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追い込まれて使うのは


ヴァリエーレ:ツタのドームの中


 破壊されたナイフの破片を受けたグレッパは、悲鳴を上げながらその場に膝をついていた。吹き飛んだ際のナイフの破片は凄い勢いだったし、攻撃を受けたせいで体中が穴らだけになったかもしれない。魔力は感じるから致命傷にはなってないようだけど、ほっておけば死んでしまうかもしれない。


「さ、大人しくしなさい。死にたくなければ私の言うことを聞いて」


 私はグレッパに近付いて話しかけた。しかし、グレッパは変な笑い声を上げて立ち上がった。


「悪いねぇ……ロストジャスティスの掟の一つで、こんなのがあるんだよ。狙った獲物は何が何でも仕留めろ。自分が死んでも必ず仕留めろという掟が!」


 その直後、急激にグレッパの魔力が上がった。私は後ろに下がって奴の様子を見た。グレッパは両手のナイフを自分の腹に突き刺し、こう叫んだ。


「行くぜ! 俺の最期のスキル! ブラッドブレードォォォォォォォォォォ!」


 最期のスキル? まさか……禁断スキルを使うつもりか! 私は魔力を開放してグレッパの様子を伺った。グレッパは腹に突き刺さったナイフを取り出した。血塗れになったナイフを見て、私はもう使い物にならないだろうと思っていた。しかし、刃に付いた血が怪しく動き出し、剣のような長さになった。


「さぁ、くたばっちまいなぁ! アバズレクソ女!」


 グレッパはもう正気じゃない、私を殺すつもりでいる。私はグレッパの攻撃に対して剣で受け流していたが、しばらくして血の刃は怪しく動いた。


「ただの刃かと思ったか? 自由に動かせる! くたばれ!」


 その直後、血の刃は私に目がけて飛んできた。勢いが早く、私は防御をすることができなかった。


「グゥッ!」


 体をそらしたおかげで致命傷を受けることはなかったが、左腕と右の太ももに刃が突き刺さった。血でできた刃だが、本物の鉄のように固い。


「チッ、ミスったか。避けやがって」


 グレッパがそう言うと、血の刃は元の長さに戻った。このままじゃ危険だ。足に深く刃が突き刺さったせいで、足を動かすと痛みが走る。この状態でいつまで動けるのだろうか。


「ギャハハハハハ! その足じゃあもう動けないようだな。さーて、しばらく遊んでやるよ!」


 その後、血の刃が私に向かって襲った。動けない状態かつ、左腕が使えないから防御もできない。右手に持つ剣で攻撃を切り払うのが精一杯だ。しかし、グレッパの攻撃はどうしても私の致命傷にはならない。その代わり、服の一部分が切れてしまう。


「喜べよ、エッチな姿のままあの世へ逝かしてやるよ」


「余計なお世話よ。そんなことしなくてもいいのに……」


 頭がぶっ飛んでしまったかと思ったが、スケベなことを考えるのだけはやめないようだ。だが、私を殺すことは変わりないようだ。


 グレッパはナイフを元の長さに戻し、私に向かって歩いてきた。ナイフを回しながら歩いてきている、勝ったつもりなのか?


「ケッケッケ、もうちょいエッチなことをしてぶっ殺したいところだけど、あのスキルを使った俺には時間がないからなぁ。悪いけどぶっ殺す」


 そう言って、私に向かってナイフを突き刺そうとした。しかし、グレッパは途中で立ち止まり、口を手で押さえて苦しそうに咳き込み始めた。それに合わせ、ナイフで突き刺した腹からも血が流れ始めた。


「オイオイ……もう時間か……」


「禁断スキルを使ったからよ」


 私はグレッパに向かってこう言った。それに対し、グレッパは笑いながら私の方を見た。


「俺らの裏ギルドは少し変わっていてね……団員の一人一人が何かしらの禁断スキルを持っている。その理由が分かるか?」


「確実に仕事を終わらせるつもり?」


「そう。ボスが真面目な人でさ、何が何でも頼まれた仕事は終わらせるようにと口癖のようにいつも言っているから……グファッ!」


 離している途中で、グレッパは血を吐いた。私はため息を吐き、こう言った。


「ブラッドブレードって血で刃を作るスキル?」


「その通り……その代償として、受けた傷は一生治らない。傷を負ったら一生そのまま、痛みもそのままだ。使うタイミングもさ……体中から血を流した時にしか使えない……」


 体中から血を流した時……だから破裂したナイフの攻撃を受けた時にスキルを使ったのか。私が動揺していると、グレッパは再びゆっくりと歩き始めた。


「さぁ……お話はこれまでだ……お前さんを……殺さないと……ボスに……叱られる」


 一生治らない傷を背負い、その上傷が広がる一方の状態でグレッパは私に近付いてきている。グレッパは死を覚悟して、私を倒そうとしているのだろう。




成瀬:ツタのドームの中


 少し強く感じていた魔力が少しずつ弱くなってきている。私がそう感じた瞬間、戦っている男は動揺して立ち止まった。


「グレッパ……お前……」


「仲間が不安なのかしら?」


 私はそう言って目の前の男に向かって剣を振った。だが、男は魔力のバリアで私の攻撃を防ぎ、カウンターのつもりでパンチを放ってきた。


「クッ!」


 バリアで防御をしたのだが、パンチの勢いが強いせいでバリアは破壊されてしまった。何て攻撃力!


「仲間が一人やられるかもしれぬ……悪いが、これ以上お前と遊んでいる暇はない」


「私だって同じ考えよ。大事な家族がこの中に閉じ込められた。他にも、私たちの帰りを待っている人がいる。ここであんたみたいな奴にやられてたまるか」


 私は魔力を開放してこう言った。


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