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体内を巡った先に


ティーア:集落の外


 私たちの攻撃を受け続け、大きな傷を負ったボーンアレクスは周りの物を食べて傷をごまかそうとしている。何かを食べてすぐに傷が癒されるわけでもないのに。もしかして、私たちの戦いで疲れた体を癒すため、何かを口にするのだろう。どちらにしろ、体内にいるケンジとナルセが危ない! 私はルハラを探し、近付いてこう言った。


「ルハラ、強風出せる? あいつの食事の邪魔をしてほしいんだけど」


「おう! 任せなさい!」


 ルハラは強い風を発し、ボーンアレクスの食事の邪魔をした。その隙に魔王とヴァリエーレが魔力の刃を発し、ボーンアレクスに攻撃をした。


「このまま攻撃を続けていれば……」


「倒せるはず!」


 二人の攻撃は続いたが、やっぱりボーンアレクスには効果がなかった。食事の邪魔をされたと同時に攻撃されたためか、ボーンアレクスは怒り出したようだ。鼻を鞭のように降って二人に攻撃を仕掛けたが、二人は攻撃を避けて私たちの元へ戻った。


「かなりしんどい戦いじゃ。かなりタフなモンスターじゃのう」


「中にいる二人が無事だといいけど……」


 心配そうに二人はこう言った。食事の邪魔はできたけど、最初に奴が食べた木や地面があいつの体内に入っている。二人に被害がなければいい。本当に無事であってほしい。




剣地:ボーンアレクスの腹の中


 ずっと腹の中を動き回っているが、似たような形のためどこがどうなっているのかさっぱりわからん。戻っているのか先に進んでいるのかさえ分からないのだ。


「本当に面倒な体内ね。まるでダンジョンみたい」


「だなー。ゲームのダンジョンだったらどこかに宝物があればいいんだけど」


「そんなのあるわけないでしょ。もしあったとしても、いい武器じゃないわ。神様から貰った武器の方がずっといいわよ」


「そりゃそうだな。ずっとこれで戦っていたし」


 成瀬とそんな話をしていると、突如轟音が聞こえた。上からだ。


「何だ、この音?」


「何かが流れてくるような気がする」


 俺は急いで壁の方へ移動し、音の主がくるのを待った。しばらくし、上から木や砂が雪崩のように流れてきた。あのまま移動していたら、あれと一緒に真っ逆さまに落ちてしまうところだった。


「木? 砂? なんか色々落ちてきたな。あの象、あんなもん食っているのか?」


「と言うか、象って木を食べられた? 雑食って聞いたことはないけど」


「覚えちゃいねーよ。ただ、日本の象とこの世界の象を比べても無意味な気がする。あれとは完全に別物だ」


 俺がそう言った後、木や砂の雪崩は止まった。あの象が何かを食わない時に先に進まないと! また何か食ったら、さっきみたいに何かが落ちてくる!


「成瀬、しっかり俺を抱きしめていろよ!」


「うん」


 成瀬が俺の胸元を力強く抱きしめたことを確認すると、俺は魔力を開放してさらに上へ向かった。木や砂が流れ落ちた所に行けば、あいつの口の中に到着する。そこに着いたら魔力かなんかを発してあいつの歯をぶっ壊し、外に出ればいい。簡単な話だ。俺はそう思いながら先に進んだが、また轟音が聞こえた。


「嘘だろ」


 俺は大急ぎでその場から離れようとしたが、猛スピードで上から降った木や砂に巻き込まれてしまった。


「キャァァァァァァァァァァ!」


「うわァァァァァァァァァァ!」


 猛スピードで落下してくる木や砂に反応できなかった俺たちは、そのまま下へ落ちてしまった。その時、さっききた道とは別の所へ落ちてしまった。


「どうするのよ! 変な道に入っちゃったじゃない!」


「俺だって分からないよ。こうなるって予想できるわけがないだろ!」


 会話ができる分それなりに余裕があるのだろう。木や砂にぶつかっても傷はできていない。しばらく落下していると、少し狭い所へ流れ着いた。


「つつつ……何とか砂や木から逃れたが……」


「何なのここ? なんか音がするけど」


 成瀬の言うとおり、この場所から音が聞こえる。まるで、心臓の鼓動のような音だ。心臓の鼓動……まさか……。


「この辺り調べようぜ」


「どうして? 早くここから出ないと。ずっとここにいるの、私嫌よ」


「話を聞けって。ここはボーンアレクスの心臓に近い場所かもしれない。外からじゃあ頑丈な奴の皮膚で攻撃は弾かれるが、中に入って心臓を潰せばいくらデカブツでもお陀仏だ」


「そうか……そうね! 心臓を潰せば奴を倒せる!」


 ようやくこの戦いに終わりが見えた。俺と成瀬がボーンアレクスの心臓を潰し、そのまま倒してしまえば外にいるヴァリエーレさんたちが楽になる。そう思い、俺は剣を装備して心臓を探した。しばらく歩いていると、心臓の鼓動が段々大きくなっているのを感じた。心臓が近いと考え、俺は注意深く心臓を探した。


「ねぇ、あれじゃない?」


 すると、後ろにいた成瀬が何かを指さして俺に伝えた。その方向を見ると、血管のような物につながれた赤くて巨大な物が見えた。音を発しながら動いているため、あれが心臓だろうと俺は思った。ただ、少し高いとこにあるため、高く飛び上がらないと攻撃が届かない。俺は銃に持ち替えて撃った。しかし、何かが現れて俺が放った銃弾を弾き飛ばした。


「何だ、今の!」


「う……嘘でしょ……」


 成瀬は目の前の光景を見て驚いていた。地面から変な物体が現れ、人のような形になって行った。ボーンアレクスは一応モンスターと同じ種類なのだが……まさか、心臓の部分に不審な物が入ったら処分する特殊な生き物がボーンアレクスの体内に存在するのか? 全くもう、何でもありだな!


「くるわよ、剣地!」


「クソッ、こうなったら全員まとめてぶっ倒してやる!」


 俺は魔力を開放し、襲ってくる化け物を睨んだ。


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