上空での猛攻
ルハラ:ニッコーの飛行機
こりゃー目も覚めるような音だ。相手はミサイルを使って、私たちに攻撃を仕掛けてきた。ミサイルで攻撃だなんて、物騒だなー。
「ニッコーさん、この飛行機に武器ってありますか?」
ケンジは倒れないように柱を掴みながらこう言った。それに対し、ニッコーさんは申し訳なさそうに答えた。
「すみません、機関銃ぐらいしか装着されていません」
「俺がそれを使ってミサイルを打ち落とします! 機関銃なら、ミサイルを撃ち落とすことができるかもしれません!」
ケンジはそう言って機関銃が置いてある部屋に移動した。だが、その時急旋回でバランスを崩し、ケンジはナルセの胸元に顔を沈めた。
「ごめん、悪い成瀬」
「しゃーないわよ。それより立てる?」
「ああ。何とか立てるけど……しばらくこのままじゃダメ?」
「ダメに決まっているでしょ、このスケベ!」
ナルセは無理矢理ケンジを立ち上がらせ、機関銃のある部屋へ向かわせた。その時、外から何かが撃ち込まれるような音が響いた。
「クッ、ミサイルの他に機関銃も相手は持っているのか!」
窓を覗いたヴィルソルが呟いた。まぁミサイルがあるのだから、機関銃の一つや二つぐらいあるだろうね。そんなこと思っている場合じゃない。まだミサイルは私たちを追尾しているし、旋回した隙に敵は機関銃で私たちをハチの巣にするつもりだろう。こりゃーまずい。
「外に出る場所ってある?」
「外に出る……まさか戦うつもりですか?」
驚いたニッコーさんは私の方を見てこう言ったが、すぐに凛々しい顔に戻った。
「分かりました。機関銃のある部屋から外に出ることはできます。魔力はありますか?」
「うん。風を使って空を飛ぶよ」
「我も行く。闇を使えば空を飛ぶくらいたやすくできる」
「私も。スカイウイングのスキル持っているし」
「じゃあ、私はここでニッコーさんの補助を行うわ。いざとなったら、私が操縦します」
「はい。皆様、ご武運をお祈りします」
ニッコーさんの言葉を聞いた後、私とティーアとヴィルソルは外に出るためにケンジとナルセが向かった機関銃がある部屋へ向かった。ヴァリエーレはいろんな乗り物を操作できるから、ニッコーさんに何かあっても大丈夫だろ。それよりも、敵を倒すことを優先しないとね。
私たちは急いで機関銃のある部屋へ向かい、そこから外に出た。
「皆、暴れてくるのか?」
と、ケンジは機関銃を操作しながらこう言った。
「うん。少しでも相手の数を減らさないと、ケンジの負担がでかいでしょ?」
「確かに。怪我するなよ!」
「私も行くわ。私の魔力で奴らを塵にしてやるわ」
「成瀬、物騒なことを言うのはいいが、死人は出さんでくれよ」
私たちはケンジにも見送られ、ナルセと一緒に空へ飛びだった。私たちの動きを察していたのか、敵は一斉に私たちに向かって機関銃を放ってきた。
「おーおー、こりゃまた盛大なお迎えですなー」
「そんなことを言っとる場合かルハラ。お主、本当に風の魔力だけで空を飛べるのか?」
「うん」
もともと空を飛べるヴィルソル、スカイウイングのスキルを持っているナルセとティーアは大丈夫だが、私は空を飛ぶスキルも技も持っていない。しかし、風を操りさえすれば空を自由自在に動くことができる。空だからナチュラルエアのような気配を消すスキルは使えないけど、風を弾丸のように操って使えば敵の飛行機を落とすくらいはできる。
私は久しぶりにスナイパーアイを使い、敵のミサイルがどの飛行機に出てくるか調べた。
「見つけた」
どうやら、後ろにいる中型の飛行機からミサイルは出ているようだ。中型の飛行機の数は三機。落とされた時の控えなのか、別の二機からはミサイルを出そうとはしていなかった。
「さーて、反撃と行きますか!」
私はこう言った後、風の弾丸をいくつも作って中型の飛行機に向けて放った。ただ放つだけじゃ相手の飛行機は落とせない。しかし、ミサイルポッドの中を狙えば、中にあるミサイルが爆発を起こし、それで飛行機を落とせる。
しばらくすると、前の方から爆発音と黒い煙が上がった。ヘヘッ、風の弾丸は無事命中したようだ。
「ナイスじゃルハラ!」
「この勢いで攻めに行こう!」
攻撃が成功したのを見届けたティーアとヴィルソルは、勢いに乗って相手の方へ向かって行った。ナルセはその場に止まり、魔力を開放していた。
「強い魔力を使うつもり?」
「ええ。一気に片付けた方が楽だからね」
と言って、ナルセは笑顔で私にこう答えた。
中型飛行機に積まれているミサイルポッドが破壊されたことを知り、ロストジャスティスの団員たちは慌てていた。ロストジャスティスの幹部クラスが乗っている大型飛行機の中にいる家光は、ため息を吐いて呟いた。
「あいつらを甘く見過ぎですよ……ミサイルや機関銃を使っても、あいつらを倒すことはできませんよ。そんな攻撃で倒すことができるのであれば、とっくにそうしていますよ」
「そうだな。すまないな、俺たちの部下があの連中を甘く見ていて……」
家光の呟きを聞いた幹部の一人が近付き、家光に頭を下げた。
「いえいえ、最初は誰だってそうですよ。自分の力を過信して、相手を甘く見る。そして、痛い目に合うのです」
「しかし、こちらにも奥の手はあるのでしょ?」
家光の質問を聞いた幹部は、少し考えた後答えた。
「そうだが……あれは本当の奥の手だ。もう死ぬしかない時に使えと言ったが……」
「ま、どうするかは個人に任せましょう。とりあえず、どんと構えていましょう。どんとね」
家光はそう言って、お菓子があるテーブルの方へ歩いて行った。
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