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大激突! 魔王VS勇者


 イベント会場の外では、すでに避難していたリリオや他のスタッフが心配そうに会場を見つめていた。


「皆さん……」


 リリオはハーレムパーティーを心配する中、スタッフが何かに気付いて叫び声を上げた。


「おい、ペルさんがいないぞ!」


「まさか、逃げ遅れたのか!」


「おいおいおい、まずいってこれ。どうする?」


「ケンジさんたちが中にいる。助け出してもらうのを待つしかないな」


 この会話を聞き、リリオはさらに不安になった。その直後、イベント会場は大きな音を立てて崩壊した。


「リリオさん、こっちへ!」


「はい!」


 リリオはスタッフの誘導で会場から離れた所へ避難した。会場の壁や天井で使われたコンクリートの破片が飛んできたのだが、リリオやスタッフに当たることはなかった。


「一体何が起きている?」


「クナブの事件に続いて、また会場がぶっ壊れたよ」


「また会社が壊れた会場の負担をするのかな? あの会社に金はあるのか?」


 スタッフが心配そうに会場を見ると、そこからハーレムパーティーが現れたのを見つけた。


「あ、ケンジさんたちだ!」


「あれ? 何か様子おかしいぞ? え……おいおい、ハーレムパーティー同士で戦っているぞ!」


 リリオは現れた剣地たちの動きを見て、目を丸くして驚いていた。壊れた会場の近くで剣地と成瀬、ヴァリエーレとルハラ、ティーアとヴィルソルが戦っているからだ。


「皆……一体どうして……」


 考えてもいなかった光景を目の当たりにし、リリオは目を丸くして驚いていた。




ヴィルソル:イベント会場跡


 グッ! 勇者ほどの実力を持つ者がペルの変な魔力で操られるのか? 今はそんなことを気にしてはいけない。現にペルのせいで操られている。勇者が操られるくらいペルの呪文は強力なものなのか。


「グガァァァァァァァァァァ!」


 ペルの操り人形と化した勇者は我に向かって光を何度も放った。何とかバリアで防いだが、勇者は大きな闇を発して我に向かって飛ばした。


「んなっ!」


 闇を見た我は魔力を開放し、高く飛び上がった。攻撃はかわすことができたが、勇者は剣を持って我に接近していた。


「グギャギャァァァァァァァァァァ!」


 グアッ! 強烈な一撃が我を襲った。剣で斬られて吹き飛ばされ、我はそのまま地面に激突した。グ……さすが勇者。かなり強い。ルハラもナルセも苦戦している。ナルセはペルを追いかけようとしたのだが、その前にケンジが現れたのか。ケンジが相手だと、戦いにくいじゃろう。


 我は立ち上がろうとしたが、勇者が目の前に現れて剣を突き刺そうとした。何とか勇者を転倒させて我は立ち上がったが、無理矢理立ち上がったせいで少しくらくらする。頭にダメージを負ったせいだろう。


「おい! 攻撃がくるぞ、気を付けろ!」


 ジョンの声が聞こえた。前を見て、勇者の斬撃を我は防御した。


「グ……勇者よ……元に戻らんか!」


 我は魔力を周囲に発し、近くにいる勇者を吹き飛ばした。苦戦する我を見たジョンはおいおいと言いながら我に近付いた。


「ペルの野郎は俺に任せろ。始末しておく」


「始末? 殺すつもりか?」


「甘いことを考えるなよ。ああいうひねくれ者は何度も同じ過ちを犯す。捕まえて牢屋に入れても、呪文を使って人を操る。あいつの呪文を止める方法は始末する以外ない」


「しかし!」


「甘いことを考えるなよって言ったはずだ。奴が釈放された時、酷い目を見ても俺は知らんぞ。確実に奴はお前たちに復讐をする。俺も奴に恨まれているだろうし、後で酷い目を見たくないからな」


 と言って、ジョンは去って行った。我やルハラ、ナルセが何を言っても無駄なのだろう。ジョンはペルを始末すると決めているからの。そう思っていると、勇者が魔力を剣に込め、我に接近してきた。


「アガァァァァァァァァァァ!」


 強烈な魔力だ。仕方ない……あまり勇者の体を傷付けたくないが、やるしかない。大きな一撃を与えてペルの呪文を解く。それしか方法はない!


「行くぞ、勇者! 魔王の一撃を受けるがいい!」


 我は鎌を装備し、勇者の剣を弾き飛ばした。じゃが、そのことを予測していたかのように勇者は魔道武器を装備し、斧のような形にした。あの一撃を繰り出すには時間がかかる。攻撃のチャンスはまだあるということじゃ!


「うォォォォォォォォォォ!」


 隙だらけの勇者に接近し、我は鎌を振り回した。闇を纏った鎌の一撃は勇者に傷を与えた。そのことを察した我は、すぐに追撃を放った。


「グァァァァァァァァァァ!」


 手加減はしておいた。勇者は二撃目の攻撃を受けた時に大きく吹き飛んだ。その際、瓦礫に激突していた。これで元に戻っていればいいのじゃが。


 疲れた体を少し癒すため、我は深呼吸をしていた。そして出てこない勇者を心配し、飛ばした瓦礫の方へ向かった。


「勇者……気を失っているだけか」


 どうやら瓦礫に激突した際、勇者は気を失っていたようだ。はぁ、安らかな寝顔をさらしおって。お前を元に戻すために我がどれだけ苦労したか知らないで。


「やれやれじゃ……仕方ないの」


 我は気を失った勇者を背負い、少し離れた所へ移動した。それにしても重かった。服とか装備とかあるせいで余計重く感じるだろうが……勇者の奴、太ったのか?


「重いのう。最近食ってばっかりじゃったから太ったのか?」


「太ったって何のこと? 魔王?」


 お。元に戻ったようじゃの。我は勇者の額を軽く叩き、こう言った。


「何でもない。それにしても、勇者のお前がペルに操られるなんて」


「うーん……奴の魔力がその位強力だったみたい。不覚」


「ま、こうやって無事に戻ったからいいとするか」


 と、我は勇者に向かってこう言った。


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