ルハラの技とヴァリエーレの技
ハーレムパーティーが戦いだしたと同時に、ジョンは去ったペルを探していた。ジョンは手に銃を持ち、すぐにペルを見つけたら始末するつもりでいるのだ。
ジョンは頭の中でこう考えている。ペルを放置していたら、いずれ呪文を使って本当に世界を支配するかもしれない。呪文の力はとんでもなく強く、ジョンでも対処することはできない。しかし、戦って倒して捕まえて牢屋に入れても見張りを操り、簡単に牢屋から出ることができる。ペルは世界征服ができると言っているが、その言葉は本当だとジョンは察している。呪文を聞かせれば簡単に操ることができる。今の時代、CDや動画サイトを使えば簡単に音を流すことができる。もし、自分を含めた世界中の人間がペルの作った音を聞いたら、ペルの思い通りに動いてしまう。誰かに操られる人生なんてまっぴらだと。
「チッ、どこまで逃げやがったあいつ?」
舌打ちと共に、ジョンは目の前の瓦礫を蹴り飛ばした。少々熱くなっているなと思い、ジョンは冷静になりつつペルが次に起こしそうな行動を考え始めた。
「まさか……な」
考えがまとまったジョンは、周囲を見回してリリオの姿を探した。ジョンはこう考えた。ペルはリリオやスタッフを操り、リリオに呪文を歌わせ、その映像を全世界に配信させる。それで、視聴した人間を操るつもりだと。
「操った時に好きな呪文を言うようにすれば、そいつの周囲の人間を操ることができる。回りくどいやり方が、いずれ多数の人を操ることができる……あのひねくれ野郎が考えそうなことだな!」
ジョンはそう呟いた後、リリオの姿を見つけてすぐに駆け寄ろうとした。だが、その近くにはペルが隠れていたのだ。ジョンはそれを知らなかった。
ルハラ:イベント会場跡
「デァァァァァァァァァァ!」
ペルに操られたヴァリエーレは、叫び声を上げながら私に向かって剣を何度も振り下ろしている。剣を振る度に揺れる乳を見て私は少し興奮しているが、普段のヴァリエーレならこんなことはしない。ヴァリエーレはあまり乳を動かしたくないのだ。本人曰く、恥ずかしいのだと。
「グェェェェェェェェェェ!」
ヴァリエーレは勢いよく剣を振り上げた。その際、魔力の刃が私に向かって飛んできた。おっと、揺れる乳に目が行って魔力の刃には気が付かなかった。間一髪攻撃をかわし、指先に風の弾を作ってヴァリエーレの剣を弾き飛ばそうとした。狙いを定めて風の弾を発したが、攻撃を察したのか、ヴァリエーレはバリアを張って風の弾を防御した。攻撃をするように命令されているとは思うが、一応防御もできるのか。
「グッ……ウウッ……」
突如、ヴァリエーレは頭を押さえて苦しみ始めた。え? どうしたのだろう? そう思っていると、ヴィルソルの肩を借りて立っているティーアが叫んだ。
「今のうちだよ、ルハラ! ヴァリエーレに何か衝撃を与えて!」
「衝撃? ていうか、元に戻ったのね。よかった」
「我がやった。それより早く!」
二人の叫びを聞き、私はヴァリエーレの元へ向かおうとしたが、その前にヴァリエーレは立ち上がって私に攻撃を仕掛けた。今度は電撃の矢か。攻撃をかわしながら後ろに下がり、私はティーアとヴィルソルの元へ向かった。
「援護できる?」
「すまん、我は少し疲れている」
「魔王のせいで瓦礫に突っ込んで体が痛い。けど、アドバイスはできるよ」
「アドバイス?」
何のアドバイスだろう。私はそう思いながら、ティーアにどうすればいいか聞いた。それに対し、ティーアは体の痛みを我慢しながら答えてくれた。
「ヴァリエーレは完全に操られていない。ペルの奴、後からきたヴァリエーレに驚いて、慌てて呪文をかけたの。慌てたせいで呪文が完璧じゃないから、完全に操ることはできてないの」
「あれ? 記憶はちょっとあるのね」
「ちょっとね。私の魔力が強いせいだと思う。ヴァリエーレも戦っているのよ、ペルの呪文と」
呪文がしっかりかけられていないせいか、ヴァリエーレには少しの理性がある。それさえ分かれば、元に戻すチャンスに全てをかけるまでだ!
「ルハラ。すまないが、後は頼む」
「オッケー。任しておいてー。二人はゆっくり休んでなよ」
私はヴィルソルとティーアを逃がし、迫ってくるヴァリエーレの攻撃に対し、バリアを張って防御した。攻撃は何度も行われた。攻撃をするうちに、理性が元に戻ろうとするだろう。それまで、絶対にバリアは解除しない。私はそう決めていた。
攻撃が始まって数分が経過した。少しばててきたなーってところでヴァリエーレの攻撃の勢いが弱くなってきた。
「グ……ウウ……グゥゥゥゥゥ……」
再びヴァリエーレは苦しみだした。理性が元に戻ろうとしているのだろう。今がチャンスだ! ヴァリエーレを元に戻すには……セクハラ技を使わざるをえない!
私はヴァリエーレを押し倒し、そのままいろんな所を触りまくった。ヴァリエーレは私の手を掴み、技を止めようとしたが、私は風を使ってヴァリエーレの手足を抑え、技を続けた。
「グ……ヒャァァァァァ!」
「ほーらほらほらほらほら。いつもならこんなことをしたら叱られるけど、今は操られているからあーんなことやこーんなことやそーんなことがやりたい放題だー! ウッシッシ。覚悟しろ! ヴァリエーレ!」
「グッ……ウウウウウ……覚悟するのはルハラの方よ! いくら操られている状態だからって、やっていいことを悪いことがあるのよ!」
ヴァリエーレの叫び声の直後、激しい雷が私に命中した。
「あばばばばばばばばばば!」
私は感電しながらその場に倒れたが、復活したヴァリエーレを見てこう呟いた。
「いやー、私のセクハラ技で元に戻ったようだね。いやー、よかった」
「こっちはちっともよくないわよ! もう、服が乱れたじゃないの!」
「その方がエロいよー」
「恥ずかしいわ!」
何とかヴァリエーレは元に戻ったようだ。私のセクハラ技もたまには役に立つこともあるってことで。
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