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ニートゥムとの決戦


ティーア:神殿内


 ニートゥムの魔力を感じた後、私は皆に向かってこう言った。


「皆、もしニートゥムがいても手を出さないで」


「お主の手で決着をつけるつもりか?」


 魔王が静かな口調でこう言った。それに対し、私はそうだと答えた。魔王は何か考えているような表情になったが、答えを出したのか、私にこう聞いた。


「分かった。我らは先に行くがいいか?」


「お願い、イエミツのことは任せたよ」


 私と魔王の話を聞いていたケンジとナルセは、心配そうな顔で私の方へ振り返った。


「ティーア、負けるなよ」


「怪我をしたら、先に進まずリュッセさんの所へ戻ってね」


 二人がこう言った後、続けるかのようにヴァリエーレとルハラが言葉を続けた。


「きついと思うけど、頑張ってね」


「とにかく死なないでねー」


「皆……分かった。皆も先に行ったイエミツの奴に負けないでね」


 そう言った後、走ることに集中した。しばらく走ると、ニートゥムの魔力が強く感じた。そろそろニートゥムの近くにいるということだろう。そう思いながら走り続けると、次の部屋の中央にニートゥムの姿が見えた。すでにジェロディアを構えている。戦う支度はできているようだ。


「きたか、ティーア」


「こんな所まで私と戦うために追いかけてくるなんて、本当に呆れるよ」


「どうやら……俺がここへきた理由を察しているようだな」


「そりゃーね。何回私を追いかけて、戦いを挑んだか分かっている? 何度も戦えば、理由も察知できるわよ」


 私はニートゥムの前に立ち、剣を抜いた。その後、皆の方を見てこう言った。


「さっき言った通り先に進んで! 奴とはここで決着をつける!」


「ああ! 勝てよ、ティーア!」


 ケンジがこう言った後、皆は先の部屋へ進んでいった。ケンジの言葉を聞き、ニートゥムは小さな声で笑いながらこう言った。


「勝てよ。か……無様だな。勝つのは俺なのに……」


「よくもまぁそんなセリフを言えるわね。これまで戦ったけど、あんた負けていたじゃない。昔も、ジェロディアを手にした今も」


「それも今日までだ。これからの戦いでお前に勝つのは、この俺だ!」


 ニートゥムはジェロディアを振り回しながら魔力を開放した。闇のような重々しい感覚が私を襲う。しかし、魔力を開放すればなんてことはなかった。


「うォォォォォォォォォォ!」


 私が剣を構える前に、ジェロディアを持ったニートゥムは突っ込んだ。私は剣を振り回してニートゥムを振り払い、光の矢を作ってニートゥムに向かって放った。


「そんなものが効くか!」


 ニートゥムはそう言いながら、私が放った光の矢を叩き落としていった。だが、これは囮だ。本命の攻撃は闇で作った波動の弾。あいつが光の矢を壊す隙に闇の波動を当ててダメージを与えようと思ったのだ。死にはしないが、当たればかなり痛いだろう。


「闇の波動か!」


 私の攻撃を察したニートゥムはジェロディアで防御しようとしたが、突如驚いたような表情をし、後ろに下がった。ジェロディアは闇の魔力に弱い。もし、あのまま防御をしていたらジェロディアは半壊していたかもしれない。実際、私もジェロディアを壊すつもりで放ったが。


「クッ……卑怯なことを!」


「卑怯? あんたも何回か使ったじゃない。ジェロディアを盗むとかさー」


「うるさい! 黙れ!」


 おっと、私の言葉を聞いたニートゥムは怒りのあまりジェロディアを振り回し始めた。相変わらず剣を振るのがへたくそだな。いや、私が成長しすぎたせいでニートゥムとの差がかなり開いたのだ。そのせいで、ニートゥムの剣技がへたくそだと思える。それだけ、私と奴の差が開いたというわけか。


「クソッたれが! ジェロディア、もっと俺に力をよこせ!」


 おいおい、魔剣に力をよこせとか言っていいのかな? 魔武器のことだし、変なことをしそうな気がする。そう思っていると、突如重々しい魔力を感じた。今度はさっきよりも強い。ジェロディアの奴、ニートゥムに何かしたな?




ヴィルソル:神殿内


 重々しい魔力を感じる。勇者が残った部屋からだ。あの魔力は勇者ではなく、ニートゥムの魔力だ。じゃが、闇に似た禍々しい魔力をあいつが持っているとは考えにくい。恐らく、ジェロディアの力だ。


「何じゃこりゃ? 変な魔力を感じるのう」


 オノブさんが少し驚きながらこう言った。我はジェロディアのことをオノブさんたちに話すことにした。


「勇者が戦っている男の剣のせいじゃ。あれは魔剣ジェロディア。勇者の故郷、エクラードに封印されていた魔の武器じゃが、ニートゥム……勇者と戦っている男とその悪友が封印を解いてしまった」


「へー、魔の武器か。おっかない武器があるのか。そんな物を手にしたら最悪なことになりそうじゃ」


「確かに最悪なことにはなったが、剣以外の武器は我らが破壊してもう残っていないが」


 説明する中、重々しい魔力と勇者の魔力がぶつかり合う音が聞こえた。あの二人、きっと激しい戦いをやっているのじゃろう。じゃが、今日までいろいろな戦いの経験を積んだ勇者なら、ニートゥムを倒すくらい何とかできる。そう我は思っていたが、あのニートゥムの魔力を察し、少し不安になってきた。そんな我の顔を覗き込むようにヴァリエーレが見た。


「どうかしたか?」


「珍しくヴィルソルがティーアのことを心配しているなーって」


「勇者とはいえ、あいつも我らの家族じゃ。家族の心配位、我だってする」


「ティーアがいないと素直なのね」


「恥ずかしいことを言うではない!」


「ヴィルソル、顔が赤くなっているぞ」


 と、ケンジが指摘した。く……何だ? この恥ずかしい気分は! 何なのだ、もう。


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