天使が散る時
ティーア:空中
ナルセが放ったビームはテーディーを飲み込んだ。普通の人ならこのビームを受けて半分死ぬか、よくても気絶する一歩手前のダメージを負う。だが、今の奴はブラッティエンジェルという禁断スキルを使っている。この影響で奴の体は強化されているが、防御面では一体どうなのだろうか?
少しして、ナルセが放ったビームが徐々に薄くなって消えて行った。その中にいたテーディーの体は前よりボロボロになっていた。
「クソッたれが……俺を……こんな目に合わせるとは……ゲホォッ!」
意識はあるけど、ダメージは大きいようだ。荒く呼吸をしているし、奴の背中はさっきと比べ、小さくなっている。いや、固くなってしまったのか、所々ひびが入ったようだ。
「まだ意識はあるのね。じゃあもう一発喰らってみる?」
と言って、ナルセは二撃目のビームの準備を始めた。テーディーはそうはさせるかと思っているのか、ナルセに襲い掛かった。奴の動きを察していた私と魔王は武器を持ってナルセの前に立ち、迫ってくる奴に攻撃を仕掛けた。
「てあっ!」
「ナルセに手を触れるな! 下種野郎!」
私と魔王の攻撃で、奴の両腕が吹き飛んだ。両腕は跡形もなく吹き飛んだが、奴には再生能力がある。斬っても無駄だけど、少しでも奴の攻撃を止めたい。再生するまでには、時間があるはずだ。
「無駄なことを……腕を斬り落としても再生するぜ!」
そう言って奴は全身に力を込めたのか、前かがみになった。だが、いつまで経っても奴の両腕は再生しなかった。それどころか、奴の血は固くなってボロボロと落ち始めている。
「……時間か……」
どうやら、奴の寿命が来たようだ。禁断スキルを使った反動で、血が固くなり、ボロボロになって形を失ってしまうのか。全身が血になった奴は、いずれボロボロになって落ちて行く運命か。
「こんなスキルを使っても……勝てなかったとは……」
「何言っているのよ。裏ギルドの分際で」
ナルセは剣を手にし、テーディーに向けてそう言った。テーディーは止めときなと言った後、私たちにこう言った。
「俺は手下をまとめるって言ったが、俺と同等の奴はロストジャスティスに腐るほどいるぜ。俺を倒したからと言って、浮かれるなよ。ロストジャスティスは他の裏ギルドとは違うぜ」
「やはりか……」
魔王の言葉を聞き、テーディーは驚いた表情をした。
「俺たちのことを知っているの?」
「何度もニュースで見たわ。この世界で最凶最悪の裏ギルドと言われているじゃろう。他の裏ギルドと比べ、規模もでかいと考えていたわ」
「なーんだ、察しがいいねぇ……」
溜息と共にテーディーがこう言った瞬間、急激に奴の体にひびが入った。それを見た私たちは驚いたが、テーディーは驚く様子を見せなかった。
「あーあ、ボスに悪いなー。こんな所でくたばっちまうなんて。いろいろ悪いことをして楽しい人生だった。後の楽しみは、テメーらがあの世へ来るのを待つだけか」
私たちがロストジャスティスに負けるっていうの? この野郎と思いつつ、私たちは同時に言葉を放った。
「何言っているの? 私たちが裏ギルドに負けるわけがないじゃない」
「悪いけど、私たちが死ぬのは万年の寿命を使った後になるよ」
「我らは貴様らのような輩には負けぬ。それだけは覚えておけ」
私たちの言葉を聞き、テーディーは苦しそうに笑いながらこう言った。
「そうかいそうかい……じゃ、俺たちを倒せるかどうかやってみな。無理だと思うけどね……」
そう言った直後、奴の全身にひびが入り、ガラスのように砕けた。テーディーとの戦いには勝利したけど、まだ奴の仲間はいる。戦っている間に奴らの仲間が来てしまったのか。
「一旦戻るわよ。皆と合流して奴らをぶっ飛ばすわよ」
「うん」
「ナルセの案に賛成じゃ」
その後、私たちはケンジたちと合流するため、ニッコーさんの飛行機へ戻ることにした。
ヴァリエーレ:ニッコーの飛行機
ナルセたちが戦っているおかげで敵の魔力は感じなくなった。だが、それは一瞬だった。目の前にはもう何機もの敵の飛行船が迫ってきている。
「うわー、ロストジャスティスってたくさん飛行船を持っているね。金持ちなのかな?」
と、後ろから来たルハラがこう言った。疲れて戻ってきたが、もう戦えるようね。
「ルハラ、後ろはどうなっているか教えてくれ」
「ちょっと待ってね。今見るから……おお。ナルセたちの戦いが終わったみたい。まだ奴らの飛行船はあるけど、かなりダメージを負ったから攻撃する余裕はないと思われる」
「分かったわ。ニッコーさん、速度を落として後ろに下がってください。ルハラ、ケンジに機体が揺れるから何かに掴まっててって言ってきて」
「了解」
私が何をするか理解したルハラは、急いでケンジの元へ向かった。
「ヴァリエーレ殿、一体何をするのですか?」
「前に敵がいるなら、安全な後ろに下がるだけよ。ナルセたちと合流して、あとは皆で前の敵を叩く!」
私がニッコーさんにこう説明した直後だった。突如、前方にいる敵が私たちに向かって機関銃を撃って来たのだ。私はバリアを張って自分の身とニッコーさんを守ったが、一部の弾丸が強すぎて、バリアを貫いてしまった。
「グアッ!」
「ニッコーさん!」
ま……まずいことになった! 敵の弾丸が操縦しているニッコーさんの肩を貫いた! すぐに治療をしたいところだったが、敵は二回目の攻撃を行おうとしていた。
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