ガルートスとの戦いに決着を
成瀬:イベント会場
他の皆の戦いは終わり、残りは私の戦いだけとなった。ドストはガルートスのボスらしく、それなりの実力がある。風を纏った一閃は強力だし、何より他の団員と魔力の力が倍以上に違う。しかし、これまで戦ってきた中でもあまり苦戦しない程度の敵だ。邪神の体と戦った時の方が苦戦したし、それよりもちょっときつい敵もいた。こいつはすぐに倒せる!
「グッバァァァァァァァァァァ!」
「気を付けて! ドストさんのドリルスクランブルがくる!」
ルハラの横にいた女性、確かミネって書いてあったな。その人が大声で叫んだ。叫び声の直後、私の周囲に大きな竜巻が発生した。あいつ、小さな風を気が付かないように操り、攻撃が当たりやすい所に設置したのか! 理性がぶっ飛んでいるせいか、近くに仲間がいたが、それでもお構いなしに竜巻を発生させた!
「ああダメ、もう避けられない!」
「ナルセェェェェェェェェェェ!」
「キャァァァァァァァァァァ! あの攻撃を受けたら……ドストさん! もう止めて!」
ルハラとミネの叫び声が響いた。だけど、あの程度の竜巻なら闇で消すことができる!
「はァァァァァァァァァァ!」
私は周囲に巨大な闇を発生させ、ドストが発した竜巻を消滅させた。
「ふぅ……」
竜巻を消して一呼吸をしていると、剣を持ったドストが襲ってきた。その時、ヴィルソルが倒した相手の治療をしながら叫んだ。
「攻撃がくるぞ、ナルセ!」
「ドストさんはソードマスターのスキルを持っているぞ、気を付けろ!」
どうやらソードマスターのスキルを持っているみたいだけど、私もソードマスターのスキルを持っているのよ。剣と剣の戦いか。チャンバラみたいになってきた。
「こっちも本気で行くわよ!」
私は剣を装備し、剣を構えているドストに斬りかかった。反撃を受けると思っていなかったのか、ドストは腕に着いた切り傷を見て動揺していた。
「グギャァァァァァァァァァァ!」
傷を受けて怒り出したのか、何度も剣を振り下ろしてきた。ソードマスターのスキルを持っているせいか、ドストの剣の腕はかなりすごい。的確に私の急所や剣を持つ腕を狙ってきている。時折行動を封じさせるつもりなのか、足を狙う時もある。それ相当の技術の持ち主ね。しかし、私にはソードマスター以外にもゼロマジックと言う大きな武器がある!
「半殺し程度には済ますから、傷が付いても怒らないでね!」
接近してきたドストに対し、私はこう言った。その直後に私は魔力を開放し、周囲を水で濡らした。
「水を出した? 何をするつもりなの?」
「しー。見てれば分かるよ」
ルハラとミネの会話が聞こえた。どうやらルハラはこの次の動きを察しているようだ。突如足元が濡れたためか、ドストは慌てている。チャンスだ。私は一気に水を凍らせ、ドストの足を封じた。足が動かなくなったのを知らずに動かそうとしたためか、ドストはバランスを崩した。
「ぐ……ぐ……」
「加減はするわ」
魔力を剣に込めた私はこう言うと、バランスを崩して隙だらけのドストを軽く一閃した。攻撃を受けたドストは、小さな悲鳴を上げてその場に倒れた。
戦いは終わった。ジョンの方も団員との戦いが終わったようだ。
「はぁ……終わった」
「終わってないわよ。ペルさんを探さないと!」
「そうだったな」
ジョンは私にこう返事をし、ルハラはガルートスの人たちにこう言っていた。
「戦いの傷が大きいからさ、ここで休んでなよ」
「分かった。そうだ、これを持っていけ」
と、ガルートスの一人が私たちにイヤホンを渡した。
「俺たちガルートスの連絡用のイヤホンだ。攻撃の衝撃で壊れたせいか使えないが、耳栓代わりになるだろう」
「これさえあれば、ペルとか言う奴の変な攻撃には耐えられると思う。裏ギルドの俺たちがこう言うのも変だけどさ、あいつを止めてくれよ」
「ええ。分かったわ。ありがとう」
私は耳栓用のイヤホンを取り出し、ルハラたちに渡した。
「じゃあ皆、行くわよ!」
その後、私はルハラ、ヴィルソル、そしてジョンと一緒に剣地の後を追った。
ヴァリエーレ:ステージ裏側
ペルさんはどこに行ったのだろうか? もし、先に行ったケンジとティーアが戦っているとしたら大きな音がするし、魔力も感じるはず。だが、何も聞こえないし何も感じない。
しばらく走っていると、近くの部屋にケンジとティーアが立っていた。
「ケンジ、ティーア。 無事でよかったけど、こんな所で何をしているの?」
私は部屋に入って二人に近付いた。私の声を聞いたのか、二人は振り返って私の方に近寄ってきた。しかし、いつもの二人の動きじゃない。まるで操られているような……まさか!
「おーっと、操り人形がもう一人現れてくれたか」
身を隠すかのように、部屋の隅にいたペルさんが壁の近くで立っていた。人を小バカにしたような表情と口調で私は何もかも察した。
「やっぱりあなたが黒幕だったのね! 一体何のためにリリオさんを襲ったの!」
「教える気はないね。気が向いたら教えてやるよ」
ペルさんはそう言って、指を鳴らした。それに合わせるかのようにケンジとティーアが私の腕を掴み、動けないようにした。嫌な予感が当たった、二人はすでにペルさん……ペルに操られている!
「俺は運がいい。ハーレムパーティーの半分を手下にできたのだからな……」
ペルはそう言って手にしたヘッドホンを私に付けようとした。私は頭を振ってヘッドホンを付けられないようにした。魔力を開放したらケンジとティーアに被害が及ぶ。二人を傷つけたくない!
「観念しろ。ヴァリエーレさん」
ペルは無理矢理ヘッドホンを私に装着させ、手にしている機械のボタンを押した。その直後、不快に感じる音や言葉が響き渡った。私は悲鳴を上げる中、意識を失っていた。
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