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イベントの前日


ティーア:城内の廊下


 明日、プラチナタワーのイベントが行われる。そのイベントにはリーナ姫も参加する予定になっている。だが、今リーナ姫はクァレバの連中に命を狙われている。本音で言うと、私は姫のイベント参加に反対している。こんな状況の中でリーナ姫を外に出すなんて、クァレバの連中の仕事がやりやすくなるだけだ。他の皆もこの状況は分かっているが、リーナ姫がどうしても参加したいと言っているのだ。


 うーん。参加するとなら私たちが援護をしなければいけないけど、クァレバの連中は意外と強い奴が多いようだ。ケンジも戦闘中に誰かに撃たれて怪我をしたし、私が戦った……エバーソンだっけ? あと一人の名前が思い出せない。まぁどうでもいいや。そのどっちかも意外と強かった。


 あれこれ考えていると、兵士の一人が騒ぎながら走ってきた。


「どうかしたの?」


「牢屋にいるクァレバの兵士、二名が死んでおります!」


「何ですって!」


 私は急いで現場へ向かった。そこにはすでにルハラが立っていた。


「大変なことになったねー」


「ええ」


 倒れている二人を見ると、どちらも額から血が流れた後があった。


「死因は?」


「魔力による攻撃です」


 と、近くにいた兵士は私を小さな鉄格子の所へ誘った。鉄格子の所には、少し切れたような跡が付いていた。


「外からやったのね」


 私は遠くの方にある林を見て、呟いた。多分、あそこから何者かが狙って魔力を使ったのだろう。でもどうして、こんなことを。




 剣地との戦いで傷を負ったレッジは、まだ治療を受けていた。


「動けますかレッジさん?」


「ん……やってみる……」


 レッジは立ち上がり、両腕を回し、腰を動かした。レッジの動きを見たイングは少しほっとしたのか、こう言った。


「よくなったみたいですね」


「多少は。若干痛みは残っているが」


 レッジがイングにこう言うと、何者かの足音が聞こえた。レッジは足音を聞き、睨みながらこう言った。


「誰だ?」


「俺ですよ。ラペラです」


 ラペラと名乗った男はレッジの前に姿を現し、近くの岩に座った。


「エバーソンとイッシュの始末をしてきました」


「そうか」


「傷はどうですか? まだ痛みます?」


「少しだけな。しかし、明日の仕事は参加する」


 レッジは立ち上がり、団員を集めるようにイングとバルサに指示をした。


「ラペラも戻ったし、リーナ姫暗殺計画を開始する」


 イングはファイルから一枚の大きな紙を取り出し、団員の前に広げた。


「これは明日の予定表だ。プラチナタワーでのイベントは朝から始まる。しかし、姫がくるのは午後からだ。昼飯を食い終わったころ……十三時前後だと思えばいい。その後、姫はタワーに入り、エレベーターで頂上に向かう。マスコミや兵士、大物の政治家なども一緒だ。もちろん、簡単に暗殺できるわけではない。タワーの周りには兵士もいるし、確実に俺を傷つけた坊主たちもいる。明日の作戦は少し難しいだろう」


 内容を聞き、団員は緊張感のあまり、顔に余裕がなくなった。


「そんな顔をするな。ミスをしなければいいだけだ。ターゲットがきたら殺す。いつも通りに動けばいい」


 その後、レッジは団員に作戦の話を始めた。その中で、リーナ姫を暗殺するチャンスはいくつかあると言った。


 一つ、タワーに入る直前。

 二つ、タワー内。

 三つ、タワー頂上到着時。


「明日の仕事はこれまでの仕事よりも難しいだろう。だが、確実にこなすために準備をしておく」


「今から数名、私と一緒にタワーに行ってもらうよ」


 イングがこう言うと、団員の間でどよめきが走った。


「先回りをして身を隠す。そして、姫が近くにきたら殺す」


「俺とバルサは後から行く。もし、俺たちが到着した時に姫が生きていたら、俺が殺す」


「その前に、俺が風で斬り刻んでいるかもね」


 と、ラペラが魔力を解放しながらこう言った。


「だといいんだがな」


 レッジは軽く笑い、ラペラへ返事を返した。


「では今から明日のための準備をする。各自武器や装備を整えるように。イングと共に先回りをする奴は銃の手入れをしっかりとやっておけ」


 作戦会議を終え、レッジはバルサを呼び、こう言った。


「最後の手当てだ。何とか明日までに間に合わせるぞ」


「分かりました」




剣地:城内の訓練場


 トレーニングの休憩中、成瀬が俺とヴァリエーレさんにドリンクを渡した。


「ほら、ちゃんと飲んで休んで」


「ああ」


 俺はドリンクを飲み干し、空になったコップを成瀬に渡した。


「ふぅ……生き返った……」


「少しはコツを掴めたわ」


 ヴァリエーレさんは、光と闇のコツが分かったようだ。逆に俺は微妙。使い方は理解することができたが、加減が分からない。


「うーん……俺も魔力に関するスキル貰えばよかった」


「ナイスフェイスとかいう変なスキルなんかいらないでしょ、何に使うの? ナイスフェイスなんてスキル」


「そりゃーモテるため」


「そんなスキルなくても、ケンジは女の子に好かれると思うけど」


 と、ヴァリエーレさんは少し笑いながらこう言った。確かにそうだな。ナイスフェイスはあまり使わないな。


「まぁいいや。この依頼終わった後で魔力のスキル取りに行くか」


 深いことを考えるのは止めよう。今は目の前の仕事に集中しないと。少し止んでいる中、俺はあることに気が付いた。


「なぁ、どうしてリーナ姫は狙われているのに、プラチナタワーのイベントに行くのかな?」


「私、昨日その理由を聞いたのよ」


 いつの間に。俺とヴァリエーレさんは驚いてバッと起き上がった。その後、成瀬はリーナ姫がイベントに出たかがっている理由を話した。


 リーナ姫は幼い時に母親を亡くしている。母親が生前の頃、よく両親と共に出かけた場所がプラチナタワーだそうだ。つまり、プラチナタワーはリーナ姫の思い出が詰まった大切な場所。だからタワーのイベントに出たがっている。


「思い出の場所だからか。気持ちは分かるな」


「ええ。そんな場所で姫を死なすわけにはいかないわね」


 俺とヴァリエーレさんの中に、闘志が湧き出たのだろうか、少しやる気が出てきた。


「成瀬、休憩は終わりだ」


「明日に備えるわよ」


 俺とヴァリエーレさんの言葉を聞き、成瀬は立ち上がってこう言った。


「じゃあ特訓再開ね」




 プラチナタワー周辺、城の警備員やタワーの警備員がすでに見回りを行っていた。その様子を察したイングたちは、慌てて近くの森の中に隠れた。


「どうします?」


「ここで騒ぎを起こすのはまずい。裏から侵入する」


 その後、イングたちはタワーの裏へ回り、勝手口の警備をしていた兵士を確認した。


「数は二人、武器は剣と銃」


「誰かが囮となって遠ざけろ」


「はっ」


 会話後、一人の団員が少し離れた場所へ移動し、警備員に姿を見せた。


「誰だ、貴様?」


 警備員がこう言うと、団員は茂みの中へ潜って行った。


「何者だ! 待て!」


 警備員が警報を鳴らし、仲間に異変を知らせた。その隙にイング達は扉の鍵を開け、タワーの中へ入って行った。


 中へ入り、イングたちは周囲を見回し、様子がおかしいことを察した。


「どういうことだ? 中に誰もいないぞ」


「セキュリティシステムも作動していません」


 タワーの中には警備員どころか、セキュリティ対策もしていなかった。


「もしかして……これは罠か?」


「その通りじゃ」


 上空から声が聞こえた。その直後、イングの周りにいた団員が悲鳴を上げながら、その場に倒れて行った。


「なっ!」


「悪いがイベントの邪魔はさせんぞ。これも仕事だからな」


 現れたのはヴィルソルだった。ヴィルソルはイングの首を掴み、魔力を発していた。イングは察した。こいつはかなり手ごわい相手だと。


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