血に染まった天使
ルハラ:空中
今戦っているテーディーって奴はブラッティエンジェルと言うスキルを使ってようだ。初めて聞くスキルだな。最近、誰かが作ったのだろうか。
「気を付けろ、何かしでかすかもしれん。聞いたことのないスキルじゃ」
どうやら、スキルに詳しいヴィルソルもブラッティエンジェルと言うスキルを知らないようだ。うっ、魔力が切れてきたか? 風の勢いがさっきより弱い。戦いたいけど、ここで時間切れのようだ。
「ごめん、魔力がなくなってきた。一度戻るよ」
「そうか。風を使いすぎたせいで魔力が減ったのじゃろう。戻って休め。後は我らたちでやる」
「うん。皆、気を付けてね」
その後、私は残った魔力を使いながらニッコーさんの飛行機に戻って行った。ケンジが銃撃戦を行っていたおかげで、敵の数はかなり減っていた。ケンジがやっつけたのだろう。
「ただいまー」
「おっ、ルハラか。皆はどうした?」
「まだ戦っている。私は魔力がなくなったから戻ってきた」
「そうか。キッチンに何かあると思うから、何か食べていいと思うぞ。ここは俺に任せとけ」
ケンジはそう言ってにやりと笑うと、再び銃撃戦を始めた。さて、私はお言葉に甘えて休むとしよう。皆が無事であればいいけど。
成瀬:空中
謎のスキル、ブラッティエンジェル。そのスキルを使ったテーディーと名乗った男の体から全身に血が発し、それが徐々に背中の方にゆっくりと移動し、まるで天使の羽のような物へと形を変えた。それに、腕や足にも血が移動している。血が付着して固まっているみたいだ。見ているだけで気持ち悪い。
「見事なものだろ、この禁断スキルは? 最近俺たちが作ったスキルだ。知らなくて当然だ」
「禁断スキルか……そんなスキルを使っても私たちには敵わないわよ」
「やってみないと分からないぜ! さぁ、第二ラウンドを始めるか!」
テーディーはそう言った瞬間、ティーアの背後に移動した。私もヴィルソルもその移動に気が付かず、少し隙を作ってしまった。
「なっ!」
「オイオイ。動きが遅いぜ、姉ちゃんよぉ!」
テーディーはそう言った後、ティーアに攻撃を仕掛けた。まずいと思ったが、ティーアは剣を装備し、テーディーの右腕を一閃した。
「マジかよ。腕を切っちゃうって……酷いことをするねぇ」
「酷いことをするねぇって、斬っても生えてくるってパターンでしょ? そんな気がする」
「大正解。お見事」
ティーアの言葉を聞いた後、テーディーの右腕が血で作られ、すぐに元に戻った。
「禁断スキルの力か……」
ヴィルソルはブラッティエンジェルのスキルの力を把握したようだ。私もあの力を見て大体把握した。あのスキルは血を使うスキルだ。似たようなスキルがいくつかあるが、あれはちょっと変わっている。
「その顔、ブラッティエンジェルの力を把握したみたいだね。またもや大正解」
「運動神経を上げる。そして、全身を血にすることでありとあらゆる形を作ることができる。じゃろ?」
「お見事。じゃ、正解したご褒美で死をプレゼントしよう!」
ブラッティエンジェルの力は把握した。だが、その対処法までは分からない。ただ耐えるしかないのか?
「そらそら! この攻撃が避けられるか?」
無数の血の刃が私たちを襲った。何とか回避しているが、その隙を見計らって移動したテーディーは攻撃を仕掛けてくる。テーディーの腕を切ったり足を切ったりしたが、やはりすぐに再生してしまう。かなり強いスキルだ!
「フッ。この無敵のスキルに勝てると思っているのかい?」
まずい、少しムカつくけどテーディーが言うようにブラッディエンジェルは無敵だ。対処法もないし、弱点もない。ただ単純に強化するだけなのに、これだけ強いとは思ってもなかった。苦戦する中、ヴィルソルが私とティーアに近付いた。
「時間切れまで待とう。禁断スキルなら、いつかその反動を受ける時がくる」
「それまで待てって言うの?」
「それしかあるまい……禁断スキルを使ったのは奴の責任じゃが……」
「それしかないわね。おっと、奴がくるわ」
テーディーは会話中の私たちに向かって血の刃を放ってきた。バリアを張って攻撃を耐えたが、バリアにひびが入ってしまった。避けていたせいで攻撃力を知らなかったが、これだけ強い攻撃だったとは。
さて、ここからはヴィルソルが言ってたように身を守りながら行動しよう。私たちは周囲に散開し、テーディーから離れた。
「ヘッ、別れて行動するつもりか。何を考えているか分からないけど、すぐに終わらせてやるよ!」
テーディーも時間切れがあることを察しているはずだ。なら、一気に私たちを倒そうと考える。その隙を見計らって攻撃することも考えたが、無駄に力を使っては今後に影響が出る。魔力を使うことは控えよう。
「ハーッハッハー! 逃げてばかりで俺に勝てると思っているのか?」
「下手な挑発を聞くな。奴らは我らの隙を作って攻撃するつもりだ」
「酷いことを言うなよ、魔王の嬢ちゃんよー。俺に勝てないからこうやって逃げているだろうが!」
「相手をバカにして、見下す言葉を選ぶ暇があるなら、自分の命のことを考えろ」
ヴィルソルの挑発を聞いたテーディーは、逆に怒りだして私たちに接近してきた。さっきより早い移動だが、攻撃に隙が見られる。
「ナルセ、どうする?」
「はぁ、仕方ないわね」
私はヴィルソルにその場から離れるように伝えると、テーディーに接近して右手を前に突き出した。
「何をするつもりだ?」
「ぶっ飛ばしてやるのよ」
私は右手に溜めた魔力を放出し、再びビームを発した。そのビームはテーディーの体を飲み込んだ。これで終わればいいけど。
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