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心臓の守護者


ルハラ:邪神の心臓がある神殿前にある森


 うっひー、村にある森だから簡単に抜けられると思っていたけれど、そう簡単に行かなかった。危ない毒を持ったクモやムカデはいるし、至る所に底なし沼がある。村の人たちは安全なルートを確保しており、そこを歩いて神殿へ向かっているという。


「よいか? この道から絶対に外れてはいかんぞ。外れたら毒虫のエサになるか、底なし沼に飲まれる恐れがあるぞ」


「うわー、何でこんな道があるのかな? 物騒だ」


「悪人対処じゃ。じゃからこうやってわざと遠回りになるような道になっておる。愚か者は早く行こうと焦って道を外す。そして命を落とす。あれが結果じゃ」


 村長が指を指す方向には毒クモの住処となっているガイコツがあった。あれ、何年も前のガイコツなのだろう。かなり黄ばんでいるし、目のあたりが欠けている。


「あれが哀れな輩のなれの果てか」


「恐ろしいですね……」


「大切な物を守るには、どんなことでもする。たとえ、相手の命を奪うことになっても。ま、愚か者がああなったのは自業自得じゃから、何とも思わんが」


「悪人に対しては冷徹ですね」


「悪人にかける情けはない。ほれ、神殿に到着するぞ」


 そんな話をしていると、私たちはついに邪神の心臓がある神殿の近くに到着した。近くで見るとかなりでかいな。皆が神殿のデカさに驚いていると、前にいた女性が私たちの近くにやってきた。おっ、結構いいスタイルの姉ちゃんだな。


「村長、この者は一体?」


「噂のハーレムパーティーじゃ。お主にも伝えたはずじゃ、外にいる強い連中がいずれここにくると」


「この者が外にいる強者ですか……」


 女性がまじまじと私たちを見る中、村長は女性の方を見てこう言った。


「紹介しておこう。彼女はリュッセ。神殿を守る守り手の一人じゃ」


 リュッセって名前か。ヤーウが彼女に近付いて親しげに話し始めたため、顔見知り何だろう。


「あなたたちがハーレムパーティーですか。噂通り強い人たちですね。強い魔力を感じます」


 なんか褒められると照れるなー。そう思っていると、村長は神殿に向かって歩き始めた。


「さて、これから神殿内部の案内をしよう。中は危険じゃから、必ずわしから離れないでくれよ」


 と、真剣な顔でこう言った。邪神の心臓を守るために色んな仕掛けがあるようだ。下手したら命にかかわるからふざけないようにしよう。




ヴィルソル:神殿内部


 神殿の中に入った直後、我は海の書がある神殿のことを思い出した。あの神殿もかなり危険な罠があちらこちらにあった。我らはその罠を潜り抜け、海の書ことフォーミュラーと話をすることができた。あの神殿も危険な罠がいっぱいあったが、邪神の心臓を守るこの神殿にも危険な罠がたくさんあった。


「ここは壁に伝って移動するのじゃ」


 村長はそう言うと、壁に近付いてへばりつき、ゆっくりと歩き始めた。壁の下には片足ほどの大きさの足場があるだけだった。ケンジは床を見ながら村長にこう言った。


「村長、床はあるのにそんなことをしないといけないんだ?」


「幻じゃ。呪文の力を使って床があるように見せているのじゃ。ほれ、証拠を見せよう」


 村長がケンジに見せびらかすように石を床に向けて投げた。すると、石は床をすり抜けて落ちてしまった。


「マジか……」


「落ちた先は溶解液がたっぷり詰まった落とし穴じゃ。落ちたら跡形もなく消えてしまうぞ」


 村長がこう言うと、床から煙が発生した。村長が落とした石が溶けたのだろう。


 それ以外にも危険な罠があった。しばらく先に行くと、床に奇妙なマークが書かれた通路にたどり着いた。マークの種類は赤と青の二つあった。


「変な模様じゃ。まるで迷路みたいじゃ」


 オノブさんが先に行こうとすると、何かを察したヤーウがオノブさんを引っ張った。


「どうしたのじゃ?」


「下から変な臭いがする」


「変な臭い?」


「ホッホッホ。さすがヤーウ。察しておるの」


 と、村長がヤーウを褒めた後、近くの石を拾って赤いマークに向かって石を投げた。すると、赤いマークの床が落とし穴のように開いた。それを見たオノブさんは腰を抜かして驚いていた。


「へ……下手したら落っこちていた。助かったぞ、ヤーウ」


「落ちた先は毒の沼じゃ。小さな毛穴から毒が入り、そこから毒が体内をめぐる。そして……苦しんで死ぬのじゃ」


「恐ろしいことをいうのは止めてくれ! こっちは下手したら死んでいたぞ!」


 下手したら自分自身がそうなっていた。オノブさんはそう思っているのだろう。少し怯え始めた。まぁ、あんなことを言われたら誰だって怯えるが。


 それから我らは青いマークの床を歩いて移動をした。青いマークの床なら大丈夫と村長は言っていた。だが、迷路のような通路になっていたため、突破するのに時間がかかった。大体三十分はかかっただろう。


「はぁ……はぁ……怖かった」


「マークとマークの境目が小さすぎないか?」


「罠なのよ、これ。簡単に行かしてくれるわけないじゃない……」


 危険な罠を潜り抜けたせいか、いつもマイペースのルハラもこれには疲れたようじゃ。ケンジとナルセもかなり精神的に疲れたのか、その場に座って休んでいる。オノブさんも疲れているのか、壁に寄って立っている。


「心臓を守るとはいえ、物騒な仕掛けをよく作るのう」


「その壁に近付かない方がいいぞ。回転するから。その先には溶解液があるから」


「ヒェッ!」


 話を聞いたオノブさんは驚いて後ろに下がった。いろんな所に何かの罠がある。こんな物騒な神殿じゃあイエミツはおろか、ロストジャスティスの奴らも突破することは難しい。その前に、我らが突破できるかどうか不安なのじゃが。


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