴が部屋に行った! 心臓を手にする前に奴を止めてくれ!」


「先へは行かせん!」


 オノブさんと戦っている男は私たちに向かって衝撃波を発し、行く手を遮った。クッ、いつもならこの程度の衝撃波は弾き飛ばすが、力がない今はそんなことできない!


 苦戦していると、邪神の心臓がある部屋からとんでもない魔力を感じた。


「何だ、この魔力は?」


 男は突如発生した魔力を感じて驚いているが、私たちはこの魔力を知っている。イドナ村で感じたこの魔力は……まさか……まさか邪神の魔力? そんな……家光が邪神の心臓を手にしたってことなの?


「嘘だろ……奴が……心臓を……」


 剣地は驚き、その場に立っていたが、しばらくして大声を上げて部屋の中へ向かった。


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