表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
438/594

さよなら、剣地と成瀬?


ヴァリエーレ:集落の外


 二人がボーンアレクスに飲み込まれた時、私は二人との出会いを思い出していた。まるで、走馬燈のように。何でこんな時に前のことを思い出すの? まだ二人は死んだって決まってないのに!


「ケンジィィィィィィィィィィ! ナルセェェェェェェェェェェ!」


 ルハラは大声を上げながらボーンアレクスに向かって強い風の刃を放った。無数に放たれる風の刃はボーンアレクスに命中したが、切り傷一つも付いていない。


「この野郎……」


「よくも二人を! このデカブツ野郎! ぶっ倒してやる!」


 ティーアとヴィルソルが光と闇が混じったビームをボーンアレクスに向かって乱射した。しかし、ビームはボーンアレクスの体を貫くことはなかった。


「ケンジ……ナルセ……」


 私は体内の魔力を全て電気に変換させ、ボーンアレクスに向かって飛んで行った。そして、剣を構えて奴の頭を一閃しようとした。


「ヴァリエーレ!」


「すごい魔力……」


「ヴァリエーレも同じ気持ちじゃ。あの憎き象を倒したいと!」


 皆の声が聞こえる。私だって同じだ、ケンジとナルセの仇を取りたい! 私は剣を振り下ろし、奴の頭に命中させた。やはり、刃は奴の頭を貫くことはなかった。だけど! 無理でも無茶でもこのまま奴を斬る!


「グッ……うォォォォォォォォォォ!」


 大声を上げながら全身に力を込めた。普通に力を込めるだけじゃ足りないから、魔力を使って全身の筋肉を強くさせ、力を上げた。このまま力に任せて奴を斬る。その位やらないとダメージを与えられない! 力を込めて剣を振り下ろそうとしているが、なかなか奴の頭は斬れない……どうしよう。そう思っていると、突如体が楽になった。横を見ると、皆が私の隣にいた。


「無茶をするねー、ヴァリエーレ」


「私たちも手伝わせてよ」


「お前一人だけにやらせるわけはいかん。皆、気持ちは同じだ」


 皆が私の元に集まり、一緒に剣を持ってくれた。ルハラはティーアとヴィルソルの方を見て、こう言った。


「同時に行くよー。せーのっ……」


「せっ!」


 ルハラたちの魔力と力が加わったおかげで、剣が動いた。このままの勢いで奴の頭を斬る! 私たちは声を上げながら落下していき、ついにボーンアレクスの頭に傷を付けることに成功した。地面着地する間、ボーンアレクスの甲高い悲鳴が聞こえた。これは演技なんかじゃない、本気で痛がっているようだ。


「これで倒したかな……」


 私は体中を滝のように流れる魔力を止めてこう言った。だが、ヴィルソルは鎌を構えていた。


「まだ終わっておらぬようじゃ……見ろ、傷を負ったことで逆上しておる」


 ボーンアレクスの様子を見ると、さっきより大声を上げ、足踏みをしている。どうやら……まだ戦いは終わってないようだ。




成瀬:ボーンアレクスの腹の中


 う……ん……ここはどこ? 臭いし、ぬちょぬちょする。


「うぐ……苦しい……どいてくれ……」


 下で剣地の声が聞こえる。しかし、暗くて回りが見えない。剣地がとこにいるかもわからない。


「暗いわね……明かり付けないと」


 私は火の魔力で明かりをつけ、辺りを調べた。ウゲッ! なんか気持ち悪い場所だ! しかも、何かうねうね動いている。


「ねぇ成瀬……いい加減どいてくれない?」


 と、下から剣地の声が聞こえた。お尻の方を見ると、剣地が私の下敷きになっていた。


「あー、ごめん。痛かった?」


「やっと離れてくれたか……重かったぞ。お前、太った?」


 こう言った剣地に対し、私は強烈なかかと落としを決めた。かかと落としを受けた剣地は頭を抑えながら、私に向かってこう言った。


「お前が上から落ちてきたくせに、かかと落としはねーだろ……イテテ。あー、頭にこぶが……」


「うるさい。最近気にしていることをさらっと言わないで。デリカシー持ちなさいよバカ」


 剣地にこう言った後、今の状況を軽く伝えた。剣地もこの状況を飲み込めたようで、頭を抱えながら呟いた。


「この状況からして、俺たちボーンアレクスの腹の中にいるみたいだなー」


「ええ。テレビで臓器の中とか見たことあるけど、あの中そっくりね」


「だな。テレビの時は簡易的なCGだったけど、リアルで見ると気持ち悪い。おえ……臭くて鼻がどうにかなりそうだ」


 剣地は壁を触ってこう言った。その時、手に着いた液体を見て気持ち悪そうな声を出した。


「うげぇー、ベトベトするー」


「触らなければいいのに。それよりも、ここからどうやって出るか考えないと」


 今、大切なのはどうやって脱出するかだ。皆私たちが食べられて困惑しているだろう。早くこんな気持ち悪い所から脱出して安心させないと。そう思っていると、突如地面が揺れた。


「きゃァァァァァァァァァァ!」


「うわっ! 何だ、急に! 地震か? いや、腹の中だから地震はあり得ないか」


 突如中で風のような物が発生した。しばらくして風は止んだが、また風が発生した。


「何だ……うォォォォォォォォォォ!」


「本当に何なのよもう! いやァァァァァァァァァァ!」


 私たちは荒れ狂う風に自由を奪われ、辺りを飛び回っていた。しばらくして魔力を開放して何とか態勢を整えたけれど、それでもきつい。


「グッ……何とかしねーと大変なことになる……早くここから出ないと」


「どこか出入口があるかもしれないわ」


 そう言って私は上を見上げた。すると、黒い穴を見つけた。そこが出入口なのだろう。分からないけれど、とにかく移動しないと!


「剣地、捕まって!」


「頼むぜ、成瀬!」


「任せなさい!」


 私は剣地の手を取って、黒い穴に向かって飛びあがった。


 この作品が面白いと思ったら、高評価とブクマをお願いします! 感想と質問も待ってます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ