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雷は消えた


 タトミの罠に引っかかり、ピーギュは身動きが取れなくなった。その隙を奪われ、ニッコーによる一閃を受けた。この一閃はピーギュに深い傷を与え、それと同時に身動きができないほどの痛みを与えた。


「ギャァァァァァァァァァァ!」


「ふぃー、やーっと一発与えられたわ」


「ニッコー殿、私の作戦を察してくれてありがとうございます」


「何か企んでいるってピーンとしたからの。でも、まさかクッションのような物を作るとは思いませんでした」


「一か八かの賭けです。下手すれば、奴の攻撃を受けて死ぬかもしれなかったので……でも、この賭けに勝利しました」


「うん。そうじゃのう! じゃが、まだ奴は立ち上がるようじゃ」


 タトミとニッコーの会話を聞きながら、ピーギュは立ち上がろうとした。だが、立とうとした時に背中に負った傷に強烈な痛みが走った。


「ガアッ……こんな所で……この俺が……」


「タトミ殿、こいつはどうしますか?」


「とどめを刺しましょう。ロストジャスティスの連中は禁断スキルを使うというので、それらを使わせる前に確実に倒しましょう」


「そうですのぉ。こいつも何かしらの禁断スキルを使ってくるに違いない。早く倒してオノブ様の元へ向かいましょう」


 ニッコーは刀を構え、瀕死のピーギュに近付いた。このまま倒れていたらニッコーに斬り殺される。そのまま放置してくれと言っても、傷のせいでいずれ死ぬ。禁断スキルを使って反撃しても、その反動で死ぬ。どうあがいても、ピーギュに待ち受ける運命は結末が同じだった。


「クソッたれが……こうなったら使うしかない。どうせ死ぬんだったら、最期に暴れてやる!」


 ピーギュの言葉を聞き、ニッコーは焦って刀をピーギュに突き刺そうとした。しかし、その前にピーギュの体の周りから煙が発した。


「チッ、遅かったか! 何かしおったな!」


「ニッコー殿、上を見てください!」


 タトミの声を聞き、ニッコーは天井を見上げた。そこには電撃のような姿になったピーギュが宙を浮いていた。


「何じゃありゃ! 雷の妖にでもなったつもりか?」


「禁断スキル、ライジングボディ! 体を雷に変えてしまう禁断スキル!」


「雷か……これは厄介な!」


 ニッコーがこう呟いた後、雷と化したピーギュはニッコーに向けて飛び蹴りを放った。ニッコーは飛び蹴りをかわしたが、少し感電して痺れてしまった。


「グッ、かすっただけでも痺れるのか……」


「そうだ! どうやらこのスキルは俺にとって都合のいいスキルのようだ。魔力のさじ加減で威力を自由自在に変えることができるのか!」


 と、自慢げにピーギュはこう言った。まるで説明しているように話しやがってとニッコーは思ったが、仕方ないと考えを改めた。雷になった相手と戦うには、まだ策がないのだ。


「ニッコー殿、ここは私にお任せください」


 そんな時、タトミがこう言ってピーギュの前に立った。刀を鞘に納めているタトミを見て、ピーギュは心の中で苛立ち始めた。思えば自分が致命傷を負ったのも、タトミの策のせいだからである。


「テメーは許さねー……テメーの卑劣な策のせいで俺はこんな目にあった……テメーだけは確実に殺してやる」


「卑劣な策? 裏ギルドに所属する卑劣な男が言える言葉か? 立場を考えてください、クソ野郎」


 タトミはため息を吐いて、ピーギュを見下すようにこう言った。その態度に腹が立ったピーギュは魔力を出し、タトミに向かって電撃を放った。


「このままテメーを感電死させてやる! 苦しんで死ね!」


 ピーギュの両手からバチバチと轟音の用に鳴り響く電撃が発生した。だが、タトミはその電撃を見ても動じず、魔力で作った棒のような何かを横に向けて投げた。


「何をするつもりだ? そんな棒で俺の電撃をどうにかするつもりか?」


「避雷針だ。そこら辺の瓦礫を魔力でいじって避雷針と同じ働きにするようにしたのだ」


「避雷針だと……まさか!」


 ピーギュが放った電撃はタトミに命中することなく、避雷針の効果を持った瓦礫へ方向を変えた。電撃を浴びた瓦礫は跡形もなく消滅したが、この一撃でピーギュはかなりの魔力を使用してしまったのだ。


「ぐ……か……体が……」


 苦しそうに呟くピーギュを見て、ニッコーはあることを察した。


「さっきよりも雷が弱くなっている」


「普通に魔力を使ったつもりが、雷となった一部の体も使ったのでしょう」


 タトミは弱ったピーギュに近付き、刀を持ってこう言った。


「貴様に選択肢を与える。このまま消えて消滅するか、私に斬られて死ぬか。どっちにする?」


「グ……ふざけたことを……俺はただでは死なん! お前らを道連れにして死んでやる!」


「諦めが悪い奴じゃのう。醜いぞ」


「そうですね。ニッコー殿、同時に攻撃を仕掛けて倒しましょう」


「ええ。では、参りましょう」


 タトミはニッコーの動きに合わせ、同時に刀を振るった。二人の斬撃を受けたピーギュの体はバラバラになり、宙を漂った。


「チ……チク……ショウ……」


 ピーギュがそう呟いた瞬間、雷となったピーギュの体は跡形もなく消滅した。




剣地:神殿内


 タトミさんとニッコーさんの魔力が収まった。どうやら戦いが終わったようだ。二人が勝ったならいいけど、遠くにいるためかどっちが勝ったのか分からない。


「おいおい、また敵が待っておるぞ」


 はぁ、まだロストジャスティスの誰かが俺たちの足止めのためにここに残っているのか。前を見ると、そこには爪のような物を持ったナルシストのような男が立っていた。ナルシストのような男は俺たちを見て、にやりと笑っていた。うげー、気持ち悪い。こんな奴を相手にするのか……。


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