イベント開始
ヴィルソル:プラチナタワー内
我の予想通りじゃ。クァレバの連中が前日にタワーに忍び込み、リーナ姫の暗殺の準備をする。当たってほしくなかったが、外道の考えていること、その位普通に考えているじゃろう。
「グッ……貴様……」
首元を掴まれた女は、苦しそうに我の顔を睨んだ。そして、我から離れるために蹴りをしようと思ったが、我はその前に女を高く投げた。
「殺しはせん、少し眠ってもらおう」
我は下から闇の波動を発し、女に向かって飛ばした。
「闇の魔力か!」
女は落下する際、体制を変えて落下方向を変え、我の攻撃をかわした。
「攻撃をかわしたからって、安心するのはまだ早いぞ」
我は上へ飛んだ波動の軌道を変えた。女はそのことを察したのか、銃を構えて弾丸を放ち、波動をかき消した。
「やるではないか」
「今度はこっちの番だよ!」
女は我に銃口を合わせ、何度も銃を撃った。我は猛スピードで移動しているため、女が撃った弾は当たらなかった。
「ちょこまかと動きやがって」
「そんなに銃を撃つな。イベント前にこんなことがあると、騒ぎになるからな」
我は少し力を込め、女に首元に手刀で攻撃した。我の一撃で気を失った女は、その場で倒れた。意外とあっけなく終わったな。我はそう思いながらトランシーバーを取り出し、兵士たちに連絡をした。
「侵入者を確保したぞ」
ヴァリエーレ:城内訓練場
ヴィルソルは今、何をしているだろうか。私とケンジがトレーニングをしている中、ヴィルソルはこう言っていた。
「もしかしたら、イベント前に奴らがタワーに忍び込む可能性がある。だから、我は一足先にタワーへ向かって警備をする」
ヴィルソルのことだから何かあっても大丈夫だと思うけど、もし、本当にクァレバの団員が忍び込んできたらどうなるのと、私は少し不安になっていた。
今はトレーニングを終え、ナルセとルハラとティーアと一緒にシャワーを浴びている。ケンジはトレーニングの疲れか、先にシャワーを浴び終えて寝ている。
「いよいよ明日だね」
ルハラが髪を洗いながらこう言った。
「クァレバの連中、明日で全員ぶっ潰してやる!」
ティーアは拳を握り、こう言った。
「まぁ、いざとなったら私も暴れるから大丈夫よ」
ナルセの暴走が一番心配。この前のシリヨク王国での戦いも、ナルセの怒りが爆発し、とんでもないことになったとケンジが言っていた。また暴走して、プラチナタワーを壊さなければいいけど。
「ヴァリエーレ、調子はどうー?」
「ひゃっ!」
いつの間にか背後に回ったルハラが、私の胸を揉みながら話しかけてきた。
「ねーねー、早く言わないとその豊満な胸の中に顔を突っ込むよー」
「ルハラがそんなことしなければ大丈夫よ。光と闇のコントロールも上手くできているし」
「うんうん。じゃあ今度は私の性欲のコントロールをさせてー」
ルハラはそう言いながら、私の胸に顔を突っ込みながら、胸やら尻を触り始めた。
レッジは少し不安に思っていた。手にしているトランシーバーからイングの返事がないのだ。聞こえるのはノイズの音だけ。
「もしかしてやられたか?」
トランシーバーの電源を切り、レッジは頭を抱えてこう言った。少し気を落ち着かせた後、レッジはバルサを呼んだ。
「どうかしましたか?」
「あらかじめ伝えておく。作戦変更の可能性がある」
「イングさんの返事が……」
「お前の予想通りだ。もしかしたら、凄腕が警備員の中に紛れ込んでいて、イングはそいつと遭遇した可能性がある」
話を聞き、バルサは少し考えてレッジにこう聞いた。
「では、全員突撃でよろしいでしょうか?」
「いや違う。全員好きなように暴れろ。殺しも略奪も許可する」
「分かりました」
バルサは話を聞き、去ろうとしたのだが、レッジはバルサを引き留めた。
「ちょっと待て、もう一つ伝えたいことがあった」
「何でしょうか?」
「俺に傷を付けた坊主は俺がやる。絶対に手を出すな」
剣地:王家の車の中
翌日。俺たちは支度を終え、姫と共に車に乗った。周りには武器を持った兵士や、小さな魔道兵器がある。こんな中でクァレバの連中は襲ってこないだろう。
「あいつら、襲ってくるかな」
ルハラは窓から外を眺め、こう呟いた。この状況の中じゃあ奴らも襲ってこないだろう。俺たちが乗る車も、防弾使用の車出し、しかも対テロに備えて爆風や魔力での攻撃などなど、あらゆることを想定して作られている最強の車らしい。見た目は普通の車と変わらないけどな。
そんな中、出発して大体一時間後、俺の目に大きな塔が姿を現した。
「ひゃー! でっけー!」
あまりの大きさに、俺はびっくりしてこう言った。塔の全体図は少し離れた所からでも見えていたが、やっぱ近いと迫力がある。それにプラチナって名前についているくらいだから、色合いが本当にキレイだ。成瀬もヴァリエーレさんもあまりの美しさに見惚れている。
「うーん、前に登ったメチャデケタワーの方がもう少し大きかったなー。美しさはこっちの方が上だけど」
ティーアの口からこんな言葉が聞こえた。おいおい、これよりもっと大きい塔があるのかよ。
しばらくし、車はタワーの駐車場へ着いた。俺たちが先に降り、周囲を騎士団が取り囲んだ後、リーナ姫が俺たちの間に入った。
「では行きましょう」
俺たちは護衛をしながら、タワーの入口へ向かって行った。クァレバの連中のことだ。この隙を狙ってリーナ姫を暗殺するだろう。
「いつ、どこからくるか分からないから、皆気を付けてね」
「大丈夫だよ。さっき目に見えない光のバリアを張ったから」
どうやらティーアがバリアを張ったようだ。じゃあ安心だな。後は、先にタワーへ行ったヴィルソルと合流しないと。
ヴィルソル:プラチナタワー内
ようやく朝か。昨晩はクァレバの団員の戦いがあったからちょっと疲れたな。我は部屋の中央で座ってケンジたちの到着を待っていた。そんな中、我はあることに気付いた。
「きたか」
そう。クァレバの連中の魔力を察したのだ。我は急いで外に出て、魔力で周囲を探った。数は少なくとも二十人はいる。遠くの方では、騎士団が何かを囲うような隊形でこちらへ向かってくるのが見えた。あの中にケンジたちがいるはずだ。
「あ、ヴィルソル殿」
「警備ご苦労様です」
と、騎士団が動きを止めて我に深々と頭を下げた。しかも一斉に。まずい! あいつらが一斉に頭を下げたせいで、姫の居場所が奴らに悟られた!
「バカ者! 今すぐに頭を上げろ! クァレバの連中が姫を狙っているぞ!」
我の叫びを聞き、騎士団は一斉に頭を上げて武器を構えた。その直後、我の足元に弾丸が放たれた。
「警告のつもりか」
我は魔力を発し、改めて周囲を見渡した。そこにはやかましい叫び声を上げながら、クァレバの連中がこちらに向かってくる光景が見えた。
「奴ら、やけくそになったのか?」
いつの間にか、ケンジが我の後ろに立っていた。
「かもな。じゃが、探す手間が省けた」
「直接戦うなら、相手になるぜ!」
我とケンジは武器を構え、襲ってくるクァレバの連中にこう言った。
セントラー城のピレプの部屋にて。ピレプはベッドの上で横になり、レッジの連絡を待っていた。剣地たちがアジトを襲撃した後、レッジはピレプに連絡をしていないのだ。ピレプはレッジにいろいろと言いたいことや聞きたいことがあるのだが、何もできずイライラしていたのだ。
「所詮、底辺の犯罪者か。連絡をよこさんとは、何を考えている? こっちには偉そうに時間指定して連絡しろとか言っておいて」
ピレプは苛立ちを抑えようと思い、気を紛らわすためテレビを付けた。テレビでは、速報でニュースが流れていた。
「緊急速報です! プラチナタワーでセントラー王国の姫、リーナ姫が襲われた模様! 現在、騎士団たちがテロリストたちと交戦中の模様です!」
このニュースを見て、ピレプは満面の笑みを作った。
「ようやく始まったか。この戦いが終わった後、私は王になれるのか……ウヒヒヒヒヒ」
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