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ロストジャスティスの焦り


 剣地たちより先を行くロストジャスティスの残りは焦っていた。腕に自信があると言って、足止めのつもりでその場に残った強者の幹部たちの魔力が徐々に減ってしまったからだ。


「まさか、ピーギュたちは皆やられてしまったのか?」


 心配そうにこう声を漏らしたのは銃使いの幹部、ズルーオ。横を走っていた幹部の男が走る速度を落とし、ズルーオの方を見てこう答えた。


「それしか考えられん。私たちはハーレムパーティーの力を見誤っていたようだ」


 斧使いの幹部であるクーマの返事を聞き、幹部のリーダー的存在である剣使いのバゲズが二人にこう言った。


「お喋りはそれくらいにしろ。ボスも苛立っている。いざという時は俺たち三人でハーレムパーティーをぶっ潰す。どうやら、他の幹部と戦う時にその場に残ったようだ。それに、力や魔力がないのか、その場から動こうとはしない。この仕事が終わったら後で始末すればいい」


「簡単に言うな。奴らを倒すのは難しいぞ」


 と、ロストジャスティスのボスがこう言った。その重い雰囲気の一言を聞き、バゲズは思わず頭を下げて謝った。


「も……申し訳ありませんドレノ様!」


「謝るのはいつでもできる。今は仕事を終わらせることを考えろ」


 ドレノは身に着けていたフードを外し、猛スピードで家光の元へ向かった。バゲズたちが話している最中に、家光は先へ行ってしまったのだ。


「あの男、あんなに早く……」


「目的の物が近くにあるから、テンションが上がっているかもしれないな」


「子供みたいだな。今の状況を考えてくれよ。俺たちは仲間が死んでいくから悲しい気分なのに」


「そうだな。ルンルンな気分じゃない。あの男、もう少し俺たちのことを考えてくれよ」


 三人はこう会話を交わした後、猛スピードでコウとドレノの後を追った。数分後、何とか合流した三人だったが、後ろから迫ってくる魔力を感じ、すぐに武器を持って身構えた。


「もう追いつきやがったか!」


「ドレノ様、ここは俺たちが食い止めます!」


「先へ行ってください!」


 三人の言葉を聞いたドレノは、重々しく口を開いてこう言った。


「焦るなよ。お前たち、焦っているぞ」


 ドレノの言葉を聞き、三人は返事をできなかった。焦っていると答えても、どう反応が返ってくるか少し不安だったのだ。そんな中で、ドレノは三人に近付いた。


「焦ると仕事を失敗しやすくなる。冷静になれ。いつもの調子で戦えばハーレムパーティーを倒すことくらい簡単にできる。他の幹部は皆やられてしまったが……お前たちは無事に戻ることを祈っている」


「分かりました、ドレノ様」


「ハーレムパーティーを倒し次第、ドレノ様と合流します」


「うむ。では先に行く。絶対にあとで合流しよう」


 そう言うと、ドレノは猛スピードで家光の元へ向かった。


 冷静になれ。


 ドレノの言った言葉が三人の頭の中で何度も再生されていた。落ち着けば何とかなる。いつもの調子で戦えば何とかなる。そう思いながら、迫ってくる剣地たちを待っていた。




剣地:神殿内、邪神の心臓部屋前


 そろそろ邪神の心臓がある部屋に着く。その前に家光やロストジャスティスの連中が罠に引っかかってないかなーって思ったけど、そう簡単にくたばる連中じゃなかった。だが、奴らの数はもう少ないはずだ。団員の死体ももうない。最初の方で大部分が命を落としてしまったようだ。危険な裏ギルドだと聞いているから、あまり哀れとかかわいそうとか思わない。


「剣地、成瀬、武器を用意しておけよ」


 突如、オノブさんがこう言った。何かに気付いたのだろうと思いつつ、俺はすぐに攻撃できるように剣を右手に、ハンドガンを左手に装備した。成瀬も剣を装備し、魔力を開放している。しばらく走っていると、俺たちの目の前に三人組の男が現れた。どいつも武器や魔力を開放していて、いかにも俺たちがくることを察していたような雰囲気を出している。


「きたな、ハーレムパーティー!」


「ここが貴様らの死に場所だ!」


「ロストジャスティスに歯向かったことをあの世で後悔しろ!」


 一人の男は銃を持ち、別の男は斧を振り上げ、もう一人の男は剣を振り回そうとしていた。相手の攻撃が出る瞬間、成瀬が魔力を開放して銃の男に攻撃をした。


「こいつは私に任せて! 二人はあいつらの相手をお願い!」


「分かった成瀬! 銃の奴は頼む!」


「さーてと、じゃあわしは力が強そうな斧の男を狙おう!」


 オノブさんは刀を装備し、斧の男に向かって斬りかかった。オノブさんの猛攻に対し、相手の男は斧で防御をしていたが、攻撃の反動を受けて後ろに下がる様子を見せない。それ程力が強いってわけか。じゃあ、俺は残った剣の奴を倒そう!


「くたばれ!」


 おっと、よそ見をしていた先に向こうが攻撃を仕掛けてきた。俺は攻撃を回避し、左手の銃で男に向けて発砲した。だが、男は剣を振って飛んできた弾丸を斬り落としてしまった。


「この程度か? 強いと思って焦っていたが、そうでもなさそうだ」


「まだまだ序の口だよ。戦いは始まったばかりだ」


 俺は剣を構え、男に向かってこう言った。その後、俺と男は互いの様子を伺い、チャンスと思った時に同時に走り出した。まさか、同じタイミングで走り出すとは思わなかったぜ。


「死ね! クソガキ!」


「うォォォォォォォォォォ!」


 男の叫び声と俺の叫び声がこだました。次に響いたのは刃と刃が激しくぶつかり合う音。それから俺と男は力を込めて剣の押し合いを始めた。強い力で押しているせいか、火花が散っている。それでも俺は気にしなかった。目の前の男を倒すためには、細かいことなんて気にしていられるか!


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